第259話
リダからの連絡を受けてすぐに助けに行こうと動きだした所で、再度チャットの通知音が届いた。
【今回の騒動は流派スキルを覚えられる場所が確認されていない事で起きているみたいです。シルちゃんに頼んで情報解禁して貰えませんか?】
【解った。シルに確認してみる。それまで無事で居ろよ。】
リダからのチャットに返信をしてから、シルに先程の事を尋ねる。シルの方もファランから街中で旅人が騒ぎを起こしていると聞いて、原因解明の命令とそれに対する対策を考えている途中だった。
「流派を覚える為の道場ですか?冒険者ギルドで一定以上貢献度を獲得して頂ければギルドから紹介する手筈になって居るはずですよ?」
「そうなのか?」
「えぇ。流派スキルは強力な物が多いのでその取扱いには気を付けないといけません。その為に冒険者ギルドで人柄やクエストに取り組む際の姿勢を見て紹介していいか判断しているはずです。ルド兄様の推薦書は流派スキルの問題を解決して街に貢献したから報酬として渡されたんですよ?」
って事はリダ達が言っていたSNS情報はガセなんだな。
「シル、これから動画を撮るから自己紹介と流派スキルの事をカメラに向かって喋って貰っていいか?旅人達はガセ情報で騒ぎを起こしているから、ちゃんとした情報を伝えれば落ち着くはずだ。」
「街に居る住人達も突然旅人達が騒ぎを起こして困惑しています。それが落ち着くのでしたら協力は惜しみません。」
と言う事でカメラモードを起動してシルに流派について話をして貰う。その動画のURLをSNSに貼って、とりあえずガセ情報を封じ込めた。反応としてはシルという王国相談役からのちゃんとした情報である事、冒険者ギルドに確認したらシルの話が本当であると確認できたことで街中はすぐに落ち着いた。
問題はガセ情報を流した人物を中心にした流派狩りの奴等が、追いかける事に夢中でSNSを確認していない事だ。追撃している奴等はグループチャットを作ってそっちでやり取りしているらしいしな。そこに書き込めば良いと思ったんだがすでに定員一杯で俺は入れなかった。
このままだと複数人で少数の旅人を追いかけ、迷惑を掛けたとして赤落ちも懸念されるが・・・。もしかして陽動者はそれが狙いか?全員取り込んで赤落ちグループでも作るつもりなんだろうか?
「シルありがとな。とりあえず街中は落ち着いた。後はリダ達を追いかけて森に入った奴等だけだ。」
「そちらはどうされますか?」
「直接言って声を掛けて来るさ。じゃないと連絡取れないしな。」
「解りました。私はここで結果をお待ちしています。」
「おう、シア!アイギス!行くぞ!!」
「はーい!!」
「( ´ ▽ ` )ノ」
霊廟から飛び出して急いでリダ達の元に向かう。逃げながら随時居場所をチャットしてくれていたからすぐに追いつけるだろう。
「パパ!誰か来たよ!」
「(゚д゚)!」
「ルドさん!お久しぶりです!」
「誰っ!?」
シアとアイギスを肩に乗せ。走って街を出る門を目指している俺の横に、いつの間にかテンガロンハットをかぶって葉巻を口に咥え、赤いスカーフと茶色いマントを羽織った男が並走していた。黒髪で無精ひげを生やし、瞳は青色だ。まるでガンマンだな!!
「私ですよ。メガネです。今はグラスですが。」
「名前変わってたら解るわけないだろうが!!後お前がメガネだっていう証拠は!今急いでいるんだから手短にな!」
「私が銃を使い始めた時にイベントダンジョンでお世話になりました!!その時の写真がこれです。」
ピロン♪
送られてきたのはイベントダンジョンの入り口で撮った写真。そこには俺と一緒に写っているメガネの姿が。この写真はSNS何かにも載せてないから持ってるのは当事者であるメガネだけだ。
「うしメガネ。いや今はグラスか。今急いでるんだが何の用だ?」
「手短にねー。」
「(*´・ω・)(・ω・`*)ネー」
「今回の騒動、私達がお手伝いできるかと。」
メガネの後ろにはいつの間にかガンマン風の人達が集まって一緒に走っていた。
「もうギルドを作ったのか?」
「ギルド機能はまだ封印中ですね。ギルドで聞いたら貢献度によって解放だそうです。彼らは元『英知の図書』の面々ですよ。今回は情報を集めながら戦えるギルドを目指します!!」
腰のホルスターから銃を引き抜いてニヤリと笑うグラス。ちょっと渋めの叔父様顔でそれをやると絵になるな。着いて来ている面々もマントを靡かせながら腰の銃を見せて来る。その銃は魔法銃?それとも物理銃?いや今はあんまり関係ないか。後で聞こう!!
「そんな奴等が何をやってくれるって?」
「いまリダさん達が追い詰められているんですよね?ALO時代には彼女達にも大変お世話になりましたから協力しますよ。」
走りながらグラスの言葉で頷きを返すガンマン達。男性も女性も居て、格好も様々で結構バリエーションがあるな。世紀末な格好の奴もいるが良いのかあれ。
「協力してくれるのは助かるな。森に居る旅人達に流派スキルの事を伝えてくれ。このままじゃ赤落ちする奴が現れても不思議じゃない。俺はリダ達の元に向かうから。」
「了解です。他にも協力してくれる人に伝えておきます。皆聞きましたね!!『智栄の弾丸』の初任務ですよ!」
もうギルド名まで決めてるのか気が早いなぁ。おっと俺も先を急がないと!!リダ達は森の中で見つけたダンジョンに入ったみたいだしな。
森の中を突き進みながらリダ達との合流を目指す。途中襲って来る魔物はアイギスとシアに倒して貰いながら、俺はとにかく足を止めない事を意識して進んだ。途中見掛けた旅人には流派スキルの正しい情報を伝え、それでも疑う奴にはSNSを確認させた。動画はすでに上げてるからな。
動画は今凄い勢いで拡散している最中だし、シルのファンも生まれているみたいだ。70歳の御婆ちゃんなのにまだ30歳の美麗なお姉さんな姿に美魔女だ何だと騒がれている。シルがこのSNSを見たらどんな反応するのか気になるな。
かなり時間が掛かったが、やっと洞窟の入り口に辿り着いた。さて、中に入ってリダ達と合流を・・・・。
「待ちな。お前か余計な事をしてくれた奴は。」
洞窟のある草叢に入ろうとしたところで髑髏の仮面を被った男に呼び止められた。全身真っ黒でまぁ見るからに怪しい奴だな。仮面の奥に見える目はずっと俺の事を睨んでいる。
「余計な事ってなんだ?俺は何もしていないが?“シアとアイギスはそのまま肩で待機しててくれ。手を出すなよ?”」“はーい!”“( ´∀`)bグッ!”
「この動画を投稿したのはお前なんだろう?グルチャで連絡が来たぞ。良くも俺の作戦を邪魔してくれたな。」
おっと、途中出会った旅人から情報が漏れたらしい。まぁグループチャットで情報を流してくれってお願いしたからな。そもそも作戦ってやっぱり集団赤落ちが狙いか?
「なんでこんな事した?何が狙いだ?」
「そんな物、最初から優遇されている旅人を粛正する為に決まってるだろ?」
優遇されている?それって引継ぎ組の事か?確かにスキルや装備なんかは引き継がれるが、あまり格差が広がらない様に調整されているはずだ。
「引継ぎの無い旅人は成長に補正が掛かってるはずだが?」
「スキル習得が早くなるだけだろう?それも引継ぎ組のほうがスキル取得方法を知っているのだから意味は無いな。」
いやいやいや、意味あるから。ちゃんとスキルの取得方法を広める為にスキル情報交換用のSNSが在るんだから。それにALO時代とは違ってスキル取得の条件が変わっているから、引継ぎ組が優遇されてるわけじゃないぞ。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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