第225話
デスゲーム開始から24時間が経った。と言っても俺達の周りはそこまで騒がしくない、だって皆自分を鍛えるのに一生懸命だからね。
騒がしいのは城塞都市以外の場所。アイギスに旅人の回収をお願いしたけれどまだ全ては回り切れてないし、そもそもが街の防衛を考えて囲い込みを始めていた場所もあった。レベル1だとしても住民よりは戦える戦力だからね。住民が魔物を喜々として刈り取る城塞都市がおかしいんだよ。うん。
シアから困ったと連絡を受けたので俺は希望者だけ連れて来るように言った。まぁ空中要塞がいきなり街の上に来て、旅人を出せ!!なんて言ったもんだから追い返される事がほとんど。こうなるなら誰か一緒に行ってもらえば良かったぜ・・・・。
まぁ友魔のレベルは下がってないし、イルセアさんが友魔使い同士のネットワークを使って各地で道場を開いて鍛えて欲しいとお願いしたから何とかなるでしょ。
戦闘狂ギルドはレベルが下がった事なんかまったく気にしないで、むしろ最初から鍛え直せると喜々として魔物に突っ込んで行ってるそうな。死ぬかもしれないのに良くやるよ。あぁだから戦闘“狂”なのか。
苦しい立場に居るのは魔法関係の職業だな。大体がスキルレベルを上げてポイントで魔法を取得していたから、教会で修行をしたルゼダみたいな回復職はともかくとして攻撃魔法使いが全滅してた。
どうにかならないかと相談を受けて思い浮かんだのはベアンさん。あの人魔法の天才だからね。魔法職の人を指導してくれないかお願いしに行ったよ。
「いいぞ。」
という二つ返事で受けてくれた。シアには街を回る際に魔法がまた使える様になるって宣伝してもらっている。おかげで魔法職の人は結構増えたよ。
襲撃に対しての備えは着々と進んでる。城塞都市で鍛えた人が各地に散って道場を開いてと寝る間も惜しんで動いてくれてるよ。
指導できる基準は何らかの戦闘スキルが10になる事。昨日道場を始めた時からスキルレベルの上がり方がすごく上がりやすくなっててね。結構サクッと上がってくれる。生存系のスキルも上げて送り出してるのが今だね。
「ルドさん!!そろそろ休憩してください!!」
『まだ行ける!!』
「でも昨日から寝てないじゃないですか!!」
『こんなもん締め切り間際に比べたら楽勝楽勝!!』
「襲撃者の情報が上がって来ていますわ!!会議を開きたいので中断してくださいまし!!」
『襲撃者!?』
おいおいおい、命が掛かってるっていうのに襲い掛かる馬鹿が居るって言うのか?
『ちょっとすまん、緊急だ。』
「大丈夫です。しばらく引き受けます。」
「鍛えて貰ったからな。後から来る旅人の世話は俺達でするよ。」
『頼んだ。解除』
一緒に道場の監督をしてくれていた名も知らない旅人に後を任せて仲間の所に向かう。
「襲撃者って事は何処かが襲撃されたって事だよな?どこだ?」
「ニノヒ帝国の首都が襲撃されました。旅人に死傷者多数。ルリさんからの情報ですわ・・・・。」
「あそこはまだアイギスが回ってない場所だな・・・・。道場を開きには行ってなかったか?」
「もう少しで指導役を派遣する所だったんです。」
「完全に先手を打たれた形か・・・・。襲撃者達の情報は?」
「いつかの軍服集団ですわ。スクショが回って来てますわ。」
ルゼダが見せてくれたスクショには、いつかの坑道で遭遇した軍服集団が銃を片手に旅人達に襲い掛かる映像が映っていた。
「姿を見せてなかったと思ったら、今このタイミングで出てくるのかよ・・・・。」
「恐らく、魔道具の供給を断つのが目的ですわね。」
「なるほど、魔道具があればレベル1でもある程度戦えると判断してか。旅人だったら普段使いの魔道具も武器として改造出来るからな。」
「ですが、それならなぜここを襲わないんでしょう?」
「ん?どういう事だ?」
スクショから顔を上げてルゼダの考察に同意しているとリダが不思議そうに首を傾げてた。
「この画像を見るに相手に飛行戦力は無い様に見られます。城塞都市には飛行船のドッグがありますから、まず潰すべきはここでは無いでしょうか?」
「そう言う考えもありますわね・・・・。それに今や城塞都市は飛行船技術のノウハウを生かして新たな魔道具開発に着手しています。今更ニノヒ帝国を襲撃した所で、ゴーレムダンジョンと多数の工房を備えるこの都市があれば供給は可能ですわ。」
リダの言う事になる程、と納得する部分がある。飛行戦力を持たない奴等は飛行船に見つかれば一溜りもない。それに魔道具の供給はルゼダの言う通り城塞都市からも可能になっている。市長夫妻が発明馬鹿で研究者に飛行船の売り上げを研究費として配ってたから、魔道具技師達がかなりの数都市に移って来ていたんだよな。皇帝も娘が嫁いだ場所なら安心だって全面的に移住の許可を出したって聞いてるし。
じゃあなぜ帝国を襲撃したのか・・・・。ってまぁ多分考えている事は1つか。
「自分達が魔道具を手に入れる為だろうな。」
「ここを襲撃する前の準備、という訳ですね。」
「帝国にはブリンガー開発の工房があったはずですわ。遮蔽物の多い場所からブリンガーでの突撃強襲。恐らく広範囲に効果を及ぼす魔道を使って来ますわね。」
「それか城塞都市の封じ込めを狙うとかな。」
城塞都市は襲撃が起こった今、多くの旅人達が拠り所にする重要拠点になった。ここが落とされたら飛行船も奪われるだろうし、魔道具の供給量もかなり下がると思っていい。そうなると襲撃者達を余計に止められなくなる。デスゲーム開始時から市長の発令で都市に居る人達の身元確認と入ってくる人たちの検問は行われているからすでに入り込んでいた!!っていう事は無いと思うが・・・・。
「注意が必要だな。」
「えぇ、以前も坑道にいつの間にか入り込まれていましたから。」
「街の人達は全員顔見知りですから、変な人が居ればすぐに分かると思いますわよ。何せ魔物と戦う義務のある街ですもの、戦闘慣れしている人はすぐ解りますわ。」
「警戒しておくに越したことは無いだろう?それにあちらは銃なんて文明の武力の象徴を使ってるんだ。何が在るか分からんしな。」
「と、空中要塞の契約者が申しておりますわ。」
「一番強い武力を持ってる人が言っても説得力無いですよねぇ・・・・。」
「いや、そう言われたらそうなんだけどな?」
このまま何事も無く襲撃に備えられる・・・・とは思っていない。こういう時は必ず問題が発生するからな。
【ぱぱ!!たいへんたいへん!!】
【ヽ(д`ヽ)。。オロオロ。。(ノ´д)ノ】
ほらな?
【何があったシア?】
【あいぎすにしんにゅうしゃ!!】
【;ω;】
例の襲撃者達が乗っ取りの為に動き出したか?まったく、そんな簡単に渡すわけ無かろうに。
【保護した旅人は?】
【てんいしてもらったよ!】
【( ´∀`)bグッ!】
【解った、旅人の保護はもう終わりで良い。戻って来い。】
【はーい!!】
【( ̄▽ ̄)ゞラジャ】
チリーン♪
「ただいま!!」
「|///|ヽ(゚Д゚ )ノ|///|タダイマー」
「お帰り。」
アイギスって唯の空中要塞じゃなくて俺の友魔だからね。友魔の鈴を鳴らせばこの通り、すぐに戻って来れるのだよ。まぁその際に乗っていた人や異物は空中に放り出される訳だけども。今頃慌ててんじゃねぇかなぁ。
「侵入者はこういう人達だったか?」
「うん!こうどうでみたひとたち!!」
「(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ウンウン」
やっぱり襲撃者はあの軍服連中か。それだけ武器になる物を求めているって事だな。
「何か言ってなかったか?」
「ろくがしてあるよー。」
「( ・´-・`)」
相手の会話まで録音してるとかアイギスは優秀だなぁ。
「(ノ´∀`*)」
「んじゃ早速流してくれ。」
「はーい」
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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