第98話

あの後の話をしよう。機械蟻の頭部を管理事務所に持ち込んだ事で場は騒然となった。なんせ今までALOでは見たことも無い物体(魔法を動力としない機械)が突然現れ、しかもジュエルアントを量産していたのだから。


天上に張り付いていた卵は転痛の範囲に入っていたので全部残ってしまっていたが、そこはまぁ大食漢のシアである。頭を回収している間に全部食べちゃっていた。凄い早業だったなぁ・・・。

( ´З`)=3 ゲップ


とりあえず受付さんには坑道に居た怪しい連中の事と、機械蟻の報告をした。坑道内に居たミスリルアントも異常発生の大元を断たれ、数が少なくなった事で他の旅人も対処できるようになり程なくして全て討伐された。


そうそう死んじゃった攻略組は坑道の広場じゃなくていつもホームにしている場所の広場に戻ったらしい。一方的にやられた事を気にして修行するんだと。SNSを確認していたリダさんが教えてくれた。せめて報告ぐらいしてから帰れよと思ったのは俺だけじゃないはずだ。


俺達の報告は国の方にも連絡し、後日国から騎士団が派遣され詳しく調査された。俺達の証言は真実だったという事で詳しい事情を騎士団に説明する事になり、その結果報酬として100万マネを受け取った。俺としてはアクセサリーとか防具が欲しかったんだけどね。


あの謎の集団に関しては調査しても全く足取りは掴めず、国内に指名手配を掛けて捜索したがその姿を確認する事は出来なかった。あいつ等一体何だったんだろうなぁ・・・。


そうそう!!坑道の騒動を沈めた時に発表されたアナウンスが今巷を騒がせているんだよ。そのアナウンスはこういうのだった。


ピンポンパンポーン⤴ 国難クエストを旅人がクリアしました。これによりロロキー王国の旅人貢献ポイントが一定以上に達し、レベルキャップの解放が決定されました。レベル上限が100から200に引き上げられます。魔法銃ではない銃の存在を旅人が確認しました。これにより新職業<銃使い>が解放されます。詳しくはヘルプをご参照ください。これからもALOの世界をお楽しみください。ピンポンパンポーン⤵


このアナウンスが流れた瞬間、坑道前広場は歓喜の渦に包まれた。レベルキャップの解放は攻略組もずっと探していた物だけど、新職業の発見もでかい。これで遊ぶ幅が広がったからね。俺には関係ないけどな!!


えっ?盾はどうなったかって?聞く?聞いちゃう?ふっふっふー!!これを見よ!!


魔法銀の双盾:魔法銀(ミスリル)を使って強化された双盾。魔法に対してダメージカット率が上がる。(DEF+1000 魔法攻撃-2000 初期装備から派生強化の為耐久値∞)


どうだ!!魔法攻撃に強くなったぞ!・・・・・・畜生!!こうなるはずじゃ無かったのに・・・・・。

。・゚・(ノД`)ヾ(゚Д゚ )ナデナデ


そうそうれは俺達が騎士団にすべて報告し、報酬を受け取った時に遡る・・・。


「ふぅ、長時間の聴き取りで疲れましたわね。」

「しゃーねぇーべ。当事者が俺達しか居なかったからな。クリンが動画を撮って無かったらもっと長かったろうなぁ。」

「えへへへ、何かに使えるかなと思って録画してて良かったです。」

「おかげで騎士団の人達も謎の集団が起こした騒動だと納得してくれましたからね。」

「うっし、それじゃあミスリルの分配した後に各自自由行動だ!!」

「やっとルドさんの悲願が達成されますね!!私その瞬間に立ち会いたいです!!」

「盾に攻撃力を付けるんですよね?どうやるのか僕気になります!!」

「私も一緒に行きますわよ?せっかく悲願が叶うのですからお祝いしません事?」

「「「それいいなぁ!!」」」


ミスリルを均等に4人で分け、攻撃力が手に入ったらどこに行こうかとワイワイ話しながら俺達は鍛冶屋に向かった。


「おうおっちゃん!!鉱石持って来たぞ!!」

「おっ来たか兄ちゃん、何持って来たんだ?」

「ふっふっふ!!見て驚け!!ミスリルだ!!」ババーンッ!!

「なんでぇ、ミスリルかよ。」

「そこはもっと驚けよ!!」

「ここ連日ずっと持ち込まれてるからな。驚き疲れたんだよ。それよりほれ、盾とミスリルを寄越せ。ちゃっちゃとやるぞ。」

「おう!!任せたぞ!!」


この時にちゃんと俺の要望が伝わってるかどうか確認しとけば良かったんだ・・・・。親父の手紙も渡してるし、大丈夫だと思い込んでしまった・・・・。


待つ事1時間。


「ほれ、出来たぞ。ご要望通り今までより強くしといたぞ?」

「大分早いな。」

「こちとらこれで飯食ってんだ。ちんたらやってられるかよ。それよりほれ、受け取れ。」ゴトッ


カウンターに置かれたのは全体が銀色になった盾だった。タワーシールドの形は変わらないけど、表面が鏡の様になっている。


「おぉっ!これが!!」

「お前さんの武器、武器進化した奴だったんだな。強化するのに特殊なアイテムと工法が必要で難儀したぞ。まぁその分特性は消えてないはずだ。」

「武器進化?特性?」

「なんだ?知らずに使ってたのか?」


鍛冶屋の親父の話では、初期武器を強化する為のアイテムは数が少なくて入手難易度がかなり高い代物らしい。しかも強化してもそこまで強くならないからわざわざ手に入れる人も少なくて、それこそ幻のアイテムって呼ばれてるんだと。


でも初期武器を強化する事で付く特性は破格の物で鍛冶屋泣かせと呼ばれる物、そう耐久値∞。これって初期武器から強化しないと付かない特性らしい。他の特性は使う鉱石とかで変わるらしいけどね。


今回鍛冶屋のおっちゃんはその特性を潰さない様に盾を強化してくれたそうだ。まぁそんな事はどうでも良いんだ!!それよりもこの装備に攻撃力があるかどうかが問題なのだ!!


「それで!!攻撃力はどれだけ付けれたんだ!?」

「はぁ?盾に攻撃力何て付けれる訳ねぇだろうが。」

「「「「はいっ!?」」」」


驚いて固まる俺達に鍛冶屋のおっちゃんはため息をつきながら説明してくれた。


「盾はそもそも守る為の装備だろうがよ。攻撃力何て付けられるか。常識的に考えろ。」

「えっ?いやだって親父は鍛冶屋なら出来るって・・・。」

「あぁ~、あの手紙に書かれてた強くしてくれって攻撃力を付けてくれって事かよ。すまんが俺には無理だな。先々代なら出来たが、もう何年も前に死んじまった。」

「・・・・・。」

「・・・・・・。なんかすまん。代金割引しとくよ。」


真っ白な灰になっている俺をリダさん達が何とか店から運び出して、その後一生懸命慰めてくれた。


「ルドさん、元気出してください。」

「そうですよ。ほら、これ飲んでください。おいしいですよ。」

「・・・・グスンッ、ありがとう・・・。」

「ん~?」

「ルゼダさん?どうしました?」

「先ほどの鍛冶屋で聞いた話が引っ掛かっているんですわ・・・・。」

「何処が引っ掛かったの?」


ゲームのフラグを解明する事が大好きなルゼダが引っ掛かるって事は、さっきの会話にフラグが混じってたのか?


「確認ですの。鍛冶屋の技術は代々師匠から弟子に伝わる物でしたわよね?」

「この世界だとそうですね。鍛冶屋になりたいプレイヤーも弟子入りしているという話ですし。」

「でしたら、先程の会話に違和感があるんですの。」

「違和感?」

「あの人は先代から技術を引き継いでいるはずですわよね?ならなぜ先々代で出来た技術が失われてしまっているのでしょう?」

「「「はっ!?確かに!!」」」

「それにもし、あの方が盾に攻撃力を持たせる技術が無いとしても、先々代が教えを受けた師匠に弟子が1人とは考えにくいですわ。つまりどこかに技術は残っているはずでは?」

「「「その発想は無かった!?」」」

「貴方達少しは頭を使った方がよろしくてよ?」


俺達はその後すぐに鍛冶屋に取って返して事情を聴いた。なんでも先々代と先代に師弟関係は無く、知人からの紹介で鍛冶屋を継いだらしい。そして先々代と同門の弟子は何人か居て、どこかで活躍しているはずだと情報を得た!!


「希望が繋がりましたね!!」

「何処に居るのか分からなかったのだけが心残りです。」

「でもこれでルドさんのやる気が戻ったから良いではありませんか。」


3人が話している先では、一人の巨人が体を最大限まで大きくし、両手を天に突きあげながら大声で叫んでいた。


『まってろよ俺の攻撃力!!必ず手に入れてやるからなぁぁぁぁぁぁ!!』

「君君、ちょっとこちらに来てくれるかな?」


下を見ると、こちらを見上げながら笑顔を浮かべるキュリアさんが居た。その後の事は・・・・・・想像にお任せします・・・。

┐(´∀`)┌ヤレヤレ


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


さてさていかがだったでしょうか?GW中は実は集中して執筆出来る環境に無いので書き上げるのに苦労しました(;・∀・)


はてさて現れた怪しい人物たちは何者なのか?目的は何なのか?ルド君は攻撃力をいつ手に入れられるのか?続きの公開をお楽しみに!!


あっ多分次の章は久しぶりの公式イベント回になると思います。

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