第201話

ここはドラゴニア公国、ドラゴン討伐を目的にウケン達が飛行戦艦でやって来たが、討伐目標であるドラゴンが殊の外理性的で話し合いが出来てしまった為にそのまま友好関係を結んでしまった。


だがそこに公国と敵対するリュウジャ帝国の黒龍が一匹現れ、ウケン達はレッドドラゴンから黒龍に捕まればどのような扱いをされるか不明なために逃げる様に言われる。だがドラゴン討伐を目的にここに来ていたウケン達は意気揚々と黒龍を討伐に乗り出す。


「お~!!結構風が強いですね!!」

「ちょっとクリン!!前に出るのは止めて下さいまし!!」

「射線ふさがないで下さい!!撃てませんよ!!」

『ええい!!我の背中で騒ぐでないわ!!くすぐったくてかなわん!』


レッドドラゴンの背中の上ではしゃぐクリン、その後ろで黒龍を狙撃しようとしていたリダが邪魔だと苦言を呈し、ルゼダも魔法の狙いが付けられないと注意を促す。


「飛行船も良いですけど、ドラゴンに乗って飛ぶのも良い物ですね!!」

「だからって立ち上がったら危ないですわよクリン!!」

「4人も乗せて貰って大丈夫ですか?」

『暴れなければ問題無い。だが騒ぎ過ぎて落ちても知らんぞ。』

「その時は自己責任ですね。」


黒龍を挟むように飛行船とは反対側をとぶレッドドラゴン。背中に乗っている3人はレッドドラゴンと一緒に黒龍の様子を見ている。


『ぐぬぬぬぬ!!おのれ公国め!!親を捨てた裏切り者が!!』

『親の間違いを正すのも子の役割であろう!!いつまでも妄執に取り付かれた哀れな帝国は今すぐに帰れ!!』


帰れと言われた黒龍だが、飛行戦艦からも魔法や搭載装備の砲撃を受けてだんだんと鱗がボロボロになって行く。中には中型船の強みを生かして近づいて近接攻撃を行う船まで出て来た。


「ひゃっはーーーー!!ドラゴン装備は最高だぜぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「切れー!!切ってしまえ!!そしてこいつは素材となるのだぁぁぁ!!」

「黒い鱗の装備とか絶対かっこいい!!絶対仕留めるぞ!!」

『ひぃぃぃぃぃっ!?』


ドラゴン討伐に意欲的でなおかつ鱗や爪、牙を重点的に狙い狂気的な表情で群がって来る旅人に黒龍は恐怖した。


『今日の所は偵察だ!!だが帝国にあだ名したお前達は絶対に許さん!!覚悟しておけ!!』

「あっ畜生逃げるな!!」

「追え!!追えぇぇぇぇぇぇぇっ!! 黒いドラゴン素材を逃がすなぁぁぁぁぁ!!」

『ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』


旅人の狂気に当てられ、涙を流しながら一目散に逃げる黒龍。追いかけようとする飛行戦艦だが、ドラゴニア公国まで無理をして飛行してきた為にエンジンが持たず、あまり速度が上がらなかった。


だがどこまでも追いかけ相手を素材にしようとする旅人たちの狂気に、レッドドラゴン達も震える。リダ達が乗っていたレッドドラゴンも、止めようと思えば止められたが、目に涙を浮かべ必死に逃げる黒龍を哀れに思い見逃してしまった。


速度が出ずともあきらめずに黒龍を追おうとする飛行戦艦を見送り、レッドドラゴンは地上に向かっていく。


『我等も一歩間違っていたらああなっていたのか・・・・。』

「話が出来るなら大丈夫ですわ。」

『向こうも喋っていたが?』

「交渉が出来るならと言い換えますわ。」

「あの人達が買ったのは赤とか黄色、後は青何かの原色に近いドラゴン装備ですからね。黒い装備が作れるなら血眼になって狩るでしょうね。」

「黒い装備はかっこいいですから、僕も欲しいです。」


レッドドラゴンが草原に降り立つ。背中に乗っていた3人の元に巨神様が体を光らせながら近づいて来る。


『どうなりました?』

「逃がしてしまいました。」

『そうですか。どうにかこちら側に来て欲しい所ですが・・・。』

『無理でしょうな。我等は何度もあ奴等と対話を望みましたが聞く耳を持ちません。』

『残念です・・・・。』


しょんぼりと肩を落とす巨神様。そこに追撃を諦めて戻って来た飛行戦艦が、草原に着陸してきた。


「逃がしちまったぜ。」

「無理し過ぎです。これで戦艦が壊れたらどうするつもりだったんですか?」

「そうっす!!もっと言ってやって欲しいっす!!無茶のし過ぎで魔力転換炉がお釈迦になる寸前だったんっすよ!!」

「わりぃわりぃ。」


頭を掻きながらララに謝るウケン。それでもララは腰に手を当ててプリプリと怒り続けている。


『もう飛べぬのか?』

「修理すれば大丈夫っすよ。今メガネさん達が整備を始めてるっす。」

『なら急ぐと良かろう。』

「なにかあんのか?」

『あ奴も言っておったがあれは偵察だ。お前等は偵察に来た黒龍を追い掛け回した挙句に逃がしてしまった。次は本隊が報復に来るぞ。』


レッドドラゴンの言葉を聞いてお互いの顔を見合わせるウケン達。そんななかルゼダがレッドドラゴンに問いかける。


「相手の戦力はどれほどですの?」

『帝国の戦力は1000のドラゴンだ。その全てが来るとは思わんが、100も来ればお前達では一溜りも無かろう。』


その言葉にドラゴニア公国にたどり着いた時の事が頭に過ぎる。もしあの文字を描き出したブレスが攻撃として戦艦を襲っていたら・・・・。


「よし!!すぐに修理に取りかかろう!!」

「解ったっす!!」


飛行戦艦に走って向かうウケンとララ。何かを考えていたルゼダは色々親切に説明してくれたレッドドラゴンにさらに質問を投げかける。


「ちょっとよろしいですの?」

『なんだ?』

「貴方たちの鱗は黒龍の攻撃を防げますの?」

『可能だ。我等と奴等はもともと同種。鱗であれば爪と火は防げよう。牙はダメだがな。』

「鱗の在庫はどれほどありますの?」

『う~む・・・・。正確には解らぬ。だが建国よりずっと鱗は貯めて来ている。相当な数が貯蔵されていると思うが?』

「ルゼダ?もしかして?」


ルゼダの質問を聞いてまさかと驚きの表情をしながら彼女に問いかけるクリン。そのクリンの表情を見てルゼダはニヤリと口元をゆがめる。


「メガネさん達と相談ですが、ここらで飛行戦艦のパワーアップをしてみません事?」

「でもそんな大規模な工事なんてここで出来ないよ!!」

「確かに難しいでしょうね。巨神様に手伝って貰うとしても持ち上げるだけで精一杯。せめてもう1人巨人が居てくれれば・・・。」


ルゼダの提案に不可能だと声を上げるクリン。リダも冷静に戦艦のパワーアップが難しい事を告げる。するとそこに聞きなれた声が聞こえて来た。


「おーい、お待たせー!!」

「ルドさん!?もう遅いですよ!!」

「すまんすまん、こっちも色々あったんだよ。」


ルシファーからゆっくりと歩いて来るルド。すると、ルドの姿を見たルゼダが走り出し、ルドの腕を掴んだ。


「いい所に来て下さいましたわ!!ちょっとお願いが!!」

「ん?なんだ?ってうわっ!!死体かと思ったら生きてるのかよこのドラゴン!」

『うむ、ちゃんと生きておるぞ?』

「しかも喋れるし・・・。どうなってんの?」

「説明は後でまとめてしますわ!!それよりも早く手伝って下さいまし!!」

「あっちょっ!!引っ張るな!!」


ルドの手を取り戦艦まで引っ張ろうとするルゼダ。ルドも頭にハテナマークを浮かべながらも抵抗せずに引きずられて行く。


メガネ達と合流したルゼダは飛行戦艦のパワーアップ計画を提案。話を聞いたメガネやウケンはノリノリでその計画を実行に移す為に動き始める。


その計画とは、飛行戦艦の装甲をドラゴンの鱗に換装し、主機関や転換炉にもドラゴン素材を使うという物。敵が攻めてくるという情報も併せて可能か不可能かを選択し、とりあえずはと装甲の換装と搭載武器のパワーアップが行われる事になった。


「さぁ時間がありませんわよ!!キリキリ働いて下さいまし!!」

「俺来たばっかりなんですけどぉぉぉぉぉ!?」


哀れルドは強制的に飛行戦艦の強化工事に駆り出されるのだった。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


2022/7/22 今回の更新はここまで!!まぁほとんど準備回ですね。次回から帝国との戦争が始まり・・・・・ますかねぇ?


行き当たりばったりなんでこの後どういう話にするかはまだ考えてません!!まぁ黒い素材は山になる予定です。


今回の更新の最初にもちらっと書きましたが、ちょっとリアル側でバタバタし始めたので、投稿話数がちょっと短くなるかもです。でも完結までは止まらずに書いていきますので、これからも応援よろしくお願いします!!

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