第226話

【・・・侵入成功。これよりコントロールユニットの制圧に向かう。】

【隊長。本当に大丈夫なんですか?これは奴等が作った兵器ですよ?】

【だからこそだ、奪えれば敵の戦力は削る事が出来る。奪えなくてもこの魔道具と呼ばれる物を改造した爆弾で吹き飛ばせばいい。】

【そう簡単に行きますかねぇ・・・。】

【行かなくても構わない。要塞の襲撃を知らせて都市に居る連中が慌てた隙に別動隊が潜り込む算段だ。】

【了解。各員、爆弾をセットしながら中央に向かって出発。】


ふむふむ、やっぱりあの軍服達か、俺に向かってまた会おう何てカッコつけちゃった隊長はこっちに居るのね。映像の乱れも無く綺麗に録画出来てるな。いまは相手の情報が少しでも欲しいから助かる。


あと残念、彼らが居るのは上部の都市部分。その中央には唯城っぽい俺達の家があるだけ。操縦室は下だよん。


多分こいつらずっと地下に潜ってて碌に情報収集出来てないな。アイギスはデカくて目立つし、掲示板に情報も上がってるから知られているだろうけど、友魔だっていう情報は隠して貰ってるからね。知らないからこそ奪えると思ったんだろうなぁ。


うぃーん!!うぃーん!うぃーん! しんにゅうしゃはっけん!!しんにゅうしゃはっけん!!かってにはいっちゃだめなんだよー!! うぃーん!うぃーん!うぃーん!


【見つかったか!!】

【なんとも気の抜ける警報音ですねぇ。全部子供の声なんて。】

【油断するなよ。私達の存在がバレた時点で強行突破して逃走するしか無いのだからな。各員!!全力移動開始!!爆弾は適当にばら撒け!】


銃を構えながら走る軍服達。うん、銃を撃つ対象は用意して無いんだ。何回も言うけどその要塞俺の友魔だし、DEF10000もあるし、壊そうとしても何かを取ろうとしてもその防御力を抜かないと不可能だから。手に持ってる爆弾でも傷付かないと思う。防御を抜く何かがあれば別だけど・・・・なさそうだな、うん。


「ここでぱぱにれんらくした~。」

「なるほどな。警報鳴らした時には旅人達の転移を始めてたのか。」

「あいぎすががんばってたよ?」

「(`・∀・´)エッヘン!!」

「偉いぞー。」

「((ノェ`*)っ) )タシタシ」


チリ~ン♪


おっと、アイギスを褒めてたら丁度鈴に呼ばれて戻る所だな。うん、軍服達の驚く顔が超面白い。


【なっなに!?】

【隊長!!ワープです!!この要塞ワープを始めました!!】

【解ってる!!爆弾の様子は!!】

【駄目です!!一緒に残ってます!!】

【クソ!!作戦は失敗か!!各員プラン・・・・】


ここで映像は終わりか。プランがどうのこうの言ってたからまだ何か仕掛けてくるんだな。それよりも先に対処しなきゃいけない事があるけども。


「リダ、ルゼダ、街に戻るぞ。軍服達が都市に潜入するらしい。」

「解りました。」

「シアちゃんの目の出番ですわね。」

「しあがんばるよ!!」


どうやって侵入するかは分からないが、シアの目は隠れている物、隠している物を見通す精霊の目だ。こういう陰でコソコソしようとしてる奴を見つけるにはうってつけだな。


「σ(゚∀゚ )」

「アイギスは街の上でお留守番。」

「(´・ω・`)」

「そうしょぼくれるな。上空から都市で変な動きをしてる奴が居ないか見張ってくれ。都市周辺で戦ってる人達を見守りも頼むぞ。危なかったら助けるんだぞ?」

「( ̄▽ ̄)ゞラジャ」


何かを期待する様に俺の前にデカデカと顔文字を浮かべるアイギス。でも今回はお留守番、と言っても上空から監視してもらう。これで何かあってもすぐに動けるだろう。都市全体が影に入っちゃうけどそれは仕方ない。対処が終るまでだから許して貰おう。


「それじゃあ皆、行動「おーいルドさーん!!」クリンか?」


早速皆で侵入者に対して対処しようとしたところでクリンがこちらに手を振りながら向かって来た。


慌てた様子も無いから緊急って事は無いとは思うが・・・。何かの連絡か?


「どうしたクリン?」

「市長から連絡です。コホンッ『街に入っていた連中は捕まえたから安心して道場を続けてくれ。』だそうです。」

「クリン、声真似うまいなぁ。」

「えへへへ。」


突然声色を変えて話始めたからビックリした。声が凄い似ていて表情も市長に似せていたから本当にそこに市長が居るような気がしたぞ。


「突っ込み処はそこじゃないですわ。」

「もう侵入者捕まったみたいですね・・・。」

「え~しあなにもしてない~!!」

「ヽ(`Д´)ノプンプン」


クリンの報告を聞いてあきれるルゼダとリダ。シアとアイギスは自分の活躍の機会を奪われたとプリプリしている。


「侵入者は何人だったんだ?」

「10人程でした。飛行船ドッグの1つを襲おうとしていたみたいですね。」

「ルドさんの予想が当たりましたね。」

「街中に爆発物は仕掛けられていませんでしたの?」

「街の人が怪しい物を見つけて、ベアンさんがその魔道具から怪しい気配がするって全部撤去しました。その際ベアンさんが爆発させて・・・・。」


うん、またやったのかベアンさん。多分魔道具に使われている魔法を調べようと解体に挑戦して暴発させたな。


「真っ黒になっちゃったかぁ。」

「なっちゃいました。」

「死んだとは思わないんですのね。」

「せっかくクリン君が神妙な面持ちで雰囲気づくりをしてたのに。」

「いやだってベアンさんだもん。防御の魔法使ってわざと黒くなるんだぜあの人。心配するだけ損するよ。」


失敗は絶対するから、心配しない様に笑いに持って行くんだぜ。何て笑いながら話す人のどこを心配しろと?


「襲撃者は今どこに居ますの?」

「守備隊の特別牢に入れたって。」

「特別牢ですか?そんな物ありましたっけ?」

「・・・・・・。」

「・・・・・・ぱぱぁ・・・・。」

「(・・?)

「どうしたんですの2人共?」


守備隊の特別牢。そこは簡単に言えば地獄だ。これでもかと人の尊厳を奪う為に用意された道具達、壁に無数にある赤黒い染み・・・その施設には、とても恐ろしい化け物が住み着き、今も獲物を狙って涎を垂らしている・・・。そうカマーンという名の怪物が・・・。


「カマーンさんですか?」

「というかルドさんは知ってますのね。」

「あぁ、守備隊の特別牢って親父の家の地下だからな。」

「「「へっ!?」」」


親父の新しい家は守備隊の詰所に近い都市の中心部にある。多分、詰所からそのまま親父の家に運ばれたな。


赤ん坊が居る家の地下にそんな物を作って情操教育に悪影響が出るって?違うんだ。親父達の言い分は逆なんだよ・・・。


「あら。人なんて簡単に死ぬんだからこれくらい普通なのよ?それにこんなに可愛いんですもの、絶対に事件に巻き込まれるわ。その時に動けるように今から慣らしているのよ?」

「心配しなくても俺達の子供何だからこれくらい大丈夫だ。それにほれ、すでに相手の急所を狙い始めている。こいつらは天才だぞ?」


まだ言葉も話せない赤ん坊の前で、親父は魔物を、カマーンさんは人を解体するんだよ・・・・。もうね、どこの暗殺者一家なのかと・・・。あと親父の天才発言は唯の親バカなのでスルーで。


その時は何とかシアの力を借りて止めたんだけど。今度は悲鳴やうめき声を聞いても動揺しない様にするっていって牢屋はそのまま、カマーンさんが色んな悲鳴を聞かせる為に罪人を融通してもらってあの手この手で心を折るんだ。いつも牢から出される頃には入れられた人は廃人みたいになってたからな・・・・。


「それって大丈夫なんですか?いろんな意味で。」

「その後でシルが寝られないと親父達を怒って、近所からも苦情が来たから牢屋には音を遮断する結界を付けた。いまや双子の最後の盾はシルなんだよ。結界の中に双子を連れて行こうとするカマーンさんをいつも必死に止めてるよ。」

「しるはふたごのためにじぃじとばぁばをいっぱいおこったよ。」


俺達の話を聞いてドン引きする皆。うん、俺もそんな気持ちだから、皆仲間だからな?


「だけどあそこには色々と道具があるからな。たまに罪人で情報を吐かない奴が連れて来られるんだよ。多分今頃カマーンさんが張り切って『ギャーーーーーーーッ!!』拷問してると思う・・・・・・。」

「ここまで悲鳴が聞こえるとか大概ですわよ?」

「たぶんばぁばしゃおんけっかいいれわすれたの・・・。」


とりあえず軍服のお仲間さん達には合唱しておこう。精神が死んで無いと良いんだけど・・・・。( 一人一)


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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