第228話

デスゲーム開始から2日目、襲撃は明後日の早朝だ。城塞都市に集まった旅人達はスキルのレベルを上げたり、新しいスキルを身に着けて各地に散っている。そこで道場に参加しなかった人達に指導しているからこちら側の戦力はどんどん増えている。


開拓村を見捨てた時の様にはならないぞと古参の旅人が号令をかけて、渋っていた人も戦闘訓練に参加させ始めたからさらに戦える人は増えた。人によってはパワーレベリングだとか言ってるみたいだけど、命が掛かってるんだからそんなこと言う前に修行しろ!が今の旅人間での合言葉だ。


そして、城塞都市に潜入しようとした軍服達はというと・・・。幸せそうな顔をして涎垂らしてアヘアへ言ってる。


「ルドさん。人はここまで壊れるんですね・・・・。」

「うん・・・・。何も人を壊すには苦痛じゃなくても良いんだそうだ。快楽も行き過ぎれば人は壊れるってドヤ顔でカマーンさんが言ってた。」

「大丈夫なんですのこの人達?」

「すっごく手遅れに見えるんですけど・・・。」

「あらぁ~。ちゃんと手加減したから大丈夫よぉ~。」


軍服達の様子を見に来ていたらいつの間にかカマーンさんも後ろに立っていた。軍服達は他の仲間への見せしめとして、門の上に姿をさらしている。・・・・・あのだらしない顔も一緒に晒している。顔がリアルと同じだったら・・・・・考えるのは止めよう。


「さすがに女性は可哀そうだからうちの牢に入れっぱなしにしてるわぁ。」

「カマーンさん絶好調だね。口調が昔に戻ってる。」

「あの、もしかしてやっちゃいました?」

「もう何を言うのかしらリダちゃんは、私の体はダーリンの物よ。指一本触れさせてないわ。」

「それでどうやったらこうなりますの?」

「ルゼダは知ろうとしないでね?僕で実験しそうだから止めてね?」

「教えて欲しかったら教えるわよ?」

「「是非!」」

「「止めて!?」」


なんで女性2人はそんなに乗り気なのさ!!男2人から断固拒否を表明する!!


「まぁ冗談はさておいて。「本当に冗談だったのか?」さておいて!!ちょっとルドちゃんにお願いがあるのよ。」

「お願いですか?」

「えぇ、皆の修行は一段落したんでしょ?」


確かに俺達の修行は一段落している。戦闘狂ギルドがレベル1でどこまで行けるのか何て挑戦まで初めて、スキルの種類とスキルレベルがこれくらい上がればこの魔物は対処できる、みたいな情報をメガネ達が集めて拡散し始めたから、どこまでスキルレベルを上げれば大丈夫なのかを把握できたのがでかいな。


リダは修行なんかしなくても戦えたが、オリジンスキル発現の為に頑張っていた。努力の甲斐があって気功なんてスキルを覚えたし、心技無双というオリジンスキルが生えた。スキルの内容は教えて貰えなかったけど、これでレベルが下がる前よりも戦えるようになったらしい。


クリンとルゼダはオリジンスキル発動までには至らなかったけど、元々師匠の元で修行していたから戦える様になるまでが早かった。


だからぶっちゃけ今俺達は暇なのである。まぁ暇つぶしに修行していたから全員レベル低下前よりも強いかもしれない。


「市長から城壁の強化の依頼なのよ。後はアイギスちゃんを住民の一時避難の場所に使いたいんですって。」

「城壁の強化は良いとして材料はどうする?あとアイギスを避難場所に使うのも良いけど人はどう集めるんだ?」

「許可を出してくれてありがとうルドちゃん。今街にある資材は飛行船建造に全て使われているわ。空の神様って言ったかしら?あの方が空中大陸に避難しても良いと言われたみたいでね。人の輸送の為に沢山の飛行船が必要になったのよ。アイギスちゃんはその中継地点になって欲しいの。」


空の神様丸くなったよなぁ。もともと地上の生き物を全て消し去ろうとしてたのに、空中大陸に地上の人を避難させても良いなんて。


「そのまま空中大陸に住みついてくれる人が出る事を期待してますわね。」

「あっなるほど、そう言う事か。」


私欲が多分に混じってるじゃねぇか。感心してちょっと損した。


「ルドさん、空の神様と言えば巨神様はどうしたんですか?」

「巨人の村に帰ってから連絡が無いな。けど神様なんだから大丈夫だろ。とりあえず今日は材料を集めて防壁の強化でもするか。」

「それならば、今まで貯め込んでいた素材を使いますわよ!!全く使って居ませんから山の様になっていますわ!!」

「各種魔物素材の他に山の様なワイバーン素材と黒龍の素材がありますからね。かなり強固な物が出来そうです。」

「あー、使い道も無いしな。俺以外の皆の装備ももうドラゴン装備に更新してるし、そうするか。」

「あら、ルドちゃんたちの持ち出しにするの?だったら後で市長にお金を払わせるわね。」


市長大丈夫かなぁ?この街の財政破綻しない?めちゃくちゃ素材在るんだぞ?まぁ全部市長に任せるか。


「よっし、時間も無いし作業開始!!ルゼダは全体の設計を、俺は組み立てるから他の人は補助で!!アイギスはカマーンさんの言う事聞いて指定の場所で待機。シアはアイギスと一緒だ。」

「「「「「( ̄▽ ̄)ゞラジャ」」」」」」


勝手知ったるなんとやら。城塞都市の壁はほとんど俺が作ってるもんだから想定よりかなり速く新たな城壁が出来上がって行く。素材も持ち出しだし、ルゼダが加工が最低限でいい組み方を提示してくれたからサクサク作業が進む。おかげで城塞都市の範囲が3倍になったよ。新しい城壁の中には何が出来るんだろうなぁ。


「昼までに終わっちまったな。」

「ルドさんが巨大化すればアッと言う間ですわ。素材を握れば圧縮も出来ますし。強度もこれで心配ないですわ。」

「ちょっと向こうが透けて見えますね。」

「黒龍の鱗が主ですからねぇ。他は接着に使っただけですし。」

「泥団子捏ねて積み上げてる感じだったぞ。」


目の前には黒い水晶の様な壁が聳え立っている。土を盛り上げたような形だがしっかりと固い。念の為上に乗れるようにしたが、柵も何も無いので後で街の人に改造して貰おう。


「おーい!!ルド殿―――!!」

「あれ?ローズさんじゃないですか?」

「戻って来たのか?おーい!!ローズー!!」


こちらに声を掛けながら走って来るローズ。巨大化して走るもんだからあっという間に俺達の傍まで来た。結構距離在るはずなんだけどなぁ。


「ルド殿、探しましたよ。」

「いや、城壁の工事を請け負ってな。それで、そんなに急いでどうした?」

「巨神様が聖域でお待ちです。至急ルド殿を連れて来るようにと。」

「聖域で何かあったのか?」


巨人たちの聖域と聞いて思い出すのは瘴気。空の神も原因では無かった瘴気がまた悪さをしても不思議ではない。俺が瘴気の取り込まれた時みたいに、巨神様が取り込まれて戦闘になるのかと剣呑な雰囲気を出す俺達を見てローズは慌てて両手を振る。


「ちっ違います!!今回はルド殿だけ来て欲しいんです!!」

「俺だけ?」

「はい、どうしてもルドさん“だけ”に巨神様から話が在るそうで・・・。」

「私達が聞いては駄目ですの?」

「申し訳ありません、他の人は聖域に入らない様にと・・・・。」


俺だけ、となると巨神関係の話だろうな。ストーリークエストはクリアしたんだが、もしかして別の話が進んだ?いや、非常事態の今クエスト関係のシステムも全部止まってるしそれは無いか。


「解った、俺一人で行く。」

「ルドさん?」

「そう心配するなリダ。巨神様も居るんだろう?」

「はい、聖域でルドさんを待っています。」

「だってよ、だったら大丈夫だ。」


心配そうにこっちを見るリダの頭を撫でながら俺は1人で聖域に向かう事を告げる。


「早く帰って来て下さいまし。襲撃まで後36時間を切ってますのよ?」

「そうです!!ルドさんが居なっかったらこの都市の防衛力はがた落ちですよ!!」

「ルドさん・・・・。帰ってきますよね?」

「絶対帰って来るさ。間に合わなかったら現実で飯驕ってやる。」

「オフ会ですか!!僕憧れてました!!」

「ふふふ、言質は取りましたわよ?戻れたらすぐにセッティングしますわ。」

「それは楽しみです!!」


俺の言葉に嬉しそうにする3人。俺もオフ会なんぞは初めてだが、楽しみがあったほうが頑張れるだろうしな。俺の財布は死亡する物と覚悟しておこう。


「ルド殿、時間が・・・。」

「おう、それじゃあ行って来る。」

「何かあったらすぐに連絡してください。」

「遅刻したら本当に全額支払わせますわよ!!」

「気を付けて、シアちゃん達にも連絡入れてあげてください。」

「おう分かった。」


俺はまず転移ポータルで巨人の村を目指す。ローズが後ろから付いて来るからこいつは一緒に居ても良いんだろう。さて巨神様はどんな用事で俺を呼んだんだ?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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