第241話
今いる場所の名前を調べる為にマップ機能をオンにした俺。するとそこに書かれていたのは見慣れない国名と、懐かしい都市の名前だった。
「えっ!?ここ城塞都市何ですか!?」
「正確には城塞“首都”ですわね。国名の方は知らない名前ですわね。」
「どおりでさっきの広場に見覚えがあった訳ですよ。あの場所は城塞都市の最初の広場じゃないですか。」
「広場は何処も似たような物だから気が付かなかったなぁ・・・。」
「戻って来たよ!!」
「ヾ(*´∀`*)ノ」
それぞれがマップを確認して現在地を確かめる。あれからゲーム内時間で60年以上経ってるはずなのに、大きな道は変わっていなかった。あぁ、なぜか城塞内のマップは全部表示されてたよ。
「これも引継ぎの影響ですかね?」
「お店の名前等は出てないので、ここら辺は自分で探せって事でしょうね。」
「目に付いたお店は表示されてますわ。」
「・・・・・。ちょっと見て回って良いか?」
「パパ?」
「(。´・ω・)ん?」
皆に街を見て回る事を提案する。うん、まぁちょっと沈んだ顔をしている自覚はある。心配そうにこっちを見上げるシアとアイギス、仲間達は俺のそんな表情を見てお互いに顔を見せ合った後に苦笑しながら答えてくれた。
「あー、私達も気になりますし。1人だと色々受け止めきれないかもしれませんから・・・・。良いですよ。一緒に行きましょうか。」
「僕も一緒に回ります。」
「仕方ありませんね。」
「すまんな。じゃあまずは家のあった場所に行くぞ。」
「皆居るかな?」
「((o(´∀`)o))ワクワク」
久しぶりに親父達に会えるとワクワクしているシアとアイギス。うん、心苦しいけども家の在った場所に行く途中にきちんと説明した。多分、生きていても双子くらいだと、長生きしてればシルくらいには会えるかもしれないけどな。
けどまぁ、案の定というかなんというか。親父達の家が在った場所には何も無くなっていた。手入れされた芝生と木々が植えられた公園になっていたな。
「まぁそうだよな。」
「皆どこに行ったのかな?」
「うーん、まぁ元気にはしてるんじゃないか?さすがに親父とカマーンさんは生きていないだろうけどな。家族が出来て、引っ越したんだろうな。たぶん。」
「(´・ω・`)」
60年も経てばそれくらいの事は起こるし、知人が1人も居なくなったなんて言う事も起こりうる。うん、最後にお別れの言葉もメッセージしてあったからか、そこまでショックは受けていない。でもやはり寂しさはあるけどな。
「では次は教会に行きますわよ。」
「ルゼダの修行してた教会はここから近いんだっけ?」
「そうですわ。」
と言う事で次はルゼダが通っていた教会に向かう。さすがに教会は残っていて、何度か改修されたのか見た目が全く違っていた。特に目立つのが教会の前にある広場に立てられた神々だと思われる像だ。うん、巨神様と空の神の像は解る。なんで両手に盾を持った巨人の像まであるの?
「どう見てもルドさんですわね。」
「最後に神様になってたから一緒に祭ったんでしょうか?」
「ルドさんの顔はこんなにシュッとしてはいません!!もっとごついです!!」
「リダさんや、そこ怒る所じゃないと思うし、こういう所でそんな発言はよしなさいや。」
「でも似てないよ?」
「( ´゚д゚)(゚д゚` )ネー」
こらこら止めなさい2人共、参拝に来た人達に睨まれてるからね?
「中に入りますわよ。」
「あいよ。」
「どう変わってますかね。」
教会の中はなんと前のままだった。唯祭られている神様が5柱になっているという変化はあったけども。
教会には参拝客が座れるようにベンチが備え付けられ、奥には教会関係者が祈りを捧げる場所が広くとられている。その奥には両手に盾を持った男の像と、その後ろに前の像より大きい巨神様と空の神の像、そして、その3人を見守るようにさらに大きな男の像と女の像が並んでいる。多分一番後ろのあれは父神と母神だな。
「よく見たら柱に遺跡の壁画が書かれていますわ。」
「巨神伝説の奴ですね。それに新しい物も増えてる?」
「右側の柱には巨神様の話、左側の柱には僕達が戦った話が描かれてますよ。」
「ねぇみてパパ。他の柱にも何か書いてあるの!」
「これは・・・・他の種族の神様か?」
巨神伝説とあの世界崩壊の危機を記したであろう柱の後ろにある小さな柱に、他の神々の話も描かれていた。他の神は巨神様と空の神の子供っていう話だったから、後ろに連なる様に作ったんだろう。
「記録として、そして正史として伝える役目を担ったんだなぁ。」
「恐らくここに居る聖職者の方々が語り部として歴史を紡いだんでしょうね。」
「まぁ復活した神々なら神託も降ろせるでしょうからねぇ。」
「そしてそんな語り部は今ルゼダに捕まって話をしていると。」
「パパ、あの人凄い興奮してる気がするよ?」
「(゜_゜>)」
シアとアイギスがじーっと見ている先には、老齢のシスターさんが何やら興奮気味にルゼダに話しかけている。ルゼダの方も何やらとても懐かしそうに話をしているな。積もる話もあるなら後で合流でも良いけども?
「ルゼダ!!話が長引きそうなら僕達先に行くよ!!」
「待ってくださいまし!!一緒に行きますわ!!」
クリンが声を掛けると頭を下げてルゼダが戻って来た。シスターさんは俺達に頭を下げて教会の奥に戻って行ったな。
「それで?あの人は?」
「ALO時代に一緒に修行していた住人の方ですわ。今はこの教会の責任者をしているみたいですわね。」
「良かったのか?話の途中で?」
「いつでも来れますから、問題はありませんわ。」
あの小さな女の子があんなに立派になって・・・・。何て親目線で語るルゼダ。あのシスターの様子を見るにかなり懐かれてたんだろうな。
「じゃあ次は僕ですね。場所は教会の裏手です。」
と言ってクリンが案内してくれたのは教会の裏手。そこは修道服を着た人達が畑を耕している場所だった。
「ここか?」
「えぇ、ですが無くなっていますね。」
「クリン、大丈夫?」
「(´・ω・`)」
「大丈夫だよ。覚悟はしてたから。」
寂しそうに畑を見つめるクリン。クリンが言うにはこの場所にオンボロの建物があったそうだ。
「あの~?何か御用ですか?」
おっと畑仕事をしていたシスターさんに声を掛けられてしまった。ついでだしこの場所にあった建物の事でも聞くか。
「この場所に建物があったはずなんだが、住んでいた人がどこに行ったか解りませんか?」
「すみません。この場所に建物があったなんて話も今聞いたばかりでして・・・。」
「そうですか・・・・。御手を煩わせて申し訳ありません。私達はここらでお暇します。」
「力になれずに申し訳ありません。」
シスターにお礼を言ってその場を離れる俺達。落ち込み気味のクリンにルゼダが声を掛けていた。
「あの子なら建物の事が解ると思いますわ。今度聞いてあげますから落ち込まないで下さいまし。」
「うん、ありがとう。でも多分亡くなっているだろうからお墓の場所さえ分かればいいよ。」
「・・・・・。そうですわね。私もシスターのお墓にお参りしませんと。」
「なら別行動するか?フレンド登録しておけば場所は解るだろ?こっちはリダと一緒に動くし。」
「大丈夫です。また来られますから。でもフレンド登録はしておきましょう。消えちゃってるみたいですし。」
という事でその場でフレンド登録を行い次の目的地に移動する。次はシンハさん達の道場があった場所だ。けどその場所に来た俺達は信じられない光景を目にすることになる。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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