第203話
『おーい、こっち終ったぞー。』
「次はこっちお願いしまーす!!」
『あいよー。』
はい、現在飛行戦艦の外装にドラゴンの鱗を張り付けているルドです。俺こんな事ばっかりやってない?
ドラゴンの鱗は貯蔵されてて仕様に耐えうる物を全てウケン達が全部買い占めたんだそうだ。買い占める為にせっかく買ったドラゴン装備を返却したとも聞いた。何やってんだかねぇ。
ドラゴンの鱗と言えばこれ成人したドラゴンの物だけらしいのよ。小さい子供の奴とかは親が記念に持っておくみたい。そんでもって成人した時の儀式に使うんだって。鱗自体は1枚1枚大きくて1メートルくらいかな?少し色が入ってるけど透明で向こうが透けて見える代物だった。
飛行戦艦に張り付けてもぱっとみドラゴンの鱗がくっついてるとは解らない感じ、でも近づいて見たらしっかりと鱗が認識できるかな。
まぁそんな鱗を延々と戦艦に張り付ける作業をしているんですけどね。1人で何百枚も鱗張ってたら気も滅入るって・・・。えっ?手伝いはいないのかって?巨神様はどっか行っちゃったし、シアは雑貨屋でシルと店番。他のメンバーも色々と動いてるからね。何人かは手伝ってくれてるけど、巨大化した俺がやった方が早いって結論ですよ・・・・。
そんなこんなで黙々と作業していると、帝国に行っていたウケン達が戻って来た。
『おー、おかえりー。』
「ただいまっすー。」
「おう戻ったぞー。」
「至急人を集めて下さい。ノート、私達は手に入れた情報をいったん纏めますよ。」
「了解です館長!!」
ウケン達は作業班に挨拶しに作業場に向かって来ているが、メガネ達は慌てた様子で戦艦の中に入っていった。
『なんかあったのか?』
「厄ネタだ。多分また大規模レイドが起きる。」
『原因は?』
「巨神様も言ってただろ?空の神が復活するんだよ。ゲーム内時間で、あーあと250日か。」
帝国に到着するまで10日、調査に30日でまた移動に10日かかってる今回の偵察。ドラゴンなら飛んでけばすぐなんだろうけど、歩いて行けばそれだけ険しいのがここら辺の土地だ。山あり谷あり魔物あり、到着の連絡を受けるまで結構時間掛かってんのよ。
『帝国の襲撃は?』
「復活に合わせて襲って来るつもりなんだと。だからあと250日は大丈夫だ。」
『十分間に合うな。』
「先に連絡しておいてよかったよ。戦艦の全面改修何て時間が無いとやってられんからな。」
そうなのだ、今回の襲撃予測日時の報告を受けて、十分時間が在るって事で当初外装に鱗を張り付けて武装をドラゴン素材で強化する予定が変更になった。内部機関も竜骨に至るまでドラゴン素材で強化する事になってもうてんやわんやですわ。今は外装と内部機関の調整を行っている所。
「そっちの用事は良かったのか?竜の心臓とかなんとかが必要だったんだろ?」
『それはもう向こうに送った。』
「地竜の子供ねぇ。今回のレイドで活躍してくれないかね?」
『生まれてから1年は待たないと戦闘できないらしいからな。今回は諦めだな。』
「しっかしドラゴンも思ったよりも気長だったなぁ。まさか半年以上待たされるとは思わなかった。」
『長命種に良くある話だってメガネ達が言ってただろ?俺達はその間に戦力と自身の強化をしなきゃな。』
まぁ警戒は必要だろうけどもそれでもしばらく時間はある。だったら色々とやる事やっちまおう。巨神様のお願いも先に叶えられそうだしな。
「ルドさーん!!」
『おっ来たな。』
「ん?リダの嬢ちゃんじゃないか。何か頼んでたのか?」
こっちに向かって手を振りながら駆けつけるリダ。その様子に訝し気に首を捻るウケンとララ。俺は鱗の貼り付け作業を続けながらその質問に答える。
『ほら、俺達専用の飛行船作ってただろ?』
「あ~、あのブリンガーを動力源にした小型飛行船の事っすね。完成したんすか?」
『色々修正が入って小型船って感じじゃなくなったけどな。まぁルシファーよりかは小さいが、100人くらいは乗れるんじゃないか?』
「それでも十分でかいだろ。」
『まぁな、それでリダにはその飛行船を受け取りに行ってもらってたんだよ。』
「お待たせしました!!私達の飛行船を持ってきました!!」
リダがストレージから取り出したのは平べったいエイのような形の物。リアルで言えばF117ステルス戦闘機のサイズが大きくなったような形だ。
体長50メートルの俺が乗っても平気なくらいの大きさ。全長150メートルで高さ60メートル。ちょっとずんぐりむっくりとした形をしている。
『こういうのアニメで見たなぁ。サラリーマンがロボット乗って戦う奴。』
「あったなぁ、確かアホウドリって名前だったか。」
「ではこの飛行船の名前は『アルバトロス』ですね!!」
主機関は翼の左右に1つずつと胴体に緊急用に1つ。翼の収納機能を備えていて、翼を折り畳めば地上も移動できる。浮上して動いているので水上移動も可能だ。
「それどころか水中移動も可能なんですよ!!」
『あの発明馬鹿夫婦何て機能を・・・。』
「おー、なるほど。気密性をめちゃくちゃ上げてるんだな。それでジェット噴射から水流噴射に切り替わると。魔道具ならではだなぁ。」
「現実でやろうとしたら推進器がお釈迦になるっすね。」
ブリンガーの動力である反重力機関の制御に成功したからと、水中にまで入れるようにするとかやり過ぎだろう・・・。
「武装は?」
「胴体に収納できる可動式6連魔道速射砲が備え付けられていて、翼の付け根の上部に2門、胴体下部の船首と艦尾の下部に2門。後は誘導式魔道ミサイルの発射口が翼に下に2門。胴体上部に解放式誘導魔法レーザーの発射口が左右3門ずつの計6門、あとは艦首展開式魔道レーザー砲が1門です!!」
『それ全部使えるのか?基本的に乗るのは俺達だけだろ?』
「全部運転席から操作可能ですよ?」
「おいおいおい、どうやってそれだけの武装を扱うだけの出力を得たんだよ。俺達の船だって火力は高いが、そこまでの物は積めなかったんだぞ?」
「ブリンガーの動力機関である反重力動力を市長が改造して反重力炉にしました。」
『・・・・・・ブラックホールエンジンかよ・・・・。』
「そりゃ出力じゃ勝てねぇわ。」
アニメなんかでよくある扱いには最新の注意が必要な特級危険物じゃねぇか!!爆発でも起きれば星が吹っ飛ぶぞ!!
「あっそこら辺はゲーム的な都合で大丈夫らしいです。というか吹っ飛ぶ前に自壊して周りに影響出ません。」
「実験したのか?」
「私たちが買ったブリンガーが全部吹っ飛びました・・・・。」
おいおいおい!!本当に何してんのあの夫婦!!せっかく買ったブリンガー全部ぶっ飛ばしてんじゃないよ!!
『誰も止めなかったのか?』
「ブリンガーの反重力動力よりもいい物が出来ましたから。必要経費だって言って皆笑ってました。王都で発明した人からは苦情の手紙が山ほど届きましたけど・・・・。」
「「『そりゃそうなるわ。』」」
自分が作り上げた物をぶっ壊された挙句にさらにいい物を作られたんならプライドもズタズタだろうしな。これで王都の人達と戦争とか起こさないでくれよマジで。
『まっこれで準備は出来たな。』
「はい!!後はルゼダさんとクリンさん、シアちゃんが合流すればいつでも行けます。」
「ん?どこ行くんだ?」
『忘れてんじゃねぇよ。元々俺達は巨神の涙を回収しに行く途中だったろうがよ。』
『そうです。忘れて貰っては困ります。』
「「「「『どわっ!!いつの間に!?』」」」」
いつの間にか俺達の後ろに金ぴかに光る巨神様が立っていらっしゃった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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