第141話

王都上空爆破事件が起こっちゃって、その爆破を受け止めてきちんと死んだ俺です。ハイ。久しぶりに『転痛』の出番だったよ!!


あんの馬鹿鳥が勝手にあの魔道具を起動しやがったから、爆発と衝撃波の2段構えが俺のオリジンスキルの能力を簡単に超えていった。根性と復活合わせても4回しか耐えられんのだぞまったく!!爆発→根性→オーバーダメージ→死亡→復活→衝撃波到達→根性→オーバーダメージ→死亡で王都全体を守る為に桁違いのダメージを受けてサクッと死んだわ!!


そんでもって広場で復活した俺。その腰に抱き着いて何やら泣きまくっているシル。うん、そうだね。旅人の事なんて分からないよね。


『GUUUUUU』

「そろそろ泣き止め?なっ?俺は旅人って言って、死んでも生き返るから。だから大丈夫だって。なっ?」

『GURGURGURGUR』


俺の言葉を聞いてもいやいやとでも言うかの様に俺の腹に顔をぐりぐりとこすりつけるシル。


「しばらくそのままにしといてやれ。いきなり目の前で大きくなったと思ったら弾け飛んだんだ。落ち着かせるの大変だったんだぞ?」

「ふふふ、兄妹仲が良くて良い事だわ。」

「さいごはばーばがだきしめてた。」


シルの後を追いかけて来た親父達を見ると、何やら煤けていた。シルが暴れたんだろうなぁ。シルの頭を撫でながら慰めていると、落ち着いて来たのか俺の体に登って首に抱き着いて来た。これ抱っこしろって事かい?まぁするけどさ。


「すんすんすん・・・・。」

「おーよしよし、心配掛ける兄ちゃんでごめんな?」

「丁度いい。そのまま兵舎まで行くぞ。」

「ちゃんと妹の面倒見るのよお兄ちゃん。」

「しあはおんぶ!!」

「シアは自分の蔓で捕まっとけよー。」


少女と幼女を抱っことおんぶする俺。誘拐犯と間違われないかだけが心配だ!!


途中何回も職務質問を受け・・・・・・る事もなく。無事に兵舎に辿り着きました。良かった・・・。周囲の視線は完全に父親と娘を見る暖かい目だったけどな!!


「あっルドさん!!お疲れ様です!!」

「おうリダ。お疲れさん。1人か?クリンとルゼダは?」

「王都に来たから観光して来るって言って先に行きました。私も後で追い駆けます。ルドさんはどうします?」

「あー、この子の事もあるし俺はパス。」

「この子は誰ですか?」

「親父の娘だよ。死んだと思ってたら生きてたらしい。なんか複雑な事になってるけどな。」

「えっ!?良かったですねルバードさん!」

「あぁ、ほんとにな。」

「さぁさ、こんな所で喋ってないで報告に行くわよ!!」

「それじゃあ私はクリン達と合流しますね!!」

「おう助かったよ!!ありがとな!!」


恐らく裏社会の住人を殲滅して連行してきた後であろうリダと別れて、俺達は兵舎の隊長室を訪れる。兵士達がバタバタ動き回ってるのはさっきの爆発の所為かね?


シルは兵士の持っている剣が怖いのか、俺にぎゅっとしがみついたまま見ない様に顔を隠している。俺はそんなシルの頭をポンポンと叩きながら親父達と一緒に歩いたよ。シアも頭を撫でていた。カマーンさん?親父?その生暖かい視線と嫉妬に狂った視線止めてくれませんか?


コンコンコン

「ホマン、報告に来たわよ。」

「おう入ってくれ。」


部屋の中に入ると兵士に色々指示を出していたホマンさんが椅子に座るように促してくれる。俺はシルを抱っこしてるから親父達が座った椅子の後ろで立つ事にした。


「おう、お疲れさん。すまんな、さっきの爆発の被害状況を調べたり犯人を捜さないと行けなくてな。」

「あら、それなら家の子が完全に被害を抑えたわよ?犯人は鳥人種の男だったわ。今日連行されて来た人達のお仲間みたいよ?自分でそう言ってたわ。」

「本当か!?なら念入りに取り調べをしないとな。」

「あと実行犯の奴は森の方に飛んでいったぞ。原型は留めていたが生きてるかどうかは分からんな。」

「いや、生死の確認が出来るだけでもありがたい。それで、本題だがその子が例の?」

「あぁ、王都を最近騒がせていた蜥蜴少女。俺の娘のシルだ。」

「娘!?」

「簡単に説明するとな・・・。」


親父が中心になってシルの事を話す。俺?話の邪魔にならない様に黙って立ってるよ。報告やらなんやらは親父達に任せた!!


親父達の話を聞いても信じられなかったホマンさん。だからホマンさんの目の前でもう一度血縁を調べる魔道具を使って結果を一緒に確認したよ。結果はもちろん真っ赤でした。


「これで納得したか?」

「ふむ・・・・。興味深いな・・・。魔物に食われたはずの子供が生きていた事にも驚きだが・・・。」

「何か似たような事例の報告は無いのかしら?」

「聞いた事も無いな。こりゃ研究者連中がうるさくなるぞ。」

「あら駄目よ?この子はもううちの子なんですから。好き勝手したいなら私達を敵に回すと思いなさい。」

「余計な事をされる前に殴りこんで話を付けた方が早いだろ。」

「それもそうね。」

「止めてくれ。せっかく助かった王都が更地になってしまう・・・。」


まぁこの子の研究をしたいって話は分からんでも無いが。それが兵器開発目的とかだったら許せんな。治療目的なら一応飲めるか?まぁそれもこれもシルが納得して協力したらだがな。無理矢理誘拐?そんな事したら塵も残さんぞ?シアが。


「だが大丈夫なのか?魔物と混ざっているその子を自分の子として育てる何て、言い難い事だが・・・。」

「大丈夫よ。ちょっと見た目が違うだけじゃない。力の使い方さえちゃんと教えてあげれば問題無いわ。それにこんなに可愛いのよ?」

「力の御し方は俺達が教えれば問題無いだろう。あとは社会性やら言葉やらは都市の連中で教えるさ。」


城塞都市に住んでる人だったらこの子くらいなら大丈夫。なんてったって鉱石ダンジョンで皆レベル上げするからね!!いや本当なんでって話なんだけど。


まぁ開拓村時代の名残で、住民が強ければ守りも堅くなるって事で住民になる人達はレベル上げをすることが義務みたいになってるのよ。その為の護衛クエストなんかも冒険者ギルドにあったりするのさ。これが又報酬が良いのよね。


そんでレベルが上がった住民が魔物を狩ったり、鉱石を取りに行ったりと大活躍。それに触発されて旅人も積極的に動いてと好循環になって今なお発展し続けております。住民と旅人のPTなんてものも良く見るよ。


だからこの子が暴れたくらいじゃ多分ビクともしないと思う。こういう子の教育にはうってつけの環境だと思うようちの都市はさ。


「じゃあとは研究者達を黙らせるだけか・・・。まぁそれも問題無いだろうけどな。」

「こっちにはリトルオーガが居ますものね。」

「俺の娘を連れて行きたかったら俺を倒してみろって言っとけ。」


うん、多分無理だろうな。親父体の調子が戻ってから阿保みたいに強いを通り越して理不尽だもの。体に制限が掛かっていた状態でレベルが上がったから、その反動で強くなった説が濃厚です。負荷トレーニングか何かだったの?


後は王様に一応話を通しておけば問題無いんでなかろうか?話を通すのにどれくらい時間が掛かるか分からんけどね。そこは市長の力に期待しましょ。


「まぁ話すのはそんな所か。」

「後は私達の結婚式の案内を配るだけね。」

「そう言えばお前達が王都に来た理由は元々それだったな。すまんな色々巻き込んで。」

「自分から巻き込まれに行ったんだから気にしないのよ。」

「それに娘が増えたしな。」

「そう言って貰えると助かる。報酬は後日送るから待ってくれ。ルド殿も王都を守ってくれて助かった。ルド殿に対する報酬も後日送らせよう。」

「あぁ気にしないで下さい。元々は俺の不注意何で。」


あとあんまり大きい声出さないで下さい。シルが寝ちゃったんで。


「シルが盗んだ物品の代金は払っておく。魔法鞄の扱いはどうする?」

「それは持って行って貰っても構わない。一度中身の精査だけはさせて欲しいんだが。」

「シル。鞄借りていいか?」

「んみゅ・・・・。」

「あらあら、寝ちゃったのね。寝顔も可愛いわぁ。」

「調べるなら今の内だな。使用権限は付いて無いんだろ?」

「そのはずだ。組織全員で使ってたはずだからな。」


と言う事でシルの鞄の中身をシアが取り出して、親父達が調べるという流れで調査開始!!俺はシルを抱っこしてるから動けません。


出るわ出るわ違法な魔法道具の数々。シルは多分気が付いてなかったんだろうけど、鞄の蓋の部分にも取り出し口が付けられていて2重鞄になっていた。


あの核撃魔法の杖はまだ何本か本来の鞄の方に入っていて。蓋の方には指輪やら髪留めやらの装飾品に似た作りの魔道具がたくさん入っていた。まぁその魔道具も洗脳やら隷属やらえげつない効果付きだったけどね。


とりあえずそれらは証拠品として守備隊に押収されて、不穏な効果を持った魔道具は1つだけ残して後は廃棄された。後で利用されたら怖いもんね。


鞄の精査が終った俺達は、シルの罰金を払ってその場を離れ。事件に巻き込まれる事も無く王都に居るカマーンさんの知り合いの元を回る事が出来た。


シルも途中起きて、王都観光がてら遊んだ。親父とカマーンさんにも次第に慣れてくれたから良かったよ。特にカマーンさんに懐くのは早かった。親父は中々懐いてくれない娘を見て泣いてた。どんまい!!


まぁこれで王都でやる事を終えた俺達は都市に戻るのでした。今回俺なんもしてねぇな!!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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