第103話
あの後無事(?)意識を取り戻した俺は迷路を脱出。次の目的地に向かって歩いて移動している。シアは今リダさんと手を繋ぎながら歩いてるな。まだぎごちないが歩く事に問題は無いみたいだな。
「ぱぱ?つぎはどこにいくの?」
「ん?次か?次はな。岩山を登りに行くぞ!!」
「ロッククライミングですか。やった事ないので楽しみです!!」
「しあもたのしみ!!」
うーむ、シアはこの体だから登るのは難しいんじゃないか?いやでも蔓が使えるなら登れるか?いやでも心配だなぁ・・・。そうか、蔓で俺の体に張り付いて貰えばいいか。
「シア。ロッククライミングするときはパパの体に蔓を巻き付ける事が出来るか?」
「うんできるよ!!こうでしょ?」
「おっ、そうだな。こんな感じだ。」
シアは器用に俺の胸と肩に蔓を巻き付け、自分は背中に背負われる形に持って行った。植物だった時より蔓の自在度は上がってるみたいだ。
「ルドさん・・・・。」
「ん?どうしたリダさん?」
「スクショ撮っても良いですか?ちょっとこれは永久保存しないと・・・・。」
「何言ってるか分かんないけど目が怖いんで辞めて欲しいっす。」
血走った目でこっち見てるから怖いのよあなた。撮るのは別に良いんだけどさぁ・・・。
そんなこんなでロッククライミングの会場に到着!!結構な岩山だなぁ、反り返りもあって難易度はかなり高そうだ。どのくらい高さがあるんだろうか?
「この岩山は1200mありますよ!頂上には特別なアイテムが置いてありますので是非、登り切って確認してください!!登り切った方全員に景品がありますから!!」
ふむ、全員にか。これは是非とも3人分全部取りたいな。
「禁止事項とかあります?」
「特に御座いません!!“持てる力の全て”を使って貰っていいですよ!!」
「分かりました。ではちょっと準備しますね。」
まずは巨人化を最大まで、これで身長50mっと。
『リダさんバフよろしく。』
「いいですよ。上げるのはHPとSPDで良いですか?」
『あとDEXもお願い。』
「分かりました。『心与』!!」
少しでも成功する確率を上げないとね。それじゃあ次はシアだ。
『シア、リダさんと一緒にさっきみたいに体に巻き付いて。』
「はーい。できたよぱぱ!!」
『んじゃ次は崖に樹生やしてくれ。あっ無理しない範囲でな?取っ掛かり程度で良いぞ。』
「はーい!!『聳え立つ樹木』」
『さてやっぱり足りないか。それじゃあ俺も『城壁』っと』
「・・・・・・。」
岩山の岩壁には交互に樹が生え、その上には細い城壁が生えた。これで登る為の足場も出来たっと。じゃあ早速行きますか。
『それじゃあ2人共、しっかり捕まってろよー。』
「「はーい!!」」
「私は一体何を見ているんだろう・・・・・。」
係の人が何やら呟いていたけど無視してロッククライミング開始!!うん、樹もしっかりしてるし登りやすいな。
「ぱぱすごーい!!もうこんなにたかいよ!!」
「さすがに巨人化すれば1200mなんてあっという間ですね。」
『単純に考えて体持ち上げるだけで十数メートル進むわけだしな。ほい、これで半分っと。』
もっと言えば上の樹に手を掛けて巨人化解除すればそれだけで50m進むからな。24回同じことをすれば頂上だ。2人を落としちゃいそうだからしないけどさ。
『よし到着!!巨人化解除っと』
「ぱぱはやーい!!」
「すごいいい景色ですね。」
岩山の頂上から見える景色は絶景の一言だった。周りを囲む青い海と豊かな自然、そしてそれに寄り添うように作られた街並み、そのすべてが一体となって素晴らしい景色を作っている。
「・・・・・来てよかったなぁ。」
「・・・・・そうですね。」
「ぱぱ!!すごいきれいだね!!」
「おうそうだな。いつまでも見とれてたら動けなくなるから景品探すか。」
もちろんスクショは取るけどな!!
その後岩山の頂上にある窪みから景品引換券を3枚ゲットしてから下山。下山は簡単な物でシアの蔓にぶら下がって降りた。もちろん巨人化は解除してだぞ?
「おめでとうございまーす!!クリアした皆様はこの中から1つを選び引換券と交換してください!!」
掛かりに人が指さす先には色々なアイテムが置かれていた。剣や盾の装備品から薬品、はては宝石や良く分からない物まで様々だ。
「ぱぱ!!あたしこれ!!」
シアが選んだのは小さな花飾りだった。
「本当にそれでいいのか?」
「うん!!これがいい!!」
「そうか、さっそく出し着けるか?」
「おねがい!!」
シアの髪に花飾りを着ける。ピンク色をした飾りだから緑の髪に結構合ってるんじゃないか?
「えへへ、どう?にあう?」
「おう、ばっちりだ。」
「シアちゃん可愛いですよ。」
「えへへ~。」
恥ずかしがるシアもかわいいなぁ。あっリダさんそのスクショ後で下さい。こっちのも後で渡すので。
「私はこれにします。」
「ぬのになにかついてるよ?」
「金属が縫い付けられているんです。鉢金って言うんですよ?主に頭部を守る防具です。忍者とかが良く着けてますね。」
「リダさんなら鉢巻とかのほうが似合いそうだけどな。」
「それだと防御力がありませんし、最悪手に撒いて武器として使いますから。」
なるほどね、さて2人は決まったみたいだけど俺はどうしようかな?ん?
「これは・・・・。」
「あぁそれですか?なんか昔っからある横断幕なんですけど使用用途が分かりませんでね。文字を書き込もうとしても弾かれまして、裁断して使おうとしても切れないんですよ。だからずっと残っている物になります。」
いやこれ横断幕じゃなくて装備品だぞ?あれ?なんで俺装備出来るって解るんだ?もしかしてこれって巨人にゆかりがあったりする?
「これにします。」
「良いんですか?そんな使い道のない布で?」
「えぇ、大丈夫です。」
「ではそちらで、今回の挑戦ありがとうございました!!」
ロッククライミング会場を後にした俺達は少し休憩する為に広場に戻って来た。
「ルドさんその布何ですか?わざわざ選んだって事は何か在るんですよね?」
「これなぁ、俺装備できるんだよ。」
「えっ?そうなんですか?」
「ぱぱすごーい!!さっそくやってみよ!!」
ふむ、ちゃんと鑑定してもらってからとは思ったけど、係の人達が鑑定していないなんてことは無いだろうしな。それで分からなかったって事は特殊な装備かな?体のアクセサリーみたいだし早速着けてみるか。
「それじゃあ装備をポチっとな。」
「あっ縮みました!!」
「おー!」
えっと何々?
巨人の腰布:かつて巨人が使っていた腰布。種族巨人が使う事でその真価を発揮する。(最大身長×100のDEFをプラスする。)
ふむ?つまりDEFの補正値に+5000されるって事だな。
「似合いますね。」
「あかときんいろできれい!!」
「あー、確かにちょっと派手だな。」
縮んだ腰布は赤い生地に金色の縁取りがされている物だった。さっきは汚れていてここまで分からなかったよ。これが真価を発揮した状態って事かな?
「どういう物だったんですか?」
「あぁ、巨人の腰布だってさ。巨人族が身に付けると真価を発揮するアクセサリーだったみたい。」
「種族限定の装備・・・・。他にもありそうですね。」
「確かに巨人のがあったんだから他にもありそうだな。」
「ぱぱ~。おなかすいたぁ~。」
「おっと、どうする?どっかで飯食うか?」
「まものがいい!!」
「つまりダンジョンですね。」
「まだ回ってない所もあるが、まぁ次の機会に回してもいいか。」
「イベントは1週間ありますからね。こちらだと6週間ですか。」
「はやくいこ!!」
「こらこらシア、引っ張るな危ないだろ?」
「ふふふ、まるで本当の親子ですね。」
なお他人ごとの様にしているリダだったが、周りから見れば娘と父親をほほえましく見守る母親ポジションになっている事に気が付いていなかった。周りの人からは「仲の良い家族ねぇ。」なんて言われ、SNSで話題になっているのだが・・・・。知らぬが仏、3人はわいわい騒ぎながらイベント限定ダンジョンに向かって歩いて行くのだった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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