第97話

何日間か掛けて坑道内の掃除は順調に進んで行った。時折横殴りが発生したりしたけど全部無駄に終わっている。まぁ突然近接が突っ込んできてミスリルアントに切りつけて去って行った時はビックリしたけど。シアに食わせておしまいだ。一撃じゃ死なないしね。


攻略組何て呼ばれる人達も坑道に到着して殲滅速度は上がった。どうも他所で取れていたミスリルが何者かに全部奪われていたそうだ。今ミスリルが取れる場所はここだけ。だからこっちに来たんだと。


さすがに火力がそこらの旅人とは違うのかミスリルアントを簡単に倒していく攻略組。魔法も撃たれなければ脅威じゃないとばかりに先制攻撃でどんどん沈めてたよ。


まっ俺達は俺達のペースで坑道を進み、攻略組に遅れて今日やっとあの崩落現場に到着した。


「これがルドさんの言っていた穴ですか。」

「大きいですねぇ。」

「下もかなり広い空間になっていますわね?」

「おっかしいなぁ、最初見た時こんなんじゃなかったんだけど・・・。」

(。´・ω・)?


最初は人が2人並んでやっと歩けるくらいの広さだった穴が、今や10人が並んで歩けるほどに広がっていた。


「攻略組はすでに中に入ったんでしょうか?」

「どうだ?」

「入ってますわね。足跡が確認できますわ。」

「僕達はどうします?」

(´~`)モグモグ


攻略組が負ける事なんて無いとは思うが・・・・。


「見るだけ見に行ってみませんか?」

「それはどうして?」

「攻略組に任せても良いとは思いますが、ミスリルの件と言いジュエルアントの異常発生と言い作為的な物を感じるんですよね。なら何か罠があるかもしれません。」

「後から追いかければ罠に嵌っていても助けられるって事か。」

「それに僕達にはルドさんが居ますからね。」

「もし何かあっても、助けを呼ぶまで何時間でも耐える事は出来ますわね。」

「ふむ、まぁせっかくここまで来たからな。奥の様子をちょっくら見て来るか!!」

「はいっ!!行きましょう!!」

「「ゴーゴー!!」」

(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!


攻略組がミスリルアントを倒してくれたのか、順調に奥まで進むことが出来た。脇道を発見したら後で挟み撃ちにされないように、ヘイトスキルでモンスを誘導して倒してきたから少し時間が掛かったけどね。


「ここが最奥みたいだな。」

「奥にだれか居る?」

Σ(・ω・ノ)ノ!


クリンの視線の先には黒いローブを纏った人物が二人居た。


「心が読めません。あのローブ、特別な物かも・・・。」

「っ!?あれは!!」


ルゼダが指さした場所では攻略組が今まさにポリゴンとなって消えていく所だった。


「攻略組がやられたってか!?」

「ルドさん!!あいつらの後ろ!!」

「なんだぁありゃ!?」

(;´∀`)…うわぁ…


全身金属で出来た蟻が居る!!腹には培養液みたいな試験管がいくつも付いていてそこから卵の様な物を天井に打ち出していた。


「なんだ、まだ居たのか。」

「どうします隊長。」

「せっかく向こうから来てくれたのだ。少しは遊ぼうじゃないか。」


黒いローブの片方が腕を上げるといつの間にか俺達はローブを着た集団に囲まれていた。そしてそいつらの持っている物を見て驚愕した。


「銃だと!!」

「しかもあれはAK-47ですよ!!」

「魔法銃じゃなくて実銃ですの!?」

「よく見たらローブの下は軍服です!!」

「攻撃開始。」

「ゲームが違うだろうが!!『お前等何者だぁぁぁぁぁっ!!』」


パパパパパパパンッ


「ぐぅっ!!結構いてぇっ!!」

「回復します!!『女神の抱擁!!』」

「命中1、不自然な弾道を確認。」

「対象、怪我が治っていきます。」

「あの回復役を集中して狙え。任意で攻撃を許可する。他の奴らも近寄らせるな。」

「「「「「「「了解!!」」」」」」」」


くっそ!!あいつ等ルゼダを集中的に狙い始めた!!ちょっ!!手榴弾まで持ってるのかよ!!


「『転痛』!!『城壁』!!」


投げられた手榴弾から身を守る為に城壁を発動して周りに壁を作る。爆風のダメージを受けないようにルゼダに転痛を掛けた。それを見た相手のローブ男が仲間に指示を出す。


「壁の中に迫撃砲弾を放り込め。」

「迫撃砲行きます。弾着・・・・今!!」ドゴーンッ!!


そんな武器まで持ってるとかガチすぎやしませんかね!?このまま城壁出しているのはまずいな、爆発系の兵装どんどん放り込まれちまう。城壁解除!!


「ルドさん大丈夫ですの!?」

「回復とバフくれ!!ちょっちきつい!!」

「行きますわよ!!『天使の抱擁』『回復結界』『亀甲陣』!!」


体力が随時回復する結界とDEFを上げる陣も貼ってくれたのか!これならもうしばらく粘れる!!


「対象健在。」

「追加攻撃開始。」パパパパパパパパパンッ!!

ガガガガガガガガガ!『ぐぬぅっ!?なんでこんなにダメージ入るんだ!!』

「回復は任せて下さいまし!!」

「いつまでやられっぱなしの」「僕達じゃないですよ!!」( `,_・・´)フンッ


ボガンッ!!ガシャーンっ!!ザシュッ!!「GIIIIIIIIIIIIIIIIII・・・・・。」


ふっふっふ!!さっき城壁を出した時にリダさん達にあの機械蟻の破壊を頼んだのだ!!安易に爆発物を使って視界を遮ったのが仇になったな!!


あの軍人たちの動きはどう見てもあの蟻を守ろうとしている動きだったからね、シアに城壁を使って天井に張り付いて貰って、リダさんとクリンの2人を運んで貰ったよ。


機械蟻は腹部の試験管を破壊され、頭部を切り落とされ、胸部を陥没させていた。体の至る所から煙が噴き出し、火花が散っている。あれはもう完全に壊れたでしょう!!


「ふむ、いつの間に。」

「あの大男の力だと思われます。視線が奴に集中してしまいました。」

「このような不思議な力もあるのだな。今後の課題だな。防衛目標の破壊を確認!!各自撤退せよ!!」

「待て!!逃げるのか!!」

「我々が只逃走するとでも?」


そう言って何やら赤いボタンを取り出して押すローブの男、すると壊したはずの機械蟻の胴体が赤く輝き出す!!


「お前何をした!!」

「さてな。ではな“異界の戦士”、生きていれば又会おう。」


いつの間にかローブの男以外の姿が消え、最後にローブ男も一瞬で姿を消した。


「ルドさんこれやばいです!!」

「確実に自爆攻撃ですよこれ!!」

「急がないとまずいですわよ!?」

「とりあえず逃げるぞ!!」


俺達は急いで広間から脱出を図った。けれど時すでに遅く・・・・。


チュドォォォォォォォォォォンッ!!


膨れ上がった機械蟻の胴体が盛大に爆発した。咄嗟に俺は城壁と転痛を重ね掛けして他のPTメンバーをかばう。急いでいた為に効果範囲内全てが転痛の対象になってしまった。爆風だけが坑道の中を突き抜けていく。そして俺のHPは一瞬で1になり、次の瞬間には0になった。


「ルドさん!?そんな・・・。」

「又助けられるだけ何て・・・・。私達は強くなったはずなのに・・・。」

「しっかり!!しっかりしてくださいルドさん!!」


真っ黒な炭になった俺をPTメンバーが見下ろしている。その表情はとても悔しそうだ。


「今回こそ全員揃ってクリアが出来ると思ったのに・・・。」

「私たちは又ルドさんを犠牲にしたのですわ・・・。」

「僕がもっと強ければ・・・。」


おいおい君達?これはたかがゲームだよ?死んでも生き返るんだからそう泣くんじゃないよ。それに君達忘れてるんじゃないかい?


「ぶはぁっ!?死ぬかと思った。」

「「「ルドさん!?」」」


真っ黒になった俺が口から煙を吐きながら起き上がった事に驚く3人。ふっふっふ、種族進化して1戦闘に1回は生き返れるんだぜ?<金剛巨人体>様様だな。


「そう言う事は早く言ってください!!心配したんですからね!!」

「無駄に感傷的になってしまいましたわ!!この責任どう取ってもらいましょう!!」

「ルドさんが無事で良かったですぅ。うわぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」

「俺ちゃんと言ったよ?忘れてたのは君達でしょうに。さてそれよりあの頭持って行って報告しようか。」


俺が指さした先には転痛のおかげで消し飛ぶ事無く残った機械蟻の頭部が転がっていた。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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