第243話

シンハ夫妻の道場を目指す途中。それぞれが作り直したもしくは引き継いだスキルを確認する為にジャイアントウルフと戦闘をする事になった。道中の戦闘はこんな感じ。


ルゼダの場合


「発見しましたわ。まずは私から行きますわよ。」

「先を越されちゃった・・・。」

「まぁまぁ、リダはこの後試せばいいんだから。」

「撃ちますわよ!!」


戦闘開始(未発見)


ルゼダの瞑想。ルーレットを回してください・・・・・。ダメージ2倍!

ルゼダの光魔法攻撃。標的はジャイアントウルフ。スキルコンボ!!スキル魔法制御・弓使い発動!!コンボ魔法<光の弓矢>ダメージ15ポイント、瞑想効果によりダメージ倍化。未発見ボーナスダメージ+5。総ダメージ35ポイント。


ジャイアントウルフに35ポイントのダメージ。ジャイアントウルフは倒れた。オーバーキル!!取得ドロップ減少。


「・・・・毛皮と爪が消えてしまいましたわ。」

「ジャイアントウルフのドロップは牙と爪に毛皮だったか。」

「頭蓋もありますよ。HPぴったりにダメージを与えると貰えるみたいです。」

「攻撃力が無い、もしくは始めたばかりの人達にも役割を与えている感じですね。」

「瞑想はさっきみたいに2倍になるの?」

「ルーレットを回して、止まった場所の倍率が適用されますわ。最低が1.1倍、最高が4倍ですわね。」

「運が絡んでくるのね。でも4倍を引けたら大きいね。」

「そうですわね。」


リダの場合


「見つけましたよ!!では行ってきます!!」

「リダの奴張り切ってるなぁ。もうあんな所に居るよ。速いなぁ。」

「ワーキャットは早さと体の柔らかさに補正が掛かるみたいですね。前まで使っていたワーウルフは攻撃力と索敵に補正があるみたいです。」

「あっもう到達しますわよ。」


戦闘開始


リダの通常攻撃。拳闘、蹴闘、格闘術、心義夢想、気功スキル発動。ジャイアントウルフにダメージ軽減スキルを確認出来ず、心義夢想の効果が変化ダメージ+10。10連コンボ達成、連撃ダメージ+10。総ダメージ40ポイント


ジャイアントウルフの防御。土鎧生成。ダメージ30%カット。

ジャイアントウルフにダメージ28ポイント。ジャイアントウルフは倒れた。オーバーキル!!取得ドロップ減少


「牙が無くなっちゃいましたぁ・・・。」

「お疲れ、まぁ調整して行けば全ドロ狙えるだろ。」

「不意打ちだったらさらにボーナス乗るんですよね。」

「やはりリダさんが一番火力を出しています。」

「σ(゚∀゚ )」

「そうだな、火力ならアイギスが一番だな。」

「(`・∀・´)エッヘン!!」


シアの場合


「おっ、見つけたぞ。シア行ってこい。」

「うん!!ε=ε=ε=ヾ(´∀`*)ノ イッテキマース」

「あっ、体の蔦で顔文字!!」

「さすがアイギスの顔文字師匠ですね。」

「( ・´-・`)」

「今は顔文字じゃなくて表情とボディランゲージだがな。」


シアの精霊魔法(樹)攻撃。地中から蔓による攻撃。ダメージ10ポイント。クリティカルヒット!!顔面にダメージ+5ポイント。弱点属性攻撃!!ダメージ+10ポイント。総ダメージ25ポイント


ジャイアントウルフの防御。土壁生成。ダメージ30%カット。弱点属性補正、ダメージカット率15%に低下。ダメージ-4ポイント。


ジャイアントウルフにダメージ21ポイント。ジャイアントウルフは倒れた。オーバーキル!取得ドロップの品質低下。


「なんかボロボロー。」

「毛皮の品質が下がったのか?」

「オーバーした分のダメージがドロップに行くんですかね。」

「1ポイントだけオーバーしたから消失しなくて済んだんですわね。クリンはぴったし、私は15オーバー。リダさんは8ポイントで、消えたのが皮と爪と牙ですわ。」

「皮の耐久値が10ポイント。爪と牙が5ポイントって感じか?」

「ドロップのどの耐久値が減るかはランダムでしょうか?」

「それも追い追い調べて行くかね。それに今は初心者フィールドだからかHPは固定だが、他の場所だと個体差とかもありそうだしな・・・。」

「何も考えずに戦ってたらドロップが貰えずに赤字、何て事もあり得そうですね。」


ALO2で変化した戦闘とドロップの入手方法を確認しながら進んだ俺達は、とうとうシンハ夫妻の道場“跡地”に着いた。そこには、白い石で出来た老人と老婆の像が建っていて、その下の台座に名前と起きた事件の事が書かれていた。


神技無双流 師範代   シンハ

師範代補佐 ミオカ 

 門下生   ナグリ

 門下生   ケリグ

門下生   コブシ 

・     ・

・     ・

・     ・

以上総勢100名、ここに眠る。


第2次城塞都市攻防戦に置いて、迫りくる敵兵から住民を守る為に自らの道場を囮として奮戦。敵方を殲滅し城塞都市を守り抜いた。


敵兵が引いた後に訪れた者達が、城壁内に広がるおびただしい数の門下生の死体と第1防壁の前で仁王立ちするシンハ師範とミオカ師範を発見。生き残りの証言から両名とも一度も地面に膝を着けぬまま息絶えていた。


遺言により、破壊されつくした道場跡地に墓地を建てる。いつか戻って来るであろうリダへ向けてのメッセージをここに残す。


己の心に負けない様に、負けてしまっても、自身を奮い立たせて立ち上がりなさい。立って歩けば状況は変わる。リダがわし等の元に弟子入りした時の様に、必ず変化は起こるはずじゃ。


そしてその小さな変化に気が付き、自身を肯定してあげなさい。それが、自信になります。最後の教えです、どうか私達の死を悲しまずに、未来に向かって進みなさい。心に義を宿し、思いのまま進みなさい。私達はいつも見守っていますよ。


「お爺さん・・・・・お婆さん・・・・・・。」

「じいさん達、命懸けで俺達が戻ってくる場所を守ったんだな・・・・。」

「くっ!!その場にいなかったことが悔しいですわ!!絶対助けられたのに・・・。」

「・・・・皆、同じ気持ちだと思うよ。」

「お爺さん、お婆さん、ありがとう。私、強くなります!!」


リダは爺さんたちのメッセージを見て、涙を流しながらはっきりとそう口にした。


「さて、これで全部回ったか?」

「そうですわね・・・・。守備隊の方にも顔を出して見ますか?」

「60年経ってたら誰も覚えてないだろ。戦争もあったみたいだし、生き残ってる奴は少ないんじゃないか?」


俺達が知ってる人ならいの一番に現場に駆けつけて街を守ろうとするだろうしな。シンハ夫妻がやられるような相手だったら恐らくほとんど残ってないだろう。


「とりあえず街に戻りませんか?掲示板のチェックなんかもしてませんし、シークレットクエストがあるかもしれませんよ?」

「あー、初期村に隠されててめっちゃ強くなる類の奴な。実装されてるゲームはほとんどなかったけど。」

「在っても終盤になってから再度訪れて、っていう感じでしたね。」

「何の話?」

「(・・?)」

「あの街で困ってる人が居ないかなって話。」

「いっぱいいると思うよー?」

「ですわね、私達まだ冒険者ギルドにも顔を出してませんから。街に戻ってまずは登録しませんと。」

「所属が無いままですもんね。じゃあ戻りましょう!!」


墓参りを終えて、俺達は街に向かって歩き出す。道中の話は先ほど見た戦争の話だ。


「でもまさか戦争が起こって攻められてたとはな。俺の作った城壁はどうなったんだろうか?」

「恐らく突破されたのかと思いますわ。残っているのも最後の防壁だけでしたし。」

「黒龍城壁を抜かれて、ゴーレム城壁も抜かれてますからね。残ったのは御神木が守っていた城壁だけみたいです。」

「それで街だった場所がフィールドになっているんですね。」

「破壊し尽くされたんだろうなぁ・・・・。」


都市の衰退に思いを馳せながら街に向かって歩く俺達。そこでふと、あのマップを見た時に目に入った情報について疑問が沸き起こる。


「そう言えば、この国ジャイアント“王”国だよな?そんでもってここは城塞“首都”つまりは国の中枢だ。誰が率いてるんだ?」

「戦争が在って、ロロキー王国が滅亡した?そういえば攻めて来た国の名前も知りませんよね?」

「それも、街に帰ってから調べてみましょう。歴史書が見つかれば書かれているはずですわ。」


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る