第127話
「おらっ!!ミスリル寄越せや!!」
「いやここはアダマンタイトだろ!!」ガキンッ!!「クッソかてぇ!!さすが伝説の金属!!」
「おいおいおい!!赤いの出たぞ!!3倍くらい早い!!」
「彗星じゃないんだから・・・ってマジで早えなおい!!あれってなんだ?」
「あれはヒヒイロアントですよ!!希少鉱石蟻が目白押しじゃないですか!!」
「「「「「「「「討伐が捗るなぁ!!」」」」」」」」」」
『お前等真面目にやれ!!こっちは結構かつかつなんだぞ!!』
「回復班!!ルドさんのフォローを密に!!」
「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」
戦闘が始まって1時間くらい経ったろうか?湧き出してくる蟻の中にさらに種類が増えて来た。出てきているのはミスリルアント、アダマンアント、ヒヒイロアント、グラビアントだ。
ミスリルアントは前にも出て来た奴だな。まぁ前のはジュエルアントの変異種で、こっちは純粋なミスリルアントだけど。能力的にはほぼ変わらん。魔法耐性が高いくらいか?
アダマンアントは逆に物理に凄い耐性を持っている。最硬の金属と言われていて、武器なんかに使うと耐久値ががっつり上がる。
ヒヒイロアントはミスリルとアダマンタイトのいい所取りしたような性能だ。魔法にも物理にも強い、だがなぜか熱には弱い。炎系の魔法を当てると中身が焼けてしまうようだ。
グラビアントはとにかく重い。その超重量を使っての体当たりは巨人化した俺でも引きずられる程で、体当たりされる度に前線が下がっている。でも自身の体重が重すぎるからなのか、突進の急な方向転換は出来ず。落とし穴なんかに嵌ると自力で抜け出せない。今は穴に入れて火攻めや水攻めで倒している。
まぁこいつらは倒したらミスリル、アダマンタイト、ヒヒイロカネ、グラビタイトなんていう金属のインゴットを落とすので、防衛側はウハウハだ。俺は手に入れられないがな!!
「そろそろ応援が駆け付けます!!持ちこたえて下さい!!」
『現状維持なら大丈夫だと思うがそうも行かないぞ!!奥見て見ろ!!』
「あれは!!」
「「「「「「「「「キモッ!?」」」」」」」」」
蟻の後に出てきたのは超でっかいミミズ。それも大口開けて、口の中の回転刃みたいな歯をぎゅいんぎゅいん回しながらの御登場です。あれ噛まれたら痛そうだな。しかもあのミミズ、側面から触手生えてるのよ。うん、ウネウネしてキモイ。
バゴンッ!!
『ぬおっ!?』
「ルドさん!?」
いつかのジュエルアントの時と同じように洞窟の側面から飛び出したテンタクルワーム(ミミズの名前ね。)が俺の体に巻き付いた。いや口の中に触手突っ込もうとすんな、俺にそんな趣味はねぇ!!
「あぁっ盾の人が!!」
「ちょっお前等ミミズに攻撃!!このままだと蟻のタゲがこっち向く!!」
「蟻も抑えないと外に出ちまうぞ!!」
「私ちょっといけない扉開きそう・・・・。」
「私も・・・・。」
「そこの腐った女子共真面目にやれ!!」
「「「「腐ってない!!」」」」
マジで漫才してないで助けてくれ!!せめて回復は飛ばしてくれ!!
「『光波斬』!!ルドさん大丈夫ですか?」
『クリンか、助かった。体の方も頼む。』
「解りました。『光波連斬』!!」
うっし、自由になった。
『地面からの攻撃に注意してくれ。土魔法使える奴は魔物が出てこない様に地面も固めてくれ。』
「グラビアントの対処はどうします?」
『そっちは“応援部隊”に任せる!!』
マップに待ちに待った応援部隊の影が映る。もちろんそこにはいつも組んでる仲間の姿が在る訳で。
「お待たせしました!!『心打』!!」
「あらあら皆さんボロボロじゃありませんか。すぐに回復して差し上げますわ。『広域回復結界』『女神の息吹』」
「ぱぱずるい!!あそぶならしあもさそってほしかった!!『根源の槍』!!」
遊んでた訳じゃないからね?突発的な事故ですよ事故。さてこれでいつものフルメンバーが揃った。
『うっしゃ!!ガンガン行くぞ!!リダはグラビアントを中心に殲滅!!ルゼダは回復とバフを中心に戦闘部隊を支えてくれ!!クリンはそのまま戦闘で!!シアは広範囲魔法を中心に相手を削れ。ヘイトは任せろ!!』
「「「はい!!」」」「はーい( ´ ▽ ` )ノ」
他にも駆け付けてくれた人達が戦闘に加わった事で蟻とミミズの殲滅速度が上がった。おかげで体力管理が楽になったわ。
さすがに人数の増えた旅人が相手だとレア鉱石の蟻やミミズでも持ちこたえる事が出来ず、応援が駆け付けてから1時間もすると湧き出さなくなった。
「これで、最後ぉぉぉぉぉぉっ!!」
「「「「「「お疲れ様~。」」」」」」」「おつかれさま!!」
だはぁ~、疲れたぁ~。2階層から上がって来る魔物は今倒したので最後だ。でも“2階層”でこれだぜ?ダンジョンがもし成長なんかしてたら・・・・・。ったく下は一体どうなってるんだか。
「ルドさん、ダンジョン調査もクエストの一環ですよ。降りましょう。」
「あー、分かった。じゃあいつものメンバーで偵察だな。」
「俺達も行くぞ!!」
「お宝もあるかもしれないからな!!」
「独り占めはさせませんよ!!」
「ダンジョンを誰が一番早く走破するか勝負だ!!」
「「「「「「「「ヌオォォォォォォォォォォォォッ!!」」」」」」」
「みんなはしっていっちゃった・・・。」
あー、抜け駆けしようとして一部の旅人が2階層まで降りる階段まで駆けだした。俺しーらねっと。
「あの人達大丈夫なんですかね?」
「どうだろうな?でもここはダンジョンなんだから慎重に行かないと「「「「「「「「「ギャースッ!!」」」」」」」」」」トラップなんかも在る訳だしなぁ。」
「すごいすごーい!みんなきえちゃった!!」
駆け出した連中が階段のある部屋に入った瞬間に落とし穴に落ちて消えた。さっきの蟻やミミズは多分1階層を取り戻す為にダンジョン側が送り込んだんだろうなぁ。広場に建てた建物が軒並み消えてるし。もうここはダンジョンの中に戻ったと考えるほうが普通だ。
つまり一度切り離した階層を取り戻せるまで力を蓄えたのか、何か別の要因でダンジョン事態が変質したかだな。そんでもって広場がダンジョンにもどったって事はここに居たレイドボスが復活するという事で。俺達の目の前に半透明の熊が現れた。
ハンニャベアゴースト HP1000万
俺の力じゃ名前とHPくらいしか見えねぇ。こういう時は人を頼るべ。
「だれか鑑定できる人!!」
「はいっ!!ハンニャベアゴーストレベル200!!住処を壊され、復讐に赴き倒された無念を抱えた亡霊が元の住処を取り戻す為に怨念としてよみがえった姿!!物理攻撃無効で憑依や恐怖なんかの状態異常を使います!!弱点は光属性です!!」
即座に鑑定スキルを持つ人が情報を伝えてくれた。
「何人か【恐怖】状態になりました!!戦闘不可能ですぅ!!」
「そちらは任せて下さいまし!!『獅子王の激励』」
「ゴースト動きます!!憑依攻撃です!!」
「くまさんすごいはくりょく!!」
「火力高い奴は逃げろ!!『おらお前の相手はこっちだ!!』」スルンッ。
「あぁ盾の人が!?」
「ルドさん?」
ゴーストが入り込むとき全身がひんやりとして鳥肌立っちまったよ。憑依されるとこうなるのかぁ、体の自由は全く利かなくて、唯一頭だけは自分の意思で動かせるな。あっ胸から熊の頭が生えてる。これが憑依してますよって事なのかね?まぁでも残念だったな。俺って攻撃力無いから憑依しても攻撃出来ないんだぜ?
「おぉっこれは面白れぇな。体が勝手に動く。」
「普通なら笑い事じゃないんですけどねぇ。」
「胸から顔を出している熊が必死な形相なのが凄くシュールです。」
「一生懸命攻撃してるつもりなんでしょうねぇ。」
「盾の人は攻撃出来ないからな。ギャグにしか見えん。」
「ぱぱのからだにくまさんがいる。」
そう、俺に憑依したハンニャベアゴーストは一生懸命盾で傍にいたリダを殴り始めたんだけど、ダメージはもちろんゼロ。それでも諦めずに殴り続けるゴーストに皆哀愁と笑いを感じて爆笑するのを堪えている。こらそこプルプルするな。俺も我慢してるんだから。
傍から見たら胸から半透明の熊生やしたおっさんが少女に襲い掛かっている図だぞ?リアルなら警察に通報されてるな。事案と言われないだけましか。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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