第237話

宇宙の中を突き進んでいた俺の体は、1つの輝く星に向かって突き進む。その星には『Another Life Online2』と書かれていて、星の1つ1つがゲームソフトだったのだと教えてくれた。


そのまま光りの中に突入する俺。すると、白いキューブで構成された空間にたどり着いた。


『ようこそ『Another Life Online2』の世界へ。あなたには今から自身の分身となるアバターを作成して頂きます。』


おぉっ!!音声案内!!前はウインドウに文字が書かれていただけなのにな。こんな所でも進化を感じる!!


『では早速あなたのIDを確認します・・・・・。海堂守様、『Another Life Online』をプレイ済みですね。キャラクター名はどうされますか?』

「ルドのままで。」

『了解しました。運営からプレゼントがございます。お受け取り下さい。』


音声がそう言うと、空間の天井からキラキラと何かが落ちてくるのが見える。それは、ALOに在った友魔の鈴だった。


『『Another Life Online2』運営よりキャラクター名ルド様に送り物です。個体名『シア』、個体名『アイギス』をコンバートしました。これからも大事にしてください。』

「もちろん!!シア、アイギス、久しぶりだな。」


まだキャラクターが作れていないから鈴から出す事は出来ないみたいだ。でも、1年ぶり、ゲーム内時間では60年ぶりとなる再会なんだ。俺は手に取った鈴に向かって声を掛ける。何やら鈴がちょっと光った気がした。


『では次に職業や容姿、それとスキルを決定して頂きます。』

「待ってました!」


今回の一番の目玉はここだ!!俺は前回の行いを反省してちゃんと自分でキャラクターを作り上げると決めていた!!もう攻撃できないのは嫌だ!!


『この項目にはランダムもございます。ランダムを選ぶ場合はウインドウに表示されたランダムボタンを押してください。』

「絶対に押しません!!」


押すわけ無いでしょうがそんなボタン!!それで俺がどれだけ苦労したと思ってるの!!さぁさっそく自分好みのキャラクターを・・・・・はえっ?


「すみませーん。ちょっと聞いて良いですか?」

『はい、何でしょう?』

「ランダムボタンしか無いんですけど・・・。」

『管理AI問い合わせ中・・・・問い合わせ中・・・・返答有。ランダムボタンしか無いのは仕様です。』

「いや、あの、自分で選びたいんですけど?」

『プレイヤーの申請を送信・・・・・。管理AIより返答『不許可、さっさと押せ。』』

「なんだよそれ!!」


一番楽しみにしてたのここなんだぞ!!今回は攻撃力モリモリのアタッカーやるつもりだったんだからな!!それが選べないってどういう事だよなんだこのクソゲー!!


「って管理AIが言っているって事は母神と父神だろ!!出て来て説明しろ!!」

『ちょっ!!押さないで下さい母様!!父様も後から押さないで!!』

「この声は・・・・巨神様?」

『あー、久しぶりだなルド。』


今の言葉から父神と母神に押されて出てきたのは巨神様。いつの間にか白いキューブで出来た空間に現れた巨人は、申し訳なさそうに頭を下げながら挨拶してきた。


「巨神様も無事だったんですね。良かった。」

『その節は大変世話になった。』

「話し方変わりました?」

『これでもあの世界で信奉される神の1柱なのでな・・・・。』


ALOの時には忘れ去られてたけど、あの事件で神様として復権したからそれっぽくしてるって事ね。


『あーそれでなルド。1つ伝えねばならぬことがある。』

「なんでしょう?このランダムしか選べない状態の理由ですか?」

『そうだ。ルドよ、お前さんのオリジンスキルの最後の効果は覚えているか?』

「オリジンスキルの最後の効果?」


えっと、確かオリジンスキルは巨双盾神体だったっけ?最後のスキル・・・・あぁそうだった!!見えなかったんだ!!


「見えませんでした!!」

『あー、そのスキルなんだがな。元々はキャラロストをしたら一度だけ復活するというスキルだったのだ。』

「へっ?」


キャラロストってキャラのデータが全部消えるって事でしょ?それから復活するってどうやって?


『相手が父上だっただろ?だから念の為、そう、念の為に渡していたんだが・・・。』

「もしかして、今それが悪さしてます?」

『・・・・・そうなのだ。』


巨神様の話によるとですね?ウイルスに汚染されて消えたアバター『ルド』のデータがそのスキルのおかげで一部残ったんだと。そんでもって、世界が一緒でスキルシステムもALOの物から発展させたものを使ってるから、キャラロスト復活システムをALO2でも受け継いでるんだそうだ。


でだ、キャラを復活させるプログラムが俺のIDで動き始めて、でも一部しか残っていないから完全復活にはならなくて、最終的にシステムが選んだのはランダムにして失った部分を補完しちゃおうって事らしい。


「それって父神と母神の勝手ですよね?俺最初から選びたいんですが?」

『すまぬ、どうしても復活システムが止められなくてな。』

「IDが変えられないのにどうするんですかコレ?」

『本当に申し訳ない!!そのままランダムを選んでくれ!!』


えぇ~。そりゃ無いよー。これって運営に文句言っても許されるよねぇ。一旦ログアウトして文句言ってやる!!


『ちなみに、運営に文句を言っても無駄だぞ?』

「何でですか?」

『システムの根幹に関わる事だからだ。』

「つまりは運営に言っても変更できないと?」

『うむ、無理矢理システムを変更、もしくは停止した場合ゲーム稼働がそちらの時間で1カ月遅れる。』

「うむじゃないしなんじゃそりゃ!!」


えっ?その場合は俺が恨まれるの?1カ月遅らせた人間って事で?賠償責任とか取らされんの?本当にふざけんな!!


『この問題に関わっているのはそなただけなのだ。頼む!!押してくれ!!』

「・・・補償はしてくれるんでしょうね?」

『っ!!あぁ、出来る限りの事はする!!』

「なら良いです。ポチっとな。はい押しましたよ。」

『すまない、恩に着る!!』


まぁALOのルドにも愛着あったし、それが一部でも戻って来るんだったら損はない(と思う。)でもこの理不尽な仕打ちの代償は払ってもらうからな!!


『プレイヤー名ルドのキャラクターが作成されました。確認をお願いします。』


さて、どんな風になったかな?


名前 ルド

種族 巨人

所属 なし


HP 100

MP  10


スキル

<万想の鎧>

かつて巨双盾神の身を守っていた鎧が人々の感謝の思いを受けて変化した物。実体は朽ち果て思いだけが残った。発動中敵の攻撃を20%カットする。


<盾使い>

 盾を使った場合に敵の攻撃ダメージを10%カットする。


<自己回復>

 自分のHPを自動回復 HP総量の5%を毎秒回復する。


<状態異常無効>

 あらゆる状態異常を無効化する。


<攻撃封印>(呪)

 相手への攻撃が一切出来なくなる。


装備


頭  

体  初心者の服

右手 初心者のこん棒

左手 初心者の盾

腰  初心者のズボン

足  初心者のブーツ


アクセサリー

頭  初心の羽飾り

左手

右手


称号

<世界を守った者>


所持金 0マネ


「おう、待てやこら。おかしいスキルが1つ付いとるじゃろがい!!なんぞこの不穏な(呪)が付いたスキルはよ!!」

『あっ。』

「あっ。じゃないわ!!なんでこんなスキルが在るんじゃい!!」


衝撃的過ぎて口調がおかしくなったわ!!さぁキリキリ吐け!!ちゃんと事情を説明しろ!!


『えっとな?ロスト復活システムはなるべく元の状態に戻す様にプログラムされているのだ。』

「ふむふむ、それで?」

『元々ルドは一切攻撃出来なかっただろう?』

「出来なかったな。」

『元の状態に戻そうとしたプログラムが、新たにスキルを作ってルドに与えたのが今だ。』

「つまり元から攻撃できなかったルドと言うキャラに近づける為に呪いスキルを新たに作ったと?」

『・・・・・。そう言う事に、なるかなぁ?』

「すぐに消せ!!今消せ!!さっき出来る事はやるって言ったんだから今すぐこのスキルを消してくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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