第50話
昨日はそのまま店番で1日が終ってしまった・・・。今日こそはシチートさんを探し出して弟子にしてもらうぞ!!
「という事で親父何か知らない?」
「何のこっちゃ分からんがシチートなら居場所が分かったぞ?」
「えっ!!マジで!!どこに居るの?」
↓☟(十_・/)トントン
「ん?下?下に居るの?」
「この村に居るって言ってるんだよ。」
「はっ?」
いやいやいやこの村にシチート何て人は居なかったから!!初期からこの村に居る俺が言うんだから間違いない!移って来た人の中にも居なかったからね!!
「6日前に騒ぎを起こした下手人、覚えてるか?」
「ん?あぁ親父が人身売買組織に加入した・・・。」
「してねぇよ!!広場で旅人相手に騒ぎを起こしたやつの事だよ!」
ゲーム内だと昨日の事は6日前の事になる。そう言えば捕まった人どうなったんだろ?
「その人がどうなったって?」
「今自警団で指導役をやって貰ってる。」
「ほえ~、何か心得が在った人だったんだ。まぁそうじゃないと旅人に手は出さないか。」
「お前こういう時だけ鈍感だよな。そいつがシチートだったんだよ。」
「なっなんだってーΣ(;゚Д゚)ノノ!」
いやうっそだろ!?服もボロボロで髪も髭も伸び放題だったぞあの人!!盾も持って無かったし信じらんねぇよ!!
「あの後事情を聴いてな?どうやら王都で指南役に任命されていたらしいんだが、誰一人として旅人が来なくてなぁ。とうとうお前はいらないと言われて追い出されたらしい。」
「その後は?」
「各地を転々としながら酒に溺れてたんだとよ。仕事もしてなかったから今は無一文だ。そのままだと可哀そうってんで自警団の連中を鍛えて貰ってるって話だ。」
多分容赦ない言葉を浴びせられたんだろうなぁ。旅人の中にはゲームだからって好き勝手にする連中も多いし。
「旅人に絡んだってのは恨みで?」
「どうだかな。だがここ何日かは落ち着いてるぞ?自分の技を伝えられると聞いてやる気が戻ったそうだ。だが本当に伝えたいことはまだ教えられてないんだとよ。」
「それって・・・。」
「そうだな。双盾を使う技を本当は教えたいらしい。お前の出番だな。」
よっしゃキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 何たる偶然!!何たる行幸!!今こそ俺の時代が始まる時!!いざ輝ける栄光の未来へと出航!!
「ちょっと待て。」
( 十_・)つ_( _´ω`)_ペショ
「なんで止めるんだよ親父!!」
「落ち着いてるつっても旅人相手に喧嘩を売るような奴だぞ?突然行ったら敵対されるに決まってるだろうが。まずは俺が話を付けて来るからお前は店番だ。」
「解った!!だったら早く行って来てくれ!!俺の未来が掛かってるんだ!!」
「へいへい、そう意気込むなよ。まっ気楽に待ってろ。」
気楽になんて待てるかーい!!どんな技教えてくれるんだろう。攻撃技在るかな?爺さんみたいにMIND攻撃技が在ればいいなぁ。はっ!!今フラグが立ってしまったのでは?
「連れて来たぞー。」
「貴様が私の技を知りたいという旅人か。」
思いの外早く戻ってきた親父、そしてその後ろには目が細く、体の線も細いイケメンが立っていた。髪は黒色でメガネかけて執事服着たら似合いそう。
「あっ初めまして!!俺は「今“見る”から黙ってろ。」る・・・へ?」
見かけ通りにやっぱりドSさんですか?とってもお似合いですね?
「おっおぉ、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」ズシャッ
ちょちょちょ!一体どうしたの!?突然唸り出したと思ったら店の床に膝付いたんですけど!?めっちゃ泣いてるんですけど!!
「なっ?だから言ったろ?ちゃんとお前の技を受け継げる奴が居るってよ。」
「ルバート殿・・・・・。申し訳ない、謝罪をさせて欲しい。だがどうしてもこの目で見ないと納得できなかったのだ。私の技を受け継げる旅人等1人も居ないと言われ続けて来て、疑心暗鬼になってしまった。すまなかった!!」
親父に向かって土下座するシチートさん。これだけで今までに何が在ったかは察せられるなぁ・・・・。
「で、約束を守ったんだから広場で暴れた本当の理由。話してくれるな?」
いやいやいや、詳しい話聞いたんじゃなかったんかーい!!広場で暴れた理由まだ判明して無かったんかい!!もしかして自警団で指導してたのって経過観察中だったとか?
「あぁ、この村に来て、旅人達の会話が耳に入った。この村に双盾を使う旅人が居ると。私はそれを聞いて居ても立ってもいられずにその人物について聞こうとしただけなのだ。だがどうも風貌がよろしくなかったらしく、襲われていると勘違いした他の旅人に止められてしまった。その事に苛立ちを覚え、ついつい暴れてしまったのだ・・・。」
うん?旅人に恨みを持ってるから問答無用で襲ってたわけでは無いの?
「旅人に思う所は無かったって事か?」
「・・・・いや、少なからず恨んでいる。王都を追い出される原因にもなった。他の街でも心無い言葉を浴びせかけられた・・・。だが自分から手を出したことは無い!!必ず相手が先に仕掛けて来たのだ!!私は反撃しただけだ!!それにこの村には私の弟子になるかも知れない人物が居るのだ!!追い出されるわけには行かないだろう!!ずっと・・・・ずっと探していたんだ・・・・・。」
おうふ、元々は真面目な人なんだろうなぁ。それが旅人の所為でこんな事になって・・・。ってルバートさん双盾師だよね?つまり弟子は双盾使いだよね?それが1人も居ないって・・・。俺の所為じゃね?俺が悪評広めた所為じゃね?うわっすっげぇ申し訳ない!!
「すみませんでしたー!!」
「突然どうした?頭でも打ったか?」
「いや、俺の所為で双盾使いの人気が落ちちゃったから・・・・。その所為でシチートさんの所に旅人行かなかったんじゃないかなぁって・・・・。」
親父には全部話してる。掲示板とかSNSは解んないだろうから、旅人の独自の連絡方法で俺の役立たずさが広まってるってね。その所為で盾職が少ないって。
それを聞いた親父は他の旅人に対して、そんな事をしても最後は自分の首を絞めるだけだと呆れてたもんだけど・・・。でもやっぱりさ、シチートさんみたいな真面目な人の人生狂わせちゃったら謝るしかないでしょ?謝って許してくれるかなぁ・・・。
「話は聞いているよ。旅人には何度も転職してくれと声を掛けたこともあったんだ。これでも元指南役だからね。すぐに転職出来る様に準備もして在った。でも全て断られた。地味だからと言う理由でね・・・。だから君の所為では無いよ。」
いやまぁそりゃ盾職は地味ですけどね?でもやりがいある職だと俺は思ってますよ?だって俺が踏ん張れば踏ん張る程味方が活躍するんですよ?なんかこう達成感あるよね。まぁ村の住民としか共闘してないけど。
「えっと、じゃあ弟子入りは認めて貰えるので?」
「どうなんだ、シチート。」
「・・・・・試験を受けて貰おうか。」
あー、そりゃありますよねぇ。リダさんの時も在ったんだから自分の時もあるに決まってるわ。
「試験内容はこうだ。双盾術のレベルを10以上にするか、体力の回復手段を得るか、ヘイトスキルのレベルを10以上にするか。この三つのどれかをクリアすれば弟子入りは認めよう。」
えっと双盾術は・・・レベルマックスだね。体力の回復手段は・・・・体力自動回復のスキルが在るね?ヘイトスキルは・・・・うんいま咆哮がレベル21だね。
「あのぅ~。」
「なにかね?あぁレベル1では厳しいかもしれないけど、私の技を覚えるにはこれくらいは必要なんだ。だから諦めずに挑戦して欲しい。」
「いや、そうじゃなくて・・・。」
「何もじもじしてんだ早く言ってやれ。」
親父の奴楽しんでるなぁ。まぁそりゃそうか、知ってるもんな。今だされた条件全部クリアしてる事。
「シチートさん?俺その条件全部クリアしてます・・・。」
「へっ?」
さっき鑑定か何かで見られただろうから知ってると思ったんだけど・・・、驚いてるって事は名前と職業、あとレベルくらいしか見えないのかな?
「見せて貰っても?私の『簡易鑑定』では相手の了承が無いと深く見えないんだ。」
「あっ相手の承諾を得るのが条件なんですね?良いですよ?」
しばらく俺の事をじっと見ていたシチートさんは、その後又固まったかと思ったら今度は体をプルプルと震わせ始めた。
「あのぅ~シチートさん?」
「・・だ。」
「へっ?」
「君は天才だ!!」
うわっぷ!!ちょっちょっと落ち着いてシチートさん!!いきなり抱き着いてこないで!!俺にそんな趣味は無いから!!ほら外見て外!!変な注目集めてるから!!一部で盛り上がっちゃってるから!!
「私は君に会う為に生まれてきたのかもしれない!!」『キャーッ!!』
「シチートさん落ち着いて!!いったん離れましょう!!じゃないとほらっ、外の連中が勝手に受けとか攻めとか話始めちゃってるから!!俺男に抱き着かれて喜ぶ趣味ないっす!!ってか親父も見てないで助けて!!」
「プクククク。良かったじゃねぇか。今回はすんなり事が運びそうでよ?それでシチート、こいつは合格か?」
「あぁ!!合格に決まっている!!レベル1でこれだけスキルの熟練度を上げられるんだ!!それに守護者のEXスキルまで持っている!!これは盾職を志す者にとってあこがれのスキルなんだよ!!これでレベルが上がったらどれだけ強くなるか!!」
「「あっ!!」」
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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