第280話
シアがいつの間にか飴玉の様な紫色の玉を持っていた。俺はその出所をシアに尋ねる。
「シア?それは何処から持って来た?」
「ふえっ?ほほにおちてたほ?」
シアの奴、我慢できなかったのかさっきの飴玉をもう舐めてるな。ってかあれ舐めて大丈夫なのか?
「口の中の物を飲み込んでから喋りなさい。」
「ごくんっ!!そこに落ちてたよ?」
大きな音をさせて飴玉を飲み込んだシアが指さしたのは先ほどルーシとドルーを浄化した場所だった。つまりはあの2人の体から落ちた物である訳で・・・・。そう言えば最初のミアズマスライムの説明に書いていた暴食は何処に・・・・・あっ!?
「シア!?さっきの玉は!?」
「?もう飲み込んじゃったよ?」
「体に異変は無いか?お腹痛いとか熱っぽいとか無いか!?」
「ううん、大丈夫だよ?それに足りないものが戻って来た感じがするのパパ!!」
足りないものが戻って来た?そう言えば最初シアは暴食花という種族。つまりは暴食をつかさどる花だったんだよな。そのシアが足りないものが元に戻ったって事は・・・・。ちょっとステータスを見てみようか。
名前 シア
種族 ドリアード
所属 ルドの娘
HP 100
MP 80
スキル
<精霊魔法(樹)>消費MP10
植物を生み出して操る魔法。相手に10ポイントのダメージを与える。
<精霊魔法(癒)>消費MP10
対象のHPを回復する魔法。指定された相手のHPを10ポイント回復。
<精霊魔法(治)>消費MP10
対象の毒・麻痺・盲目を直す魔法。
<精霊体>
物理ダメージを10%減らす。MPの総量を8倍にする。
<精霊の目>
隠された物を見抜く瞳。嘘や擬態を見抜く。
(呪)<空腹>
通常では耐えられない程の空腹に常に襲われる様になる。ただし、食事を必要としない種族の場合だとその効果は発揮しない。
大罪スキル
<暴食>
あらゆる物を食い尽くすスキル。満たされぬ空腹は常に獲物を求めている。
効果
食べた物によって自身にバフを掛ける。スキル所持者を食べた場合、スキルの熟練度もしくはスキルを取得する可能性がある。
オーマイガー!!シアに大罪スキルが生えてる!!ってかシアにまで(呪)スキルが!?ってうん?シアはドリアード。つまりは植物の精霊だ。精霊って確か食事を必要としないんだよな?って事はシアに限ってはこの呪いは全く効果を発揮しない?説明文にもそう書かれているし・・・・・。これってただ単純にシアが強化されただけ?
「シアはお腹空かないか?倒れちゃうほど空腹に襲われてないか?」
「?何言ってるのパパ?シアは精霊だよ?食事は趣味であって必要無いよ?」
「はぁ~。良かったー。」
シアの体に異変が無くて本当に良かった・・・・。何よりシアの食費で破産する事だけは回避できたな。ALOの時でもかなりの量を食べてたからなぁ・・・・。
「(*´з`)」
「あぁアイギスも欲しかったのか。」
「(((uдu*)ゥンゥン」
「うーん、こればっかりは運だからなぁ・・・。」
大罪スキルと元徳スキルは他にもあるだろうし、アイギスにもチャンスはあるだろうけど・・・。すでにこの場には3つのスキルが揃ってるからな、これ以上集まる事は無いんじゃないかなぁ?
「私も手に入れられるなら元徳スキルが欲しいです!!」
「私も欲しいですわ。慈愛何て職業と合わせてゲットしたい所ですわ。」
「こればっかりは本当に運だから仕方ないよ。あの2人を浄化したら暴食が出て来るなんて誰も思わなかったんだし・・・・。」
後ろで見ていたリダ達がシアが暴食を手に入れたのを見て羨ましがっている。まぁ手に入れられるなら欲しいよな、プレイヤーなら特に。
「まぁスキルの話はここまでだ。そんで師匠?そろそろ修行つけてくれ。」
「・・・・・・無理・・・・・・。」
「・・・・・・はい?」
そう言えば洞窟から戻って来て双子の治し方を聞いた時から様子がおかしかったな?いつもなら抱き着いて着たり匂いを嗅いだりしていた師匠が一定距離から近づいて来なかったような?何かあったか?今も部屋の外から顔を半分だけ出してこっちを見ているくらいだしな。
「無理ってどういう事だ?俺何かした?」
「るどきゅんが尊過ぎてこれ以上近づけない。近づいたら浄化されて私消えちゃう・・・・。」
尊過ぎる云々は放っておいて消えちゃうってそんな大げさな。でも確かに師匠のHPが削れてるんだよな。本当に俺の所為?
「ルドさん。これって純潔の効果じゃないですか?確か穢れを寄せ付けないとかなんとかスキル説明文に書いてありましたよね?」
「あぁ!!色欲にまみれたシチートさんは穢れの塊だから、それで近づけないんですわ!!」
「どうしてルドきゅんが純潔何て手に入れてるのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
どうやらリダとルゼダの考察は当たっていたらしい。色欲の大罪スキルを持つ師匠は俺に触れるどころか近づくだけでダメージを受けるようだ。いや、俺に影響ないのは何でやねん。
「ルドさん?HPをよく見ると減っては増えるを繰り返してますよ?」
「パパは自己回復のスキルを持ってるでしょ?それで減ったHPが戻ってるだけだよ?」
「あっなるほど。」
「むきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
「m9(^Д^)9m」
アイギスが扉の外でハンカチに噛み付いている師匠を煽っている。そんな事は止めなさいはしたないから。っつかこれどうするんだ?師匠から流派を教えて貰えないとなると俺の強化がほとんど出来ないんだが?
「あっ自己回復のスキルが取れたわ!!」
「ちぃっ!!余計なスキルを手に入れて!!」
「あー、純潔の効果で削られたHPを自然回復で治してたのがうまい事修行になったんですね。丁度釣り合う距離にいたのが良かったんでしょうか?」
「悪魔という種族も関係していそうですわね。回復能力が高いイメージが在りますもの。」
「これでルドきゅんに思いっきり抱き着けるわ。ルドきゅーーーーーん!!ぐべぇっ!!」
「させるわけないでしょ!!」
「うん、こんな簡単に問題解決して良かったのか?」
俺と同じで自己回復スキルを師匠が手に入れた。これで修行が出来そうで一安心か。まぁその肝心の師匠が俺に向かってル〇ンダイブ決めてリダに回し蹴りで吹き飛ばされてまた気絶したけど。そう言えば大罪スキルと元徳スキルの反発はHP減少だけなのか?色欲と純潔の反発作用がHP減少で他のはまた違う効果が出るのか?気にはなるがこればっかりは今は分からないか。
「ルド兄様、修行の方はまだ道場の準備が整っていないのでもう少しお待ちください。」
「あぁそれが在ったか。じゃあこれからどうするかね?」
「シアちゃんの暴食の効果を確かめに行きませんか?スキルを獲得する事も在るそうですし。」
「となるとやっぱり平原か?俺も新しいスキルが欲しいから何か動かないとな。」
純潔と暴食っていう新しいスキルが手に入ったけども、もっと使い勝手の良いスキルを手に入れたいしな。
「ルドさんは何を狙ってますの?」
「リダ達が持っている鍛え抜かれた体のスキルが欲しくてな。HPが増えるに越したことは無いだろ?」
盾職である俺はHPの量が増えれば増える程安定する。アクセサリーで100増えたがスキルでも増やせるなら増やしておきたい所だ。
「盾職のルドさんにはぴったりのスキルですからね。それなら僕とリダさんでお手伝いしますよ。」
「任せて下さい!!でもそれだとフィールドに出る必要無いんですよね・・・・。」
「そうなのか?」
「はい、体を鍛えれば良い訳ですから。簡単に言えば筋トレをすれば手に入ります。」
「ゲームの中じゃやる人は少ないですけどね。」
そうなのか、だったらシア達はどうするかな。一緒にスキル獲得を目指しても良いと思うが・・・。
「じゃあ私はシアちゃんとアイギスちゃんを連れて暴食の効果を確認して来ますわ。」
「良いのか?ルゼダも覚えたいスキルが在るんじゃないのか?」
「フィールドでも修行は出来ますもの。それに早めにシアちゃんの暴食の効果を知っておかないと事故が起きそうで怖いですわ。」
「シア悪い事はしないよ?」
「それは解ってますわ。でも、何が在るか未知数のスキルですもの。早めに効果を知っておいてそんはないですわよ?」
「んー。じゃあシアはルゼダ姉ちゃんと一緒に行く!!」
「じゃあアイギスは2人の護衛頼むな。」
「(。・Д・)ゞ」
と言う事で残りの時間は別れて活動する事になった。と言っても俺はずっと筋トレを続けただけで結構早めに鍛え抜かれた体のスキルが取得出来たよ。種族によって覚えやすいスキルや覚えにくいスキルが在るって事だから、覚えやすい部類だったんだろう。
シアの暴食スキルの方はと言えば、ジャイアントウルフ程度じゃ検証できなかったらしい。新たなスキル獲得も無し。熟練度さえ手に入らなかったそうだ。うーん、これはボスクラスの敵に対して使って見て始めて効果が解る感じか?要検証だな。そうそう、暴食を発動するとシアの頭に懐かしいラフレシアが咲いて敵を丸飲みにするそうだ。うん、本当に戻って来たって感じだな。
と言う事で今回はログアウト。次にログインする時は師匠との修行の始まりだな。一体どんな修行になる事やら・・・・・。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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