第183話

『GUOOOOO・・・・・。』


最後のミアズマ:ジャイアントが沈み、辺りに落ち着いた雰囲気が流れる。いやぁ、1時間半何てすぐだと思ったけど、意外と長かったな。


周りには浄化された半巨人族の人々が意識を失って倒れている。中には老人や子供の姿もあり、浄化出来て本当に良かったと皆で安堵の息を吐いた。


「ルドさん、ルゼダから浄化した人達を城塞に保護したいと連絡が在りました。城塞の中庭を広く取って、そこにこの人たちを運び込んで欲しいそうです。」

『おう解った。塔はもういらないな、その分城壁のサイズを変更して中を広く取って、城門を開いてっと。よし怪我人の搬入始めるぞ。』


俺は最大まで巨大化して怪我をした人達を城塞の中に運び込んでいった。城塞の中ではルゼダ主導で回復職による治療が行われる手筈だ。


運び込まれた人達は、回復職から治療を受けた後城塞の中庭に寝かされた。広く場所を取ったつもりだったが500人以上いる半巨人族は城塞の中に入りきらず、とりあえず重傷者を中に入れて軽傷者は城塞の外の壁際に寝かされることになった。


目を覚ました人からは事情聴取をして情報を集めてみるそうだ。俺は怪我人の搬入が終った後は山の中からまたミアズマが出て来るかもしれないので門の前で待機している。タイハクさんが一旦山門を締めてくれたんだけどね。それでも何が在るか解らないからさ。


「お疲れさまでしたルド様。」

「ローズか。そっちもお疲れさん。」


門の前で待機している俺の元に、ローズがお茶を持って来てくれた。


「村の人、全員無事だったんだって?」

「はい。中には命の危険がある程の怪我をしていた者も居りましたが、回復して頂いたお陰で全員無事に治りました。」

「そりゃ良かった。それで?村の人はあれで全員か?」

「今父上が人数確認をしています。ですが殆どの村人がここに集まっていたのは間違いないでしょう。」


って事は村は放置してそのまま聖地に直行か?いや、村を拠点にしてミアズマの数を減らした方が良いのか?


「ルド様にご報告したいことが。」

「・・・なぁ、そろそろその固い口調止めない?様付けも要らないって前にも言ったよな?なんかこう背中がむず痒いんだよな。おんなじ巨人な訳だしさ、頼むよ。」

「・・・ではルド殿と。口調はすいません。すぐには無理です。」

「まぁ様付けじゃ無くなったから良いか・・・。それで報告って?」

「意識を取り戻した同胞から情報が在りました。現在巨人の村は正体不明の集団に占拠されている模様です。その者達は黒い石を使いミアズマを生み出してそれを狩っていると。」


あー、赤落ちの話がここで出て来るのか!!かぁ~っ面倒くせぇなぁ!!


「こっちの作戦は何か聞いてる?」

「我々も山に入りミアズマを狩ります。そして浄化石を使って麓から清めて行き。ミアズマの発生を抑えようという話が出ていました。」

「そっか、しかし昔の巨人族に感謝だなぁ。この壁が無かったら瘴気はもっと広がっていただろうしな。」


山を囲う壁の内側は瘴気で真っ黒に染まっていた。瘴気ってのはどうやら空気よりも重いらしい。そのおかげで壁で瘴気の侵攻が止まり、他に広がっていなかった。赤落ち達が壁に変な事する前に対処しないとな。あぁ、目に見える範囲はすでに浄化して元の色に戻ってるよ。


「それじゃあしばらくは班を分けて浄化祭りだな。」

「ルゼダ殿もメガネ殿も同じことを仰っていました。あまり時間も掛けられないからすぐに動くとも。」

「そうは言ってもまだ目を覚ましていない怪我人も居るだろ?その人達はどうするんだ?」

「そこでルドさんに相談ですわ。城壁は何時まで維持できますの?」


うわっと!!びっくりしたぁ。いつの間にルゼダは傍に来てたんだ?


「城塞の維持かぁ~。実は維持に労力使わないんだよな。だが2つ作る事は出来ないんだ。ここに置いとくならもう使えないぞ?良いのか?」


いやぁ、まだ覚えたてってのもあるが。発動するのにMPを全部持ってかれるんだよな。師匠によると熟練度が上がれば消費MPを下げて城塞の大きさと数を調整できるみたいなんだけどさ。今はそこまで融通聞く技じゃないのよこの城塞って奥義はさ。


「全員が目を覚ましてから動くしかありませんわね・・・。」

「まぁそれしか無いわな。で、全員が目を覚ましたらどうする?」


俺の疑問の言葉にルゼダの目がキランと光った気がした。


「山門の中を浄化した所、そこから瘴気の反応が消えたことが解りましたわ。その結果を受けてミアズマの影響範囲を狭める作戦を思いつきましたの。村の皆様にも協力して貰って地上班を4つに分け、麓からミアズマを狩りながら土地を浄化して山を登って貰おうと思っていますの。もちろん浄化が出来る人員は均等に配置しようと思いますわ。」

「盾職が2人しか居ないが4つに分けても良いのか?」


村の人達にも助けて貰うのなら盾職が必要だろう。だけど今回盾職は俺とテッタしか居ない。


「こればかりは仕方ありませんわね。その分戦闘員を増やして対応しますわ。」

「でも赤落ちが中に居るんだろ?襲撃してくるんじゃないか?」

「索敵できる人を盾職の居ない班に配置しますし。何より村の人達が自分達も手伝うと言って聞かないんですの。困ったものですわ。」


まぁ、自分達の手で村と聖地を奪還しようっていう気持ちは解る。瘴気に関しても浄化する手段があるからミアズマに変化はしないだろうし、旅人が守れば逃げる時間くらいはあるか。


「後は赤落ち達が浄化した場所に瘴気石を使うとどうなるか、ですわね。」

「メガネ達の予想は?」

「再度ミアズマが生まれる土壌になるという予測でしたわね。」

「つまりはこちら側と赤落ち側の陣取り合戦って事ですか?」

「簡単に言えばそうなりますわ。」


陣取り合戦かぁ。人数は合流した村人を入れるとこちらの方が上になるだろう。そう言えば巨人の村って赤ん坊居ないのか?村を占拠されてるって事は人質にされたりしないか?


「ローズ、村には赤ん坊は居ないのか?」

「禍の予言がされた時に両親と一緒に伝手を使って避難したはずです。残っていたのはある程度戦える人だけです。」

「子供も居たが?」

「あれだけ大きければ十分戦力ですよ。」


まぁ確かに旅人よりも身長高かったからな。2mくらいか。それなら大人と一緒に動けば戦えるか?


「念の為、子供だけでもその伝手で避難できないか?」

「そうですね・・・。父上と相談してみます。」

「頼むな。この後の事を考えるとなるべく村の人にも避難して欲しいんだけどなぁ・・・。」

「聖地に居るであろうボスの存在ですわね。」


このクエストのボス戦が今まで見た事の無い大規模な物になる事は、文献やら情報を纏めると簡単に突き止められる。つまりはそれだけ死ぬ可能性が高いんだ。だから住民には避難していて欲しいんだよな。


「他の村人は説得できないのか?」

「あの感じですと、何かを手伝うまでは落ち着きそうに無いですわね。」

「そんなに凄い?」

「手伝いがしたいという圧力で物理的に潰されそうになりましたわよ?」

「村の者が申し訳ありません・・・。」

「村の奪還まで手伝って貰って、その後に避難して貰うしかないか。」


それで納得しなかったらもう面倒見切れん。ルシファーに詰め込んででも避難して貰おう。


「とりあえず城塞の戻って皆にこれからの事を説明だな。頼んだぞリーダー!!」

「それだけ色々考えられるんですからルドさんがリーダーやれば良いと思いますわ。」

「これだけ大人数に指示を出すなら後衛職の方が良いんだよ。俺はずっと前に出てるしな。広い視野で見えないから無理だ。」

「私は早速父上に避難について聞いてきます。」

「おう、頼むな。」


さて、久しぶりの赤落ち戦か。一体どうなるかね?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


2022/7/1 今回はここまで!!コメントからの影響を受けて色々盛り込んでみました。飛行船飛ばしましたよ!!発射シークエンスは結構よく書けたんじゃないかな?それじゃあちょっとエルガドに行ってきます。

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