第208話

さて、ロアも仲間になったし水晶も手に入れた。これで巨神様からローズが解放されるはずだ。


『では行きますよ。』


ピカーー!!


水晶を握った巨神様の体から、光りがどんどん抜けて行き水晶に移っていく。次第にローズの体が現れ始め、体を覆っていた光りが全て水晶に吸い込まれて行った。


「ルド様!!」

「おっと!お疲れさんローズ。」


元に戻ったローズは水晶を持ったまま俺に飛びついてきたので受け止める。なにやらリダが膨れているがまぁこればかりは仕方ないでしょ?


『夜伽なら私がばっちり監修します。さぁ早く寝床に行きましょう。』

「何言ってんですか巨神様!!ってかその状態でも話せるんですね。」


ローズが手に持っている水晶がピカピカ光り、それに合わせて巨神様の声が聞こえる。さてこの後一体どうすりゃいいんだ?


「巨神様はこのまま巨人の村に戻る感じですの?」

『いえ?戻りませんよ?』

「えっ!?じゃあこの後どうするんですか!?」

『このままあなた達に着いて行きます。』

「「「「えぇ~!!」」」」


どうやら巨神様も一緒に来るみたいですよ?いや着いて来て何する気なんですかねぇ?


『空の神が復活するんですから一緒に行くのは当然です。ちょっとOHANASIしないといけませんから。』

「Oh・・・、いつの間にか巨神様がサブカルに染まっている・・・。」

「でも危険ではありませんか?水晶が割られたら大変な事になりますよ?」

「きょしんさまいなくなっちゃう?」

『あぁ、それなら大丈夫です。よいしょっと。』


ピカーッ!!


再度水晶が光ったかと思うと、水晶から手足が生えて来た、次に頭、最後に体が出来上がりそこにはローズに憑依していた時の巨神様の姿が!!


『これで問題ありません。』

「いやそれが出来るなら最初からやりましょうよ。」

『コアとなる水晶が在るからこそ出来た事なんですよ?まったく我が子は察しが悪すぎです。』

「えっ?あの、ルドさん?我が子って?それにここは何処ですか?」

「あぁ~。ローズさんは記憶が無い感じですね。こっちで説明します。ルドさんは巨神様とこの先どうするか話しておいて下さい。」

「あいよ。」


他のメンバーが奥でローズに事情を説明している間、俺は巨神様とこの先どうするかを話し合う。


「それで、復活阻止には動かないんですか?さっきの感じだと邪魔はしないと聞こえますが?」

『阻止はしませんよ。ここで邪魔をしてもいずれどこかで復活します。ならば場所が解っている方が都合が良いですから。』


ふむ、都合が良いとは一体?巨神様は何をするつもりなんだ?


『ふふふ、それはですね。旅人の皆さんに空中都市を作って貰いたいんですよ。』

「はい?」

『ですから、飛行船の技術を使って空中都市を作ってください。』

「はいぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」


なんかとんでもない事言い始めたぞこの人!!


・・・・・『ですから、空の神の願いは自身が司る空でも生命を育みたいという事なんですよ。』

「ほえぇ~。だから空中都市ですか。」

『えぇ、旅人の皆さんが来る以前ではその技術のとっかかりもありませんでしたから。今回は千載一遇のチャンスとも言えます。』

「でもいいんですか?大地を空に浮かべちゃっても。巨神様が困りません?」

『別に私は困りませんよ。大地はずっと続いていますから。』

「空に生命ねぇ・・・。それで納得するんですか?」

『その為のOHANASIですよ。フフフフフ。』


巨神様、貴方今悪い顔してますね?いや光ってるから表情は読みにくいけど今確実に何かを企んだ顔をしているはずだ!!だって笑い声が黒いもの。


「お話は聞かせてもらいましたわ!!だったらドラゴニアとも協力してかなり広範囲をぶち上げて差し上げますわ!!」

「ルゼダ、口調が汚くなってるよ。でも空中都市かぁ、それが在ったら冒険も楽になるかなぁ。この世界かなり広いですし。」

「飛行船も出来ましたからね。補給基地としても使えますね。」

「でもこれ俺達だけじゃ出来ないだろ?」

『あら、ならこうしましょう。』


ピンポンパンポーン⤴ 特別クエスト『空中都市を作れ』が発令されました。このクエストはこの世界の神からの依頼です。報酬は貢献度の高さにより願いを叶えて貰える範囲が変わりますので頑張ってください。期間はゲーム内時間で200日、それまでに建造できなければこのクエストは失敗扱いとなります。旅人の皆様、頑張ってください。ピンポンパンポーン⤵


ポカーン


今の俺達の状態を表すとこうなる。何やら巨神様が指に光を集めてそれを振ると、クエストが発生した。いや何言ってんだって話だが本当にそうなんだからしょうがない!!


『これで問題ありませんね?』

「いやいやいや!!問題大ありでしょう!!何やってんですか!!」

「建造するにもこれでは好き勝手に空中都市が生まれますわよ!!」

『あら、そのほうが面白いではないですか。バリエーションは豊富な方が良いですしね。』


バリエーションとかそういう問題じゃないでしょうに全く!!これじゃ俺達も急いで帰って空中都市を作らないといけなくなったじゃないか!!なんでかって?報酬が欲しいからだよ!!


「まずはドラゴニアに戻って全員に声を掛けよう!!」

「使っていい土地、もしくは無人島を探すのが先ですわ!!」

「ロアちゃんなら知りませんかね?」

「そうですわね!!早速役に立つ時ですわよロア!!」

「キュ~!!」

「あっ鳴き声が可愛くなってる。」

「ろあやっほ~。」


さっそくとばかりにルゼダが海面にロアを呼び出して、無人島が無いか聞いている。アルバトロスの中には神器はあるけど転移ポータルは無いから、島を確保したら急いで戻らないとな。


『そういえばあのクジラは島を飲み込んでいませんでしたか?』

「「「「あっ。」」」」

「みんなあわてすぎ~。」

「何が何やら解りませんが、皆さんいったんお茶を飲んで落ち着きません?」


ローズが煎れてくれたお茶を飲みつつ一服。ルゼダがロアに聞いた所、戦闘中に出した島が後3つ、あの島よりも大きい奴が1つお腹に入っているらしい。お前のお腹の中一体どうなってんだよ・・・・。


『水晶の影響を受けて体が肥大化。水晶は胃袋に入っていたので、そこが一番影響を受けて空間拡張されたんでしょうね。』


天然のストレージみたいにかなり大きな場所になってると巨神様は言う。確かに口よりも中の方がかなり大きかったしなぁ。イベントだったのか流されてそのまま目的地に着いちゃったけど。


「これで土地は確保できましたわ!」

「後は浮遊機関と動力を用意するだけ!!」

「土地同士をくっつけて浮かばせれば、後は建物を建てて終わりです!!」

「で?そのお金は何処に在るんだ?」

「「「あっ!」」」


うん、さては皆まだ落ち着いてないな?確かに空中都市を自分達で作るっていうのはワクワクするが、もうちょっと現実的に考えないとな。いやゲームの中で現実的にっていうのも変な感じだが。


「と言う事でまずは金策だな。」

「何をしますの?」

「せっかくロアという強力な味方も出来たし、アルバトロスは海中も行けると解ったし。ロアの腹の中をちょっと調べてからせっかくの海だから海中探索の続きをするぞ!!」

「その心は?」

「沈没船とか必ずあるだろうからとレジャーハントするぞ!!」

「はっ!!私とした事がその事を忘れていましたわ!!」

「おったからおったから♪」

「確かに沈没船とか在りそうですもんね。イカに襲われてよく見てませんでしたが何か眠っていそうな場所でした。」

「ロアが居れば何とかなるかもですね。海竜とかでなければですが。」

『それはフラグという物なのでは?』

「いま何かがピンと立ったような?」

「さぁ!海のロマンを求めて出発だ!!」


まぁこの時俺もちゃんと落ち着いて無かったんだよね。だって普通なら戻ってゴーレムダンジョンにでも行けば簡単にお金稼げるんだし。でも海のロマンを目の前に興奮しちゃってその事が頭から抜けてたんだよねぇ。まさかその結果があんなことになるとは・・・。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


2022/7/29 いかがでした?やっぱりわちゃわちゃを書いている時が一番筆が進むし楽しいですな。戦闘描写は苦手なので簡略化しちゃうのが目下の課題!!


さて、次は海底探索ですが一体全体どうなるのか!!次回更新をお楽しみに!!


2022/8/1 新作の方を上げました。もしよければこちらもご覧ください。異世界に転生した教師のお話です。異世界ファンタジーですね。

https://kakuyomu.jp/works/16817139557309795588

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