第303話

森の中で突然響いた銃声。そしてメアちゃんの言う通りなら密猟者に囲まれた私達。先ほどの銃の威力を見るに、一発貰えば普通の旅人では持ちこたえられないでしょう。


そんな人たちが要求してきたのが、メアちゃんの持つ籠でした。


「どうしてこの子の籠を奪おうとするんですの?」

「そんな事教える訳ないだろ?」


銃を突きつけながら話をしているのは、木に倒れ込んでいた住人です。他の人は顔にマスクを付けて素顔を隠していますね。


「理由が解らないのであれば、渡すわけには行きませんわ。」

「ほう?この状況でもそんな事を言えるなんて大したもんだ。お前、立場解ってるのか?」

「十分理解していますわよ?玩具を手に入れた子供がただ力に酔いしれて弱い者達を玩んでいるのでしょう?反吐が出ますわね。」

「この餓鬼!!」


バァーン!!


ルゼダちゃんに言われた事が図星だったのか、男が銃を発砲します。ですがその銃弾はルゼダちゃんには行かず、盾職である男性に飛んでいきました。男性も油断せずに盾を構えていたおかげでその攻撃を防ぎます。ですが強化しているはずの盾にはしっかりと銃痕が残りました。何発も受けていれば盾が壊れてしまいそうです。


「ちっ!やっかいな奴が居るな。」

「俺が居る限り仲間に傷付けられると思うなよ?」

「ひゅ~♪かっくいい~。」

「頼もしいですねぇ。」

「やっぱり盾職が居ると安定するよな。」

「ALOだと不遇だったんだろ?これをみてそんな事思わないけどなぁ。」

「お前等一応戦闘中だぞ?気を抜くんじゃない!!」

「もちろん気等抜いてはいないですぞ!!<土魔法>壁生成!!」

「兄者に続きますぞ!!」

「然り以外に久しぶりにしゃべりましたな兄弟!!」


いつもメアちゃんを見て興奮していた3人が私達の周りに土で壁を作ってくれます。これだけでは銃弾を何発防げるか解りませんが、盾職の人の負担を軽減できます。それに、私達の姿を相手から隠す事が出来ました。


「ささっ、メア殿はこの中に入るんですぞ。」

「然り。我らがしっかりお守りいたしますゆえ。」

「幼女の指一本触れさせぬ所存!!」

「リダお姉ちゃん・・・・。」

「大丈夫。皆でしっかりと守ってあげるからね。ルゼダちゃんお願い。」

「平面に結界を張るのは慣れていませんが・・・・。<結界>!!」


3人が壁を作る為に使った地面には子供が1人は居れるような穴が開いています。その穴の中にメアちゃんを入れ、その入り口に結界を張って貰いました。これで私達が全滅してもメアちゃんは何とかなるでしょう。遠くから魔女の笑い声と羽音が近づいて来るのが解りますから。


「さてと、後は時間稼ぎですわね。」

「敵さんの様子は・・・「バァン!!」うん駄目だね、顔を出したらすぐに蜂の巣だ。」

「弾の数に制限が在りますね。じゃ無ければ今頃壁が崩されているはずです。」

「一斉に飛び出してどこかを崩すか?」

「馬鹿!!そんなことしたらメアちゃんが置き去りだし、援軍を待つ意味が無いじゃない!!それに相手の数の方が多いのよ?すぐに蜂の巣にされちゃうわ。」

「俺の硬さじゃあの数を抜ける途中で力尽きてしまうしな。」

「3オタに壁を作りまくって貰うとか?」

「残念ながら我等は現在の壁の維持精一杯ですぞ!」

「然り!!これ以上望まれても何も出来ぬ!!」

「もっと数を増やせるなら家でも建てますぞ!!」

「無理っぽいわよ?」

「じゃあやっぱり籠城かしらねぇ・・・・。」


敵も様子見に徹している様で全然攻撃して来ません。顔を出したらそこを狙撃されますが、それ以外では何もしてこないんですよね。でもこのままじゃ彼らの目的も達成できないはず。一体何が狙いなのか・・・・。


「相手も時間稼ぎをしてる?」

「何の為に?」

「それは解りませんが・・・・。」

「なるほど、あれを待ってたんですわね。」


バッサ!バッサ!バッサ!


ルゼダちゃんが見ていたのは、空に飛ぶワイバーンの姿でした。その背中には今私達を囲っている人と同じ格好をしている人が乗っています。つまり、彼らの狙いは最初からワイバーンによるこちらの殲滅だった訳ですね。籠が壊れても良いという事でしょう。


「さぁこれで完全にそっちに勝ち目は無くなったぞ?おとなしく籠を渡すなら命だけは見逃してやるが?」

「悪党の言葉なんて信じられるわけ無いですわ。」

「それにこっちも諦めた訳じゃないしな。」

「これでも喰らいなさい!!」


アチャーの攻撃

必中・狙撃・弓使い・矢強化・魔法制御・光魔法スキル発動

スキルコンボ!!

弓使い・矢強化・魔法制御・光魔法スキルが連動<光の強矢>発動

ダメージ60ポイント


刺客Bの回避

回避成功

ダメージ0ポイント


「ちぃっ!外したわ!」

「あちゃー!!」

「なんで今名前を呼んだのよ!」

「呼んでねぇよ?」

「名前の入力失敗したんだよな。あちゃー。」

「今のは絶対ニュアンスが違ったわよね!!」

「はいはい、名前を弄って遊んでないであいつを何とかしましょう。」


さすがに空中に居る敵に対しての攻撃の手数が少なすぎますね。魔法や遠距離攻撃で何とか出来れば良いのですが。乗っている人が厄介です。攻撃の予兆を感じたらすぐに回避行動に移っていましたし。


「お返しだ!!」

「やらせるか!!」


刺客Bの攻撃

ワイバーンによる火球攻撃

洗脳・調教・傀儡強化スキル発動

ダメージ50ポイント


ダンドの防御

タウントスキル発動 刺客Bの標的がダンドに変更された。

盾使い・盾強化・被ダメージ減少スキル発動

ダメージ25ポイント


「ぐふぅ!」

「<癒しの風>!!」


ミノリの回復魔法

癒しの風スキルが発動

ダンドのHPが15回復した。


ダンドの残りHP90


「すまん助かる。」

「仲間ですもの、助けるのは当たり前!」

「次来るぞ!!」

「やらせはせん!!やらせはせんぞ!!」


刺客Bの攻撃

ワイバーンによる火球攻撃

洗脳・調教・傀儡強化スキル発動

ダメージ50ポイント


ケフザの身代わり

身体操作・剣使い・受け流しスキル発動

受け流し失敗

ダメージ40ポイント


「ぐへぇっ!?」

「回復しますわ!<上位回復魔法>(ハイヒール)!!」


ルゼダの回復魔法

ケフザのHPが30ポイント回復

ケフザの残りHP90


「サンキュー!!」

「MPの関係上あんまり連発出来ませんわ!無茶はほどほどに!!」


これはまずいですね。メアちゃんを守っている関係上こちらは動けない。対してあちらは自由に空を動き回り攻撃できる。メアちゃんを避難させたおかげで集中してメアちゃんが狙われませんが、こちらがじりじりと消耗させられてしまいます。


「打つ手無しなの?そうだ!!こんな時隠密が使える人が後ろからぶっすりやったりするじゃない。誰か使える人居ないの?」

「それだったら忍者さんだろ。」

「そう言えば忍者さん最初に撃たれてどこ行った?」

「そう言えば?」

「死に戻りしたんじゃね?忍者って体力低いイメージだし。」

「あぁ我々の希望が・・・・。」

「もう駄目だぁ、おしまいだぁ。」

「勝手に亡き者にしないで欲しいで御座る。」

「「「「忍者さん!!」」」」


いつの間にか私達の傍に最初に撃たれた忍者さんの姿が!!私も最初に撃たれて倒れる途中までは見ていましたが、その後どうなったかまでは確認していませんでしたね。


「忍法空蝉の術!!で御座るよ。」

「さすが忍者!!でもなんでこっちに来たの?こっそりあの首領っぽい人をぶっすりやってくれたら良かったのに。」

「もうその必要は無いで御座るゆえ。」

「へっ?それはどういう意味?」

「援軍を連れて来たで御座る。」


忍者さんが指さした先からは、大量の蜂と箒で飛ぶ魔女さんの姿が。これで対空戦力はばっちりですね!!


「さぁ!反撃開始で御座るよ!!」


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る