ロマンと海賊と怪物
第209話
「ヨーホーヨーホー海賊暮らし♪」
「なんで海賊なんですの?」
「なんとなく?」
「海の上を進んでいる状態ですからね。なんとなく海賊っぽいのは解ります。」
「乗っている船は飛行船ですけどね。」
ただいまロアの案内の元、船が多く沈んでいる海域に向かっています!!黒龍襲撃までのタイムリミットもあるからちょっと急がないといけないが。ゆっくりと広い海を進むのは気持ちがいいもんだ。
「キュ~♪」
「着いたみたいですわ。」
「この海底に沈没船が在るんですね。」
「シアー、潜航モードにしてくれー。」
「れーだーにかんありー。かいていからなにかあがってくるよー?」
おん?またイカか?クジラだったらロアが居るから何とかなるし・・・。
「念の為、戦闘準備!!」
「火器管制大丈夫です。」
「レーダーにしっかりと映ってるな。でもこいつは・・・・小さい?」
「出力は大丈夫ですわ。いつでも飛べますわよ。」
「かめらでかげをかくにん~。あがってくるよー。」
ちゃぷ
海に移った影から何やら頭が生えた。いや違う、海底から上がって来た何者かがこちらの様子を見る為に海面から顔を出した。あー、この人種に会うのは海底都市以来だな。
「人魚だな。」
「人魚ですわね。」
「海底都市に居た人・・・では無いですね。」
「きれいなひと~。」
海面から頭を出しているのは人魚だった。美人さんっていうよりはかわいい感じの青い髪と瞳をした人魚だな。幼い感じだからまだ子供か?
「~?」
「こっちをみて首を傾げてるな。」
「迷子でしょうか?」
「話を聞いてみますか?」
「誰が行きます?」
「しあいってくる~。」
「あっこら待てシア!!」
誰が声を掛けるかで話し合おうとしたらシアが先に行ってしまった。俺も慌てて追いかける。
「こんにちは!!しあはしあだよ!!おなまえおしえて!!」
「っ!?」ぽちゃんっ
「もぐっちゃった・・・・。」
「こらシア!急に大きな声を出したらビックリしちゃうだろ。自己紹介する時は落ち着いてゆっくりとだ。」
「は~い・・・。」
潜った人魚ちゃんはまだそこに居るみたいだな。影が見えているから驚いて隠れただけか。
「あー、ビックリさせてすまんな。何もしないから顔を出してくれないか?」
「・・・・・。」ちゃぷ
ふむ、目だけを海面に出してこちらを伺ってるな。話を聞く気はあるって事かな?
「あー、俺はルド。こっちのシアのまぁ親代わりだ。君の名前は?」
「・・・・シー。」
「シーちゃんか。君はどうして俺達の船を見ていたんだい?」
「船?箱じゃないの?」
あー、翼を畳んでいる状態だとそりゃ箱に見えるか。見た目を不思議に思って見に来たのか?
「俺達が乗ってるのは船にもなるし、空も飛べるし、海の中も進める乗り物なんだ。」
「ほえ~。」
「すごいでしょ!!」
アルバトロスの事を説明すると口をポカンと開けて感心しているみたいだ。まぁ見た事ないだろうな。
「人が乗ってる箱だったの。悪い事したの・・・。」
「うん?何かしたのか?」
「お頭に知らせちゃったの。もうすぐ来るの。」
「お頭?もうすぐ来るって・・・」
【ルドさん!!海中から大きな影が上がって来ます!!】
シーちゃんが何やら不穏な事を言い始めたと同時に、外部連絡用のスピーカーからリダの声が響く、海の方を見るとシーちゃんよりかなり大きな影が急速にこっちに近づいて来て・・・。
ドッパーーーーン!!
うおわっ!!海中から突然骨で出来た船が飛び上がって来たぞ!!竜骨も船の外装も、マストも全部骨の組み合わせで出来てるなコレ。帆に至ってはたぶんクジラかなんかの皮に鱗を張り付けた奴を使ってる。そんでもって驚きなのは船の横から大砲の様な物が突き出している事だ。バッチリ戦闘能力を持ってる船だな。
『なんだいなんだい!!お宝が浮いてるって聞いて来てみりゃ人が居るじゃないか!!』
「お頭ごめんなの。お宝じゃなくて乗り物だったの。」
『はん!!だったらその奇妙な乗り物を奪って乗ってる奴等は奴隷にするだけだね!!持ち物は全てあたいらのもんさ!!』
おいおいおい、いきなり物騒な事言い始めたぞ?えっ何?略奪者なの?ものほんの海賊なの?やる気なら応戦するぞ?
【撃っちゃって良いですかね?】
「いやまだ駄目だろ。」
【向こうはやる気みたいですわよ?】
【シアちゃん中に戻って来てくださいね。】
「はーい。」
とりあえずシアが居ないとアルバトロスは十全に機能を発揮できないので中に戻す。そんでもってアルバトロスの上で船の様子を見ている俺の目には、中から出てくる人の影が見えた。
「あたいがこのボーン・ダッチマン号の船長カーラだよ!!」
中から出てきたのは・・・美女だった。いや何言ってんだって話なんだけどね。顔がめっちゃ美人なの。胸部装甲も立派な物をお持ちでして・・・。唯一の人魚要素は下半身がタコって事かな?
外見はオレンジ色のロングの髪と赤い瞳、整った顔立ちと見事なプロポーションをお持ちの女性。頭に髑髏のマークが入った船長帽を被り、申し訳程度の布で胸を隠し下半身のタコ足にマスケット中の様な物を持ちながら、その立派な胸の下で両手を組み持ち上げている。その顔は自身に満ち溢れていて負けるとは微塵も考えていない感じだ。
「あー、あんたがその船の船長?」
「さっきそう言ったろ?」
「ボーン・ダッチマン号は船員2人なの。シーと船長しか居ないのよ。」
「こらシー!!これから部下は2000人いるってハッタリかまそうって時に何言ってんだい!!」
「ごめんなの船長。」
船員2人て・・・。良くその船動かせてるな。いやほんとどうやって動かしてるんだ?
『うちの馬鹿娘がすみません・・・。』
「キャーーー船がしゃべったーーーーー!!」
「船が勝手に喋るんじゃないよ!!」
『いやだってなぁ。向こうさんも困惑してらっしゃるし。自己紹介もしないと・・・。』
「骨さんが話すと場が和むの。」
「その所為で海賊としての威厳がでねぇんだよ!!」
し、心臓が止まるかと思った・・・・。骨で出来た船の艦首にぶら下がってる骸骨がいきなり話始めたから腰抜かしたわ!!でも声は凄く優しそうだし、娘って言ってたからカーラ船長のお父さんの・・・遺骸?
「ちなみにあたいはこいつの娘でも何でもないからな!!」
『そんな!!海底で私を組み上げた時の契約を忘れたと!!あれ?そう言われたら私は父親ではなく息子?』
「結婚もしてないのにこんな変な息子はいらねぇ!!」
「いつ見ても船と船長の漫才は面白いの。」
「なんかにぎやかやね君達。」
海賊止めて漫才師とかになったらどうかな?こっちも戦う気無くなっちゃったし・・・・。
「そうは行かないよ!!そんなヘンテコな代物に乗ってるんだ、さぞかし良いお宝を持ってるんだろ?全部よこしな!」
「ボンさん戦闘準備なの!!」
『すみませんね。これも船長の命令ですんで・・・。』
ガコンガコンガコン!!
おっと、船から突き出していた大砲がこっち向いたぞ?それとあの喋ってるシンボルの名前はボンさんっていうのか。ふむふむ、船が体だから自由に動かせるのか。なるほどなぁ。
「さぁボン!!やっちまいな!!」
『まずは威嚇射撃をしますからね。下手に動いて当たらないで下さいね。』
「ボンさんはやさしいの。」
「いや良いのかそれ?」
「良くない!!最初から当てる気で撃ちな!!」
俺が言いたいのはもしその攻撃で俺達が沈んだらお宝も・・・いや大丈夫なのか。元々海の中に居る種族だし。沈んだら沈んだで回収できるか。
ボンッ!!ボボンッ!!
おっと大砲が発射された。念の為に盾を構えて守護者発動の準備をしていたけど、ボンさんは言っていた通りに威嚇射撃だけしたみたいだ。
大砲から打ち出されたのは魚の骨。しかも大量に。でも結構威力があるみたいだな。バッシャンバッシャンと水しぶきが上がってる。あっ撃った骨は自分で泳いで船に戻って行くのか。ばらばらになっても元に戻ってるって事は船自体にもその能力ありそうだな。
「こらボン!!船長の言う事が聞けないのかい!!」
『次は当てますからお許しお~。』
「気の無い返事をしている時は狙いが甘いからすぐ避けられるの。」
「シーちゃんさっきから俺の横に居るけど大丈夫なの?」
「ルドさんの傍は危ない感じがしないの。」
この子は何を感じ取ってるんだろうね?あっ大砲が微妙にこっち向いた。何発かは当たるかな?
「さぁ覚悟しな!!」
さて、俺達の運命やいかに!!なんちゃって。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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2022/8/5 いつも♡や☆、応援コメントありがとうございます!!更新のお時間がやって来ましたよ!!今回は217話まで上げますので楽しんでいって下さい!!
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