第283話

「ルドさんから連絡が在りました。もう修行に入ってるみたいです。」

「なら僕達は自由に動きましょうか。」

「私は教会で修行して参りますわ。」

「じゃあ僕は守備隊の兵舎で稽古して貰って来るよ。シルさんのおかげで入れるようになったし。リダさんはどうします?」


私達がログインするとすでにルドさんは部屋におらず、ファランさんに聞くとすでに道場に修行に出ていると言われた。その後すぐにルドさんから修行に時間が掛かりそうだから自由に動いてくれとチャットで連絡が。


ルゼダちゃんとクリンくんはそれぞれ自分のスキルを強くするために修行するみたいだ。教会では回復魔法や光魔法、聖魔法何かのスキルが覚えられるし、守備隊では剣術関係のスキルが覚えられる。2人にはちょうどいい修行場みたい。


私の方はと言えば、かつての門下生は戦争で全て戦死して道場自体も潰れちゃっている。徒手空拳で戦う人はいなくなりこの街では修行する場所が無くなってしまっていた。


かといってルドさんの所にお邪魔するというのも違う気がする。ルドさんは強くなろうと修行しているのにその間に私はそばに居たいという理由で一緒に居てはまた隣に立てなくなっちゃうと思ったから。


「私も修行場所を探してくる。皆に負けてられないからね。」

「ならばここで解散ですわね。」

「ログアウト前に霊廟に集まって報告会をしましょう。」


話はまとまりそれぞれが強くなる為に動き始めます。そう言えばALOと違ってALO2はスキル制のゲームになりました。他の人達はどんなふうに強くなろうとしているんだろう?


疑問に思った事を調べる為にまずは図書館へとやって来ました。そこには一心不乱に本を読む人たちの姿が在って・・・・。


「なぁそろそろ覚えたか?」

「まだ。」

「速読何てスキル必要なのか?」

「あったらステータス情報や古代文字の解析に有効かもしれないじゃない!!」

「そもそも古代文字を読めないだろう?」

「それは今後のイベントか取得出来るスキルに期待するのよ!!それにあっても損は無いじゃない速読!!」

「俺は戦闘系のスキルが取得したいんだけどなぁ・・・。」


このような会話があちこちで発生していました。どうやら図書館で多くの本を読むと速読のスキルを覚えられる様です。種族によっては記憶力増強や職業によっては生産レシピ何て物も眠っているとか。私も一瞬速読を取ろうかと思いましたが・・・・。


「魔法使いでも無いですし、生産職でも在りません。本はじっくりと読む派ですし、必要ありませんね。」


と言う事で図書館を後にしました。次に向かうのは・・・・冒険者ギルドにでも行きましょうか。たしか訓練場で誰かが修行しているかもしれません。


「キィィィィィィエェェェェェエェェェェェェエッ!!」

「うるせぇ!!無駄に大声出してるんじゃねぇ!!」

「誰だよ、大声出せば威嚇のスキル取れる何て言った奴は。」

「俺は大声量のスキルって聞いたぞ?」

「私は歌唱が取れるって聞いたわよ?」

「「「「うっそだぁ~。」」」」

「本当だってば!!音響兵器って称号も貰えるって話だもん!!」


どうやら地下に作られた訓練場では今変な修行方法が流行っているみたいですね。大声で何かを叫んでいる人達が居たり、逆立ちして歩き回っている人が居たり、なぜかブリッジのまま動き回る人も居ました。


訓練場に居る人達の奇行に唖然としていると、ギルドの職員さんが訓練場に降りて来ました。


「はいっ!!自由時間は終わりです!!他の冒険者の方が使いますから直ちに訓練場を開けて下さい!!」

「くそっ!!今回も取れなかった!」

「うーん、外で訓練するか?」

「こんな奇妙な行動外でやったら即座にお縄よ?冒険者ギルドが場所を貸してくれるから捕まってないだけなんだからね?」


どうやらここに居る皆さんは、訓練場が開いている時に好き勝手に動いてスキルが取れるか検証しているみたいです。SNSに投稿されている眉唾な物から、住人に聞いた方法でスキルが取れるかどうかを調べているみたいですね。


その人達が立ち去った後は、普通に剣の使い方講座をやっていました。何か得る物が在るかと見学しようとしたのですが、私も訓練場で奇行に走っていた旅人達と一緒に訓練場を追い出されてしまいましたね・・・・。


「さて、どうしたら良いんでしょう?」


クリン君を追って守備隊の訓練場に行きましょうか?剣相手に戦う訓練だと思えば・・・・どうなんでしょう?なぜかそれでスキルが手に入るとは思えないんですよねぇ。でも可能性は0じゃないはずです。行ってみましょうか?


そんな事を考えながら歩いていると。


「うぅぅぅぅぅ。」ドサッ!


目の前でお爺さんが胸を押さえて倒れてしまいました。私はすぐに駆け寄ってお爺さんの体を支えます。お爺さんは顔を青くしてすごく苦しそうです。


「大丈夫ですか!?」

「うぅぅぅ、胸が・・・持病の癪が・・・・。」


どうやら持病を抱えている人の様です。私がどうすれば良いのか尋ねると、震える指で街の外を指さします。


「外に・・・・。」

「そこに行けば大丈夫なんですね?すぐにお連れします!!」


私はお爺さんを背負って急いで街の外に駆け出します。移動しながらお爺さんの様子を見ると、苦し気に息を荒立てていました。なるべくお爺さんに衝撃が行かない様、慎重にでもなるべく早く移動しないと!!猫の獣人にしておいて良かったです。体のクッションで衝撃を吸収できます。


あっという間に街の外に出た私達、するとお爺さんの青かった顔が見る見るうちに元気になって行きました。


「はぁ・・・はぁ・・・・ふぅ・・・。すまないねお嬢ちゃん。わしゃどうしても人混みと言うのが苦手での。」

「いえ、でも大丈夫なんですか?街の外に出るなんて魔物に襲われますよ?」

「ほっほっほ、なぁに大丈夫じゃよ。ワシもお嬢ちゃんと同じ“使い手”じゃて。その証明に、ほれっ。」

「ギャンッ!!」

「えっ!?」


お爺さんが軽く拳を振るうと、いつの間にか近寄っていたジャイアントウルフの顔に命中して吹き飛んでいきました。まったく威力を載せていないのにあれだけの攻撃力・・・・。このお爺さん唯者ではありません。


「お嬢ちゃんもこれで戦うんじゃろ?それほど驚く事かの?」


お爺さんが拳を私に見せてきます。その拳は誰でも一目見て解るくらいに強く、固い拳でした。


「なんで・・・・解るんですか?」

「そんな物、体の動かし方で簡単に解るわい。それにの・・・。お嬢ちゃんシンハの弟子じゃろ?」

「そんな事まで解るんですか!?」

「カッカッカッカ!!何を隠そうシンハに武の道を示したのはワシじゃよ。まぁあの馬鹿弟子は師匠より先に逝ってしまったみたいじゃがな・・・。」


お爺さんはとても寂しそうな顔をしてお爺さん達が眠る霊廟の方を向いていました。本当にお爺さん達の師匠ならこの人は普通の人では無いという事になりますが・・・。


「いやはやそれにしても助かった。霊廟と言われる場所に馬鹿弟子の墓参りに来たら穢れにやられてしまった様じゃ。ありがとうお嬢ちゃん。」

「あっあの!!お爺さんは人じゃないんですか?」

「ん?あぁなるほど、嬢ちゃんは知らんかったんか。シンハの奴めちゃんと教えておらんかったのか。神技無双流は極めると人の身を捨て、仙人となるんじゃよ。」

「つまりお爺さんは仙人様?」

「様付けされる程偉いもんじゃないがの。」


これはチャンスでは無いでしょうか?お爺さんの師匠と言う話が本当ならこの人以上に教えを乞う人は居ません。


「あのっ!!私を鍛えてくれませんか?」

「ふむ?お嬢ちゃんは何処まで収めているのかの?」

「心義夢想流までです。」

「心から鍛えた訳じゃの。・・・ふむ。ならば試験をしよう。それに合格したらワシ“等”が教えてやる。神技無双流のその先までの。」


お爺さん達が使っていた神技無双流より先が在るんですか!?これは気合を入れて教えを受けないといけませんね!!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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