第66話
あの後襲撃者全員がシアのくすぐりにギブアップして情報を出してくれた。
こいつ等予想通りニノヒ帝国の工作員、辺境にある開拓村からの手紙を強奪してニノヒ帝国に付くという文に変えようとしていたんだって。それで内乱起こさせて、その混乱に乗じてロロキー王国内で破壊工作をしようとしたとか。
「うーん、もともと旅人が見捨てたとか噂も流れてたし、この作戦意外と行けたのでは?」
「どうしてですか?こんな嘘の情報すぐばれますよ?」
「いや、旅人が助けに来なかったのは国の所為だとか噂流せば本当に離反するんじゃないかってね?まぁでも旅人が村に居るからそれも無いかな?」
「でも国からの避難命令で移動したのは事実ですから、プレイヤーの中で騙される人も居そうです。」
「これ急がないとまずくないですか?」
とりあえず当初予定していた移動開始時間よりは早い時間なんだけど・・・・。
「どうエンヤさん?今日中に着けそう?」
「どうでしょう?お2人が協力して下さればたどり着けるかもしれませんが・・・。微妙な所ですね。」
「あっやっぱり2人が何かしてたんだ。」
「うっ!?」
「うぐっ!?」
まぁ悪い事じゃないし怒ったりはしないよ。だから感謝を言葉で伝えたでしょうが。
「それでどう2人共?エンヤは2人が協力してくれれば間に合うかもって言ってるけど?」
「・・・・はぁ、仕方ありません。全力で支援魔法を使えばかなり速くなると思います。ただ、馬車への負担が心配です。」
「私も、強化の技を使えばかなり速くなると思う。でも馬車が耐えられないよ。」
「それなら俺が何とか出来るよ。」
「僕は役立たずです・・・・。」
。・゚・(ノД`)ヾ(・ω・` )ナデナデ
さてさて。武術大会が終わった後にいつの間にか取得していた技を使う時が来ましたか。この技を取得していると師匠に言ったら、やっぱり天才だとか言いながら抱き着いてきてびっくりしたよ。柔らかかったけど・・・。そういえば師匠見送りまでずっと女性になってたな?もしや女性のまま居るつもりなのか?
「クリンはエンヤさんを守ってあげてください。襲撃が計画されているなら御者を狙う奴もいるはずです。」
「わかった!!でもホース達は大丈夫なの?」
「支援魔法で防御力も上がりますから大丈夫です。」
「私も一緒に掛けますからかなり固くなりますよ。」
「うっし決まりだな。という事でエンヤさん早速出発の準備だ!!シアはそいつら捕まえたまま連れて来て。」
「承りました。」
( ´ ▽ ` )ノ
俺達はこの情報を速く伝える為に、移動の準備を爆速で始めた。準備はあっという間に終わり、すぐに街に向かって出発する。
「では行きます。心義夢想流『心与』(しんよ)」
「支援魔法『敏捷性付与』『身体能力強化』『持久力強化』」
「守護双壁流『転痛』」
「エンヤさんは僕が守ります!!」
「頼りにしていますよ?」
『心与』は自身のMINDを相手の身体能力に自由に付与できる技らしい。今は速さと持久力に振ってるってさ。
敏捷性付与はその名前の通りに速さを付与する支援魔法。身体能力強化は付与した者の能力を1.5倍にする。持久力強化もそのまま持久力を上げる効果だ。
そんでもって俺の『転痛』は対象が受けるダメージを肩代わりする身代わりの技。距離はMIND依存で100m。対象の数は俺が受け止められるだけっていう物だね。襲撃者が襲ってきたときこっそり使ってました。まぁルゼダのおかげで出番なかったけど。
道中の魔物はホースバトラーが強化された能力を使って跳ね飛ばし、シアが空いている蔓で捕まえて食べてました。襲撃者?シアの蔓に捕まってぶんぶん振り回されてます。こらこらシア、お腹いっぱいご飯食べられて嬉しいのは分かるけど捕虜の事も考えてね?
(-ω-)/
グングン速度を上げて走る馬車はかなりのスピードを出している。馬車へのダメージも・・・大丈夫だね。身代わりになっている俺も問題ない。
「ですが勿体ないですね?これだけ魔物を倒してるのに経験値もアイテムも手に入らないなんて。」
「急がないといけない事情が出来たからなぁ。まぁ元々シアのおやつになってたし良いんじゃないか?」
「この数を自分で倒したら絶対レベル上がってますよ僕。」
「私も同じですね。」
うーん、これは道場で経験値稼がせてあげた方が良いか。街についたらいい場所あったらいいけど。
「お詫びじゃないけどいい場所在ったら道場開いてやるよ。そこでがっつりレベルを上げればいい。」
「そうですね。今のルドさんなら大抵の敵の攻撃は受け止められますから。」
「やった!!これで転職できるかも!!」
「落ち着きなさいクリン、街についたらお願いしますねルドさん。良い場所探しておきます。」
「ははは、お手柔らかにな。」
雑談をしながらも周囲を警戒していたが、圧倒的な速さで走る馬車に追いつける者もおらず、感知に引っかかってもすぐに置き去りにしてしまった。
そして、あっという間に俺達の前に聳え立つ石壁が見え始めた。
「あれがこのあたりの中心地、商業の街タカッハです。」
おぉあれが!!やっと、やっとたどり着いたぞ!!待ってろ俺の攻撃力!!まぁまずは襲撃者の受け渡しと領主に手紙に配達だな。
「そこの馬車止まれぇぇぇぇぇ!!」
おん?街の前に大勢の兵士が並んでる?おんやぁ?こちらに槍を向けてませんかね?
「止まりますよ。」
エンヤさんが手綱を操って馬車をゆっくりと止める。兵士達は槍を構えながら馬車を包囲して来た。何々?一体何なの?
「貴様らか!!冒涜的なオブジェを掲げながら街道を爆走した馬鹿者共は!!通報があったぞ!!」
冒涜的なオブジェ?はて?ここに居るのは俺達と、襲撃者を捕まえてぶら下げたシアしかおらんが?
「ルドさんルドさん、いつもシアちゃんと一緒に居るから感覚バグってます。傍から見たら花の化け物に人を捕まえて生贄にしようとしている狂人に見えなくも無いです。」
「そんな馬鹿な!!シアはいい子でかわいいんだぞ!それにぶら下がってるのは俺達を襲って来たニノヒ帝国の間者じゃないか!!情報源持って来たのに感謝もされずに犯罪者扱いか!!」
ヽ(`Д´)ノプンプン
「えぇいやかましい!!話は詰所で聞く!!」
「せっかく重要な情報持って来たのにそんな扱いされて、はいそうですかと着いて行けるか!!もういいシア、そいつら食べちまえ!!」
「ちょっとルドさん落ち着いて!」
「坊ちゃんそれは悪手ですよ!!騎士に楯突くのはいけません!!」
「ほーらシアちゃんも落ち着いてねぇ。飴食べる?」
「ドーナツもありますよー?」
⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી(#^ω^)ʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎ʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎ウネウネウネ ΩΩΩΩ< ギャー振り回すなー!!
「なんなんだこいつらは・・・。」
その後リダさん達に宥められた俺達は一応詰所まで同行した。そして、野営していたら襲撃に会った事、ニノヒ帝国の工作員がその襲撃を行った事。開拓村と国との仲を引き裂き、内乱を起こそうとしている事を説明したら、さっき偉そうにしていた人が顔面蒼白になって部屋を飛び出していった。
「ったく、だから急いで報告に来たってのに。」
「まぁまぁ、事情が分からなかったんですから仕方ないですよ。」
「シアの事も馬鹿にしやがって!!もどってきたらくすぐりの刑に処してやろうか。」
「止めましょう?僕の胃が持ちません。」
「私も同じく。」
ヽ(`Д´)ノプンプン
「で何も言わずに飛び出していったが俺達もう帰っていいのかね?」
「駄目なんじゃないですか?出ていいなら声掛るでしょう。」
「坊ちゃん私が聞いて来ましょうか?」
「うーん、ちょっと聞いてきて?」
「分かりました。」
どうやら慌てすぎて待機していて欲しい事を伝え忘れたらしい。俺達はしばらく詰所で足止めを喰らう事になった。早く領主に手紙渡して鍛冶屋に行きたいのに!!
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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