第144話

ほいログインっと。さて、今日はどうしようかなぁ。ピロンッ♪ おっ?メガネからフレンドチャット?珍しいな?イベントダンジョン一緒に潜って以来かな?


【ルドさん、今時間大丈夫ですか?】

【大丈夫だぞ。どうした?】

【ちょっと一緒に調査に来て欲しいんです。】

【調査?】

【はい。ウケンのギルドが未知の遺跡を発見しまして。その遺跡が巨人に関係しそうなんです。】

【なるほど、それで俺に調査に協力して欲しいと。】

【はい、駄目でしょうか?】

【いや、面白そうだから行くよ。集合は何処?】

【城塞都市で大丈夫です。すぐに行きますので。】

【あっじゃあ俺はちょっと親父の所に顔出してから行くから。メンバー連れてったほうが良いか?】

【今回は6人PTで調査しますので、同行者1名を連れて来て下さい。】

【わかった。俺の場合はシアになると思う。】

【解りました。では後程。】ピブンッ


巨人に関係する遺跡か。もしかしてオリジンスキルに関係する場所なのかな?さてじゃあ早速親父の所に顔出してシアを呼んでくるか。


「親父―、居るかー?」

「おう居るぞ。」

「あらルドちゃんいらっしゃい。」

「兄ちゃん!!いらっさい!!」


親父達は今雑貨屋の2階で生活している。都市になった事で色々な店が出来て雑貨屋は必要なさそうなもんだけど。カマーンさんの元冒険者ギルドマスターの手腕と伝手で他の店じゃ手の届かない商品なんかを売っているから繁盛している。


シルも今はこの店の看板娘である。手足は蜥蜴みたいだけど愛嬌のある顔とカワイイ笑顔でシル目的の野郎共が店に良く来るそうだ。もちろんシルを泣かせるような事が在ったら親父かカマーンさんがボッコボコにして店の外に放り出している。なにやら『シルちゃんを見守り隊』なんて物も出来ているそうだが。まぁ、迷惑掛けなければ黙認する流れだ。


そうそうシルと言えば大分言葉がうまくなった。カマーンさんが寝る前に本を読み聞かせたり、日常的に会話をすることで普通に話せるようになった。たまにちょっと怪しい所があるけど、まぁそれは勉強中って事で。


「兄ちゃん、今日はどしたの?」

「あぁこれから出掛けるからシア迎えに来たんだよ。」

「あらシアちゃんなら今御神木の方に行ってるわよ?会わなかった?」

「ありゃ?すれ違いになったのか?」

「ただいま~。あっぱぱだ!!」


丁度その時にシアが帰って来た。いいタイミングだなぁ。


「おかえりシア。どこ行ってたんだ?御神木の所には居なかっただろ?」

「くいしさんとこ。みがほしいって。ぱぱのこってる?」

「あぁ、クイシさんがシアの実を欲しがってるのか。それで確認の為に戻って来たんだな。えーっとストックあったかな?ありゃ切らしちゃったか。」

「じゃあしあつくってくる。すぐほしいって。」

「あー、じゃあシアは連れてけないか。」

「どこかいくの?」

「ちょっと遺跡の調査にな。でもシアの実は色々使えるし、海底都市に送る分も作らないとだからな。しばらく実を作るのに専念してくれるか?」

「いいよぉ~。」

「調査に人が居るんだろ?誰を連れて行くんだ?」

「いつものメンバーに声を掛けてみるよ。とりあえずリダがログインしているみたいだからちょっと顔出してくる。」

「おう、気を付けてな。」

「兄ちゃんいってらっさい!!」

「ちゃんと帰って来るのよ?」

「ぱぱいってらっしゃい!!」

「行ってきまーす。」


さてさて、フレンドチャットでも良いけどたまには直接様子を見に行くか。


リダがお世話になっているシンハさんの家は今、畑を作っている場所の近くに移設している。新しく作った外壁の傍だね。その際に道場も建てて欲しいって事で結構大きな建物になってるよ。


「「「「せいっ!!はぁっ!!」」」」

「こりゃ!!腰が入っとらん!!もっとしっかり腰を落として拳は遠くを撃ち抜くんじゃ!!」

「「「「はいっ!!」」」」


シンハさんは神誼武創流の師範として今見どころの在る若者を捕まえては門下生にして鍛えている。中には赤落ちした人達も混ざっているけれど、本当はやりたくないとか、騙されて赤落ちしたって人達が殆ど、刑期が終ったら道場に来るように言ってスカウトしてるよ。


まぁその中で内弟子と呼べるのはリダだけなんだけどね。他の人はシンハさんに言わせればまだまだらしい。


「頑張ってるなぁ。」

「あっルドさん、どうしたんですか?」


道場の入り口から様子を見ていた俺に気が付いたリダが、指導を中断してこっちに来る。こらこら、指導をほっぽり出すんじゃないよ。門下生が睨んでるでしょうが。


「あぁ、忙しかったら別に良いんだ。いま指導中だろ?」

「はい。もうすぐ内弟子昇格試験があるので皆張り切っちゃって・・・。私も負けてられません!!」

「そっか、ちょっと様子を見に来ただけだから指導に戻ってやれ。今にも門下生に殺されそうだ。」

「ほっほっほ、ルド君がこんなヒヨッコ共に倒されるとは思えんがのぉ~。」


入り口でリダと話していると、門下生に休憩を言い渡してからシンハさんが声を掛けながらこっちに向かって来た。


「爺さん、冗談よしてくれ。倒れなくても倒せないだからな俺は。」

「そうじゃったの。まぁまたいつでも顔を見せに来なさい。リダも喜ぶ。なんならここに住むか?」

「お爺さん!?何言ってるんですか!?」

「ほっほっほ。曾孫はまだかのぉ~?」

「爺さん冗談はほどほどにしないとリダにぶっ飛ばされるぞ?それじゃあ俺はこれで。」

「また何か在ったらすぐ呼んでください!!すぐ駆け付けますから!!」

「対処出来なかったらお願いするよ。じゃあな。」


リダも忙しそうだからなぁ。自分の修行もしたいだろうし、今回は保留にしよう。さてと後は・・・クリンはまだログアウト中か。ルゼダは居るな。教会に居るかな?


城塞都市に昇格した事で街の施設は色々充実した。その一つが教会で、転職や回復魔法の習得、流派を覚える事も出来る。城塞都市に来た教会のシスターさんはルゼダの師匠だ。誘致する際に是非とルゼダが頼み込み、都市に来て貰った。


見た目30歳くらいの女性なのに実年齢90歳とかいう美魔女である。種族偽ってませんか?と聞いたら意味深な笑みが帰って来た。こわっ。


「ちわーっ。ルゼダ居ますか?」

「あらルド殿。ようこそいらっしゃいました。」


この教会でも師弟制度が適応されていて。今もシスターの見守る先で、神像に向かって多くの回復職が祈りを捧げている。


「ありゃ。お邪魔でした?」

「ふふふ、これくらいで祈りを邪魔される未熟者はこの場に居ませんよ。」


シスターの言う通り、誰一人として姿勢を崩さず熱心に祈りを捧げている。そして、そんな修行をしている回復職たちの先頭で祈っているがルゼダだ。


「転職したんですか?」

「えぇ、巫女見習いから先日やっと巫女に。長かったですわ。」

「ほえ~。頑張ったんだなぁ。」


シスターと話していると祈りが終ったのかルゼダ達が立ち上がり、それぞれが動き始めた。俺が来ている事に気が付いたルゼダは、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。


「なかなか様になってるじゃないか。」

「当然ですわ。光の巫女見習いから光の巫女になりましたもの。」

「巫女ルゼダ。いつも言っているでしょう?見習いから脱却したとしてあなたはまだ巫女として未熟。驕ってはいけません。」

「解っておりますわ、シスタークレハ。それで今日はどういったご用件ですの?」

「あぁ、ちょっとメガネから遺跡調査の協力依頼が来てな。今回は少人数での調査だから1人同行できるんだが「行きますわ!!」だと思ったよ。」


俺が苦笑しながら肩を竦める先で、ルゼダは目をキラキラさせながら拳を握っていた。


「遺跡と言えば未知!!そこに溢れるロマン!!歴史の中に隠された真実や秘宝が眠る場所!!考えただけでドキドキしてきますわ!!」

「ルゼダの場合は遺跡から発生するクエストや罠を調べたいってのが本音だろ?」

「もちろんそれもありますわ!!」

「巫女ルゼダ。みっともないですよ。淑女たるもの常に落ち着いて冷静になりなさい。」

「申し訳ありませんシスタークレハ。」

「それじゃあルゼダが参加って事で良いな?そう言えばクリンはどうする?」

「クリンは明後日までログイン出来ませんわ。」

「そうなのか?家の用事とか?」

「そんな物ですわ。」


ふむ、ちょっと心配そうな顔になってるけど深くは聞くまい。リアル事情だしな。何が出来るとも思えんし。


「んじゃ、メガネ達と合流するか。そろそろあいつ等も来てるだろ。」

「気を付けて行ってらっしゃい。ルゼダ、お勤めをしっかり果たすのですよ。」

「解っておりますシスタークレハ。さぁルドさん行きましょう!!」


と言う事でルゼダをPTに入れて俺達は合流場所である広場に向かった。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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