第242話

「嘘・・・・・。」

「マジかよ・・・・・。どうなってるんだ?」

「えっ!?一体どうして!!」

「まだここは都市の中のはずですわ!!」

「お外に出ちゃったの?」

「(・・?)」


シンハさん達の道場があった場所に行く途中、つまりは都市の第1の城門を抜けた所で見た光景は、かつてあった光景とは明らかに違っていた。


かつては多くの畑や牧場が作られ、それを管理する一家が済む家が疎らに建ち、日中は人々が畑の世話や家畜の世話をしていた場所だった。


だが今は畑の姿も牧場の柵も見えず、それらを管理して住んでいた人達や建物の姿さえも消え、ただ雑草や草花が咲き誇る平原が姿を現すだけ。その光景の変化を受け入れられず、まだ街の中のはずだという俺達の疑問に答える様にマップの判定が“ジャイアント平原”という“戦闘フィールド”に変化していた。


その事に驚き動きを止める俺達。よく見ると住人はともかく、復帰してきたであろう旅人達がマップの変化に同じように驚いている姿が見える。


「・・・・とりあえず道場の場所まで行ってみよう。あそこは第2城壁の近くだったはずだ。」

「何か解るかもしれませんわね。」

「・・・・・。」

「リダ姉ちゃん行こ?」

「そうね。ここで止まってても何も分からないものね。」

「では行きましょうか。戦闘フィールドなので魔物に気を付けて。」

「(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!」


歩き始める俺達、フィールドに居るのは懐かしいスライムやホーンラビット。それにジャイアントウルフという新種の大きな狼の魔物だった。


魔物達の生態も変わっていて、友好、中立、敵対と状態を変化させる様に仕様が変更された。友好は俺みたいに友魔の鈴を使えば仲間に出来る魔物。中立は手を出さなければ襲ってこない魔物。敵対は目に入っただけで襲って来る魔物だ。


それぞれ緑、黄色、赤で名前が表示され。ジャイアントウルフは敵対の魔物だった。そして、俺達を見つけたジャイアントウルフが襲い掛かって来る。


「よっしゃ初戦闘だ!!張り切って行くぞ!!」

「と言ってもルドさんは攻撃できませんけどね。」

「しょぼん・・・・・・。」

「ちょっとクリン!!ルドさんが落ち込んじゃったじゃないの!!」

「パパ元気出して。」

「。・゚・(ノД`)ヾ(゚Д゚ )ナデナデ」

「でも事実ですわ。おっと敵が来ますわね。さぁさルドさん。いつもの通りヘイトをお願いしますわ。」

「・・・・<陽動>・・・・。」


クリンの言葉に傷付きながらも俺はやる気なく盾を構えてヘイトスキルである陽動を発動する。これはALOの時と違って発動すれば敵のヘイトがこっちを向くという物。しかも他の人が攻撃してもヘイトの移動は無いという結構破格のスキルだ。


「グルルガァウ!!」

「ほいっと。」ガインッ!!


戦闘開始


ルドの陽動が発動、対象はジャイアントウルフ。ジャイアントウルフは標的をルドに定めた。

ジャイアントウルフの噛みつき攻撃。ダメージ10ポイント。

ルドの防御。盾使い、両盾持ちの効果発動。ダメージ20%カット。ダメージ8

ルドの自己回復発動、HP5回復


おっと、戦闘ログが採用されたんだったか。スキルもきちんと発動していて実質受けたダメージは3だな。あっ自己回復で全快した。


「ガァッ!!」

「おっと!!」ガインッ!!


ジャイアントウルフのひっかく攻撃!!ダメージ5ポイント。

ルドの防御、盾使い、両盾持ちの効果発動。ダメージ20%カット。ダメージ4

ルドの自己回復発動HP5回復


よし良いぞ!!ひっかき攻撃ならダメージは受けない!!


「ルドさん巨大化はしませんの?」

「最初から最大サイズだよ。店とかに入る時は縮むけどな。」

「そう言えば最大身長3メートルですもんね。」

「さぁ私達も攻撃しますよ!!」


俺がヘイトを稼いできちんと盾役をこなせると思ったのか、リダ達が戦闘準備に入る。さて、ここで魔物のステータスがどう見えているのかというと俺達にはこう見えている。


ジャイアントウルフ(赤色) HP20


相変わらず鑑定系の能力が無ければ名前とHPが見えるだけ。しかしこちらには全てを見通すシアが居るのだ!!


「パパ!!ジャイアントウルフは無属性で噛みつきとひっかき、後魔法が使えるみたい!土魔法で石を飛ばしてくるから気を付けて!!弱点は斬撃と水魔法と樹魔法、耐性が在るのは打撃と土魔法と火魔法だよ!」

「偉いぞシア!!」

「えへへ~。」

「(*´з`)( ゚д゚)ハッ!(`・ω・´)シャキーン」ウィーンガシャンガシャン!!


シアが見抜いた情報を俺達に教えてくれる。その事を褒めたら何やらアイギスが羨ましそうな顔をした後に、キリッとした顔で両手をジャイアントウルフに突き出した。


その後、アイギスの腕から機械が動く音が聞こえたと思えば、掌から順番に折りたたまれ、腕の中から突き出したガトリングが姿を現した。


「(⌒∇⌒)」

「ギャウッ!?ガウガウガウ!!」ドゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!!

「ギャウンッ!!」


アイギスの腕部オートタレット発動。目標ジャイアントウルフ、ダメージ(1×300)×2。総ダメージ600ポイント。

ジャイアントウルフの防御。土壁生成。ダメージ30%カット

ジャイアントウルフに420のダメージ!!オーバーキル!!

ドロップ品が消失しました。


「(`・∀・´)エッヘン!!」

「あぁ・・・うん、アイギスもよく頑張った。」

「ヾ(*´∀`*)ノ」

「でも次はもうっちょっと火力の低い奴使うか、一斉斉射は止めてくれ。アイテムが何にも手に入らないから。」

「(-ω-)/」


ALO2の仕様で倒した際の敵の状態がドロップに影響するようになったみたいだな。アイギスの攻撃でジャイアントウルフは・・・・、簡単に言えばミンチになった。これじゃあ使える素材も何も無いわな。


「さて、目的地に向かいながら皆も戦闘を試してくれ。」

「あっじゃあ最初は僕がやります。丁度良い所にジャイアントウルフが居ますので。」


そう言って前に出たクリンが、遠くに見えるジャイアントウルフを標的として定める。右手のスリングショットを展開して、左手に白い光の玉を生み出してセット。よーく狙いを定めてそれを発射した。


戦闘開始(未発見)


クリンのスリングショット攻撃。標的はジャイアントウルフ。スキル狙撃、スリングショット使いが発動。命中補正+ダメージ5ポイント加算。ダメージ10ポイント


クリティカルヒット!!眼球に命中、ダメージ+5。未発見ボーナスダメージ+5。総ダメージ20ポイント。


ジャイアントウルフに20ポイントのダメージ。ジャイアントウルフは倒れた。


「一発かい。」

「弱点も設定されたんですね。うまく目の中に撃ち込めました。」

「未発見ボーナスというのも追加されてますわね。」

「不意打ちと言う事ですかねぇ。戦闘状態じゃなかったからダメージが増えたと。」

「クリン凄い!!」

「( ・´-・`)」

「はいはい、アイギスの方が凄いね。」


スキルを見てダメージを上げるにはどうすれば良いのかと思っていたけどもこういう事だったのか。他にもダメージを上げる方法がありそうだな。未発見ボーナスを強化するスキルとか、弱点ダメージを増やすスキルとかな。


「さて、ここら辺にはもうジャイアントウルフは居ないみたいだな。進むか。」

「そうですね。次は私が戦いますよ!!」

「その前に私が戦いますわ。リダさんは遠距離を持っていませんもの。」

「まぁ早い者勝ちだろうね。」

「シアも!!シアも戦う!!」

「σ(゚∀゚ )」

「アイギスはさっき戦ったからしばらくお預けな。」

「(´・ω・`)」


俺達はそのままシンハ夫妻の道場後を目指しながら、途中に居たジャイアントウルフを討伐して行った。初心者用フィールドだからなのかわからないが、大体が1匹で動き回っていて1人ずつ戦闘を試すことが出来た。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る