第75話

こちらルド、今敵の砦に侵入している。目的は攫われた人質の救出と可能であれば神器の破壊と首謀者の捕縛。作戦は順調に推移しているオーバー?


「何やってるんですかルドさん?それにその段ボールどこから持って来たんですか?」

「うわぁでっかいですねぇ。僕なら住めますよこれ。」

「犬小屋を作ってあげましょうか?」


ちょっとやってみたかっただけです。

((´∀`))ケラケラ


おっシアどうだった?宝物庫に誰かいた?

(ヾノ・∀・`)ナイナイ


「誰も居なかったみたいだな。それじゃあ階段から出よう。」


地下への階段も隠し通路になっていて俺達はそこで待機してました。んでもってシアに先を見て来てもらったわけ。感知で誰も居なのは解ってたけど念の為ね?シアなら蔓を使って索敵出来るから本体は傷付かないし。本当に優秀だよなシアは。

(`・∀・´)エッヘン!!


宝物庫に飛び出した俺達は一応周りを警戒した。お宝でもあればいいなぁ、なんて思ってたけどまぁ放棄されてるからね。宝物なんかあるわきゃない。唯の空き部屋だ。


「さて、ここからどうします?」

「廊下の様子を見てからかなぁ。もし見張りや敵が居たら戦闘になるだろうし・・・・。」

「指令室が近いんですからまずはそこに行くべきでは?」

「でも敵も襲撃に備えて準備してると思うよ?」


うんうん唸ってると廊下が騒がしくなって来た。


「何か在ったのかな?」

「でしょうね。ちょっと確認します。」


リダさんが目を閉じて集中する姿勢になる。俺はもしもの時を考えて、さっき使った段ボール(に見せかけた木枠)を扉の前に置いて盾を構えた。俺の感知だとちょっと距離が足らないからね。ここはリダさんに任せよう。


「下の広間でピエロPTと森PTが見つかったみたいですね。」

「ありゃま。大丈夫そう?」

「重要書類を盗んで動き回ってるみたいです。その為に強力な攻撃が出来なくて困ってるみたいですね。あっ今動員できる人とゴーレムを向かわせました。」


人数差でカバーするって事か。


『ルドさん、ピエロの喝采と森の人から救援要請です。』

「いまリダさんからも聞いた。2階の宝物庫まで来れるか聞いてくれ。」

『ちょっと待って下さい・・・・・今なら行けるそうです。』

「ならこっちに来るように言って。よし俺達は廊下に出て残ってる敵を排除するぞ。」

「「「おう!!」」」


廊下に出た俺達はまず目についた敵に攻撃した。俺は攻撃出来ないだろうって?だから宝物庫の扉守ってましたが何か?


「ごめんなさいね『心通』」

「これで気絶して下さい!!『クデの種子』」パァーン!!

「『チェンジフォーム』からの『当身』」


ルゼダさんや?そんな事が出来るって聞いてませんが?包帯みたいな物で顔を隠して全身タイツを金属で補強した格好に変わってますが?


「知らないんですか?あの姫にはバリバリ戦える裏の顔が在るんですよ?」

「このスキル取るのに苦労しました。なんせ着替えを瞬時に100回成功させないといけませんから。」

「じゃあ当身は?」

「チェンジフォームって着る服に登録しておけば、その人の職業を一時的に変えられるんですよ。」

「今の私は「盗賊」ですね。まぁ登録できる服は1組だけですが。」


へぇ~そうなんだぁ。便利すぎじゃね?


「ちょっとルドさん以外の2人!!速く合流してください!!」

「「は~い。」」


うん、俺って役立たずだから・・・・。シアは存分に暴れてるのにね?

ヘルプミー>ΩΩΩ⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી(^ω^)ʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎ʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎ΩΩΩ<ギャー


「ルドさん来ました!!」


リダさんが指さした廊下の先にはピエロの喝采と森の人のPTが何かを持ってこちらに走って来ていた。うん、後ろに一杯お土産くっついてるね。


「さてと、クリンさっきの種後ろの奴に投げちゃって。」

「はいっ!!『クデの種子』」パァーンッ!! ΩΩΩ<ギャーメガー!!


ゴーレムは止まらないけど、人が留まれば狭い廊下だ、一緒に止まる。抜けて来たゴーレムはリダさん達に任せてっと。


「よし離れたね。それじゃあ『城壁』っと。」


逃げられないなら壁を作って塞いじゃえば良かろうなのだ。9枚壁を作ったからまぁ簡単には抜けられないでしょ。


「(;゚∀゚)=3ハァハァ たっ、助かったでま~す。」

「すまん・・・・俺達がしくじった・・・。」


簡単に状況を聞くと、重要そうな書類は粗方入手できたそうだ。陽動組のおかげで広間に人もゴーレムも少なくて楽だったんだと。


順調に事が進んだことに気を良くしていた森の人、そして何かないか時間まで捜索を続けようとしたところでお宝を発見してしまったらしい。


「こいつ等最低でまーす!!こんな物に気を取られたでまーす!!」


そういってマルデさんが取り出したのは・・・。うん、エロ本かい!!ってかこのゲームにもあったんやね。

┐(´∀`)┌ヤレヤレ


「それで夢中になって見ていて発見されてしまったと?」

「・・・・・面目ない・・・・。」

「僕には何も見えませんよ?」

「成人して無いと内容は白紙になりますよ。」


駄目な大人はさておいて、とりあえずピエロの喝采と森の人には宝物庫から脱出してもらう。手に入れた情報はちゃんと持ち帰って欲しいからね。


んでもって、挟み撃ちされない様にって作って置いたもう一つの城壁。そう守衛室に繋がっている方がそろそろ持たない。


「何が出てくると思う?」

「やっぱりゴーレムじゃないですか?」

「ルドさんの城壁が壊されるって事は相当強いんじゃないですか?」

「大丈夫ですかねぇ?」


ピシッバキッ!!ガラガラガラ・・・。


戦闘態勢を取りながら守衛室の方を向いていると生み出した城壁が崩れ、人影がその姿を現した。


「あーなるほど。それなら簡単に壁崩されるわ。だって特効ついてそうだもん。いやぁ、そんな物まで在るなんて恐れ入るよ。」

「うわぁ見てよルゼダ!!ドリルだよドリル!!しかも両手に!!」

「あれでどうやって戦闘するんでしょうね?」

「殴るか突進するしか手は無いのでは?」


見た目は広間に居た岩ゴーレムと違って、西洋甲冑の様な物に変わっている。そんでもって両手にドリルね。


「・・・・・・。」

「来るかな?」

「構えましたね。」

「バフ掛けますよー。『防御力増加』『HP量増加』」

「サンキュッ。それじゃあ早速、咆哮『掛かって来いやー!!』」

カカッテコイ!щ(゚Д゚щ)


甲冑ゴーレムは両手のドリルを回しながらこちらに突っ込んでくる。俺は盾を構えてそれを受ける構え。


「・・・。」

「ふんっ!!」


うわっ!!ゴリゴリ削れる!!DEF無視では無いみたいだけど、それでもみるみるうちにHPが減る!!


「回復します!!『癒しの光』!!」

「私達も攻撃しますよ!」

「はいっ!!」


リダさんとクリン君がゴーレムに攻撃をしようと動き始める。


「まずは小手調べ!!せいっ!!」

「やぁーーーー!!」


2人の攻撃がゴーレムに当たった瞬間、驚くべきことが起こった!!


ガシャンッ・・・・。


「はえっ?」

「一発ですか?」

「僕、剣振っただけですよ?」


目の前でガンガンドリルを回して攻撃していたゴーレムは、なんと唯の通常攻撃で壊れてしまった。


「なんで?」

「これじゃないですか?『このゴーレムは作業用の為、強い衝撃又は攻撃にさらされないよう注意してください。』って背中に書いてます。」

「まじかー、HPどんどん持ってかれるから相当な苦戦を予想してたのに、マジかー。」

「拍子抜けですねぇ。」

「貴様等何者だ!!」


おっ壊れた壁の中から白衣の人が出て来た。


「あっどうも人攫いさん。こういう者ですわ。」

「くそっ!!もう嗅ぎつけられたか!!」

「あっ待て!!」


印籠を出したところで白衣の人は慌てて引き返していった。


「追いかけましょう!!」

「行くぞ皆!!」


俺達は慌てて後を追う。守衛室に入るとそこには何人かの白衣を着た人と何やら特別そうなゴーレムが2体、そしてカプセルが二つ設置されていた。


「もう来たか!!」

「そりゃ来るでしょうよ。」

「あっ見てください!!カプセルの中!!」

「攫われた人が居ます!!」


薄黄色の液体に満たされたカプセルの中には、要救助者の2人が眠ったような状態で浮いていた。


「最終段階を始めろ!!」

「ですが主任!!まだ装置は調整段階でどのような効果が出るかは未知数です!!」

「すぐ目の前に敵が居るのに悠長なことを言うな!!すぐに始めろ!!」


何やら実験装置的な物を弄る相手さん。それでこの集団の代表かな?メガネかけて白衣を着た人が部下に命令をしている。そんな悠長な事してていいのかね?


「まぁこうなりますよねぇ。」

「お決まり、お約束って奴ですよね。妨害するの簡単です!!」

「やる事が解りやすくて良いじゃありませんか。相手も相当間が抜けていたみたいですし。」

「俺印籠見せるだけで何もしてねぇな。」


別にイベントシーンで動けないとかは無いのですよこのゲーム。そんでもってフラグ大好きなルゼダが居るからね、部屋に突入しながらいろんなパターンを想定してたわけ。で、まぁ人質が何かの実験に使われるって聞いていたから、装置を動かせない様にしてやろうって訳だ。


白衣の人が何やら弄っていた装置の前にはリダさんが立っていて、操作していた人はすでに気絶している。


クリンはカプセルの方に行って、攫われた人が他に利用されない様に牽制。ルゼダは俺と一緒に居て動かないゴーレムを警戒しているよ。


「いやはやほんと、ルゼダの言った通りになったね。本当はエスパー?」

「違いますよ。こういうのはだいたいパターンが決まってるんです。人質を取って交渉するか、実験を強引に進めて防衛力を高めるか。人質を傀儡にするか。殺して逃げるかですね。」

「それじゃあこの後は?」

「指令室に逃げて奥の手登場って所ですかね?」

「この!!良い気になるなよ!!」


ルゼダの言う通り、さっき命令を出していた人が突然走り出して指令室の中に飛び込んで行った。いやぁあの人だけなんか魔道具使って身を守ってたんだよね。手出し出来なかったよ。


「ほんと、ルゼダはフラグ潰しだなぁ。」

「助かりましたけどね。」

「さてと、人質を助けて脱出しますか。」


えっ?戦わないのかって?いやこれレイドよ?出て来るのどう考えても1PTじゃ無理でしょ。人質を安全圏に逃がして全員で戦うよ。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


2022/5/2 魔法名を一部変更 ヒール→癒しの光

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る