VRMMO ランダムを選んだら攻撃力が無かったんだが！？

第136話

親父とカマーンさんの結婚式の準備の為に走り回っております。どうも今日は護衛のルドです。今は王都に来ております。

昔お世話になった人達を呼びたいとカマーンさんが言いはじめましてね？直接顔を見て招待したいからと同行した次第。名目としては護衛。カマーンさんの本音としては家族の紹介なんだろうなぁ。親父も一緒だし。

「もぉ～。ルドちゃんは何時になったらお母さんって呼んでくれるのかしら？」

「いやぁ～、さすがにちょっとそれは、カマーンさんで慣れちゃってますし。」

「ルバートの事は親父って呼ぶくせにぃ。あっ呼びにくいならお袋でも良いわよ？」

「勘弁してください。」

「あんまり無理強いしてやるな。俺達の事情に巻き込んだんだからな。」

「それもそうね。あ・な・た♡」

「っ・・・・・・・かぁ、まだ慣れねぇなぁ。」

「親父・・・・諦メロン。カマーンさんはうれしくてしょうがないんだよ。」

「ふふふ♡」

「ひさしぶりー。」わさわさ

王都の広場に着いたもんでシアは王都の御神木に挨拶してる。御神木も体を揺らして返事してないかあれ？

「でまずは何処に行くって？」

「まずは守備隊の兵舎に向かいましょう。昔馴染みがそこで隊長をしているはずなのよ。」

「あっじゃあ俺はこれで「逃がさないわよ？」」ガシッ！！

えぇ～だって俺関係無いじゃーん。親父とカマーンさんの2人で行って来ればいいじゃーん。護衛だってこの二人に必要無いじゃーん。俺は恥ずかしいんですけどぉ～。

「ふふふ、自慢の息子を紹介しないとね♪シアちゃんもいらっしゃい。」

「はーい♪」

「ルド・・・・・諦めろ。こうなったら梃子でも動かん。」

「Oh・・・・・。」

俺は引きずられるようにしてカマーンさんに兵舎まで連れていかれた。うん、身長がカマーンさんよりでかいのに引き摺られるとか、重たそうな荷物を片手で持ってるとか、そういう所突っ込んじゃいけません。駄目ったら駄目！！俺の腹の上でシアはポンポン跳ねて遊んでるけどな。ちゃんと自分で歩くから一回止まってくんない？

兵舎に行く途中、何やら王都の街中が騒がしい事に気が付いた。そこかしこで住民たちがひそひそと話をしている。

「なんかあったか？」

「ん～、気になるわねぇ。ちょっと聞いてこようかしら。」

「俺も行こう。」

「こういうのは女一人の方が良い時もあるのよ。あなたはそこで待ってて。」

親父と軽くやり取りした後カマーンさんは主婦の井戸端会議に混ざり込んでいく。うっわすぐに仲良くなって話始めた。あれ元男なんだぜ？信じられるか？

「で、俺達はどうするよ親父？」

「待ってるしか無いだろうなぁ。そこら辺で何か買って食うか？確かあっちに肉屋が」

キャーッ！！ドロボー！！

俺達が居る通りの恐らく反対側から叫び声が響く。どうやら泥棒に入られたらしい。これは守備隊としては見過ごせませんな！！

「親父！！」

「先行ってろ！！あいつ回収して追いかける！！」

「あいよ！！シア行くぞ！！」

「あいあいさー！！」

装備のおかげでSPDも上がったし、すぐに駆け付けますよ！！

何やらこちらに向かって逃げてくる人混みを掻き分けて現場にたどり着くと、そこには武器を抜き放ち相手に静止の声掛けをしている騎士と、手足が蜥蜴の様になった白いシャツを着た少女の姿が目に飛び込んで来た。

「止まれ！！大人しくしなさい！！悪いようにはしない！！」

『GRRRRRRR』

少女の周りを取り囲み逃げない様にしている騎士。騎士達の手には逃げ出さないように威圧の意味で剣が握られている。逆に少女の方は自分に向けられている剣をしきりに気にしていて、剣に対して怯えの感情が見える。

少女の手には肉が握られていて、多分あれが盗まれた物なんだろうな。結構な大きさだし、近くにある肉屋から店の店主であろう女性がこちらの様子を伺っていた。

じりじりと囲いを狭める騎士。突然動いても間違って切らないよう、剣は下に向けているけれど、少女はその事も解っていない様子。

『GAU！！』

「あっこら待て！！」

おっと、状況を見守ってたら蜥蜴少女が騎士達の囲いを飛び越えてこっちに向かって来ますよ？しっかし凄い身体能力だな、騎士達の頭上を飛び越える何て2mくらいは飛んだんじゃないか？そのまま走って来るって事は俺が丁度通って来た路地を抜けるつもりかな？

『はい、ここは通行止め！』

『GYA!?』

「とったどー！！」

巨人化して少女の進行方向を盾を使って塞ぐと驚いて一瞬動きが止まった。そこをすかさずシアが蔓で捕縛！！いやぁナイス連携プレイ。良いぞシア！！さぁて騎士に身柄の引き渡しを。

『GYAU！！』スパスパッ！！

「きられたー。」

『あっ！！こら待て！！』

視線を蜥蜴少女から外した瞬間、彼女はシアの蔓を切り飛ばし、俺の盾に吸い付くように引っ付いて登ってから俺の頭を蹴り飛ばして屋根上に姿を消してしまった。慌てて屋根上が見えるまで巨人化したがもうどこにもその姿は見えない。

「おーい！！盗人はどうなった！！」

「ルドちゃん、シアちゃん怪我は無いかしら？」

『盗人には逃げられた！！俺もシアも怪我は無いよ。』

「へいきー。」

カマーンさんと合流して追い付いて来た親父がいつの間にか俺の足元に居た。

「犯人はどんな奴だった？」

『今見せる、縮むから退いてくれ。』

巨人化を解除しながら俺はウインドウを操作する。えーっと確かこういう時便利な機能が・・・あった！！巻き戻し録画！！10分くらいならこれで見た物を振り返れる。んでもってこれを保存して住民が見える様に権限を解放してっと。

「っと、すまん親父取り逃がした。」

「いや構わん。奴さん相当すばしっこいみたいだしな。それで、犯人の容姿はどれだ？」

「おぉっこれだ。」

俺はさっき作り上げたスクショを親父に見せる。丁度こっちに向かって突っ込んでくる所だから顔の表情もバッチリ写ってるぞ！！

「どれどれ・・・・・・・っ！？」

俺が見える様に表示している動画を見て、驚きに目を見開き動きを止める親父。一体全体どうしたってんだ？

「どうした親父？何か解るのか？」

「・・・いや何でもない。気にするな。一度は捕獲したが逃げられ、屋根上に逃げた奴を慌てて確認しようとしたがすでに姿は消えていたか・・・・。」

「見て貰った通り体の一部が蜥蜴みたいになってたな。そういう種族が居るのか？俺が覚えている種族だと蜥蜴人種とか蛇人種が近いと思うんだが・・・。」

「居ないはずよ。蜥蜴人種だと顔は完全に蜥蜴よ。蛇人族だったら下半身は蛇だもの。顔が完全に人種の鱗を持つ種族は有り得ないわ。」

「って事は魔物なのか？それとも突然変異で人の部分が強く出たとか？」

「可能性があるのは後者でしょうけど・・・・。とりあえず騎士達に詳しく話を聞いてみましょ。」

俺とカマーンさんが犯人について話している間も、親父は何回も何回も動画を再生して犯人の顔を見続けていた。

～・～・～・～・～・～

少女は“擬態”を発動しながら屋根伝いに逃亡していた。どうやらあの大きな人は擬態を見抜くことは出来ないらしい。追って来ていない事が解りほっと息を吐きだした。

『KYU~。』

少女は今の隠れ家に戻り手に入れた食事を食べながら、先ほどの大きな人の事を考えていた。あのように大きさが変わる人間は初めて見た。だが少女が地下に居た時に似たような人を見たことはあった。

覚えているのは自分と同じように体に鱗が生え、体がどんどん巨大になって行く男の姿。叫び声を上げ、目から血を流しながらも巨大になる体を抑えられず、大暴れをして地下に居た人を何人も吹き飛ばし、最後には膨れ上がる体に耐えられずに爆発した男が居た。

感情の高ぶりと共に体が巨大化し鱗を纏い化け物になる場面を見ていた少女は、あの大きな人は違う場所で過ごした自分と同じ様な人かもしれないと考えた。もし実験体仲間であり、自分と同じように日々痛くて怖い思いをしているなら可哀そうだ。

今の自分には何でも入る袋と、火の出る棒が沢山ある。助けて上げられるかもしれない。

何よりもあの大きな人からは本能に訴えるどこか安心する匂いがした。食事を終えた少女はこっそりとあの大きくなった人の後を付けようと先ほどの路地に“擬態”を発動して戻る。

だが先ほどの場所にはすでにあの大きくなる人は居なかった。周りを見回してもここら辺には居ない事が解る。少女は先ほど嗅ぎ取った大きな人の匂いを辿り、後を追う事にした。

毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ！！絶対！！

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited