第28話 クラス対抗球技大会があるらしい

紗季ちゃんに連絡を返してシスターズとのグループを作成すると、皆の予定をあわせて夏休み前にある3連休の初日に遊園地へ行くことに決めた。


彼女たちは受験生ということもあり普段は塾などで忙しいため、期末試験前に遊んで後を乗り切りたいとのことだった。


だいぶ先になってしまったが、黒板にでかでかと書かれた文字を見て丁度良かったのかもしれないなと俺は思うことにした。


【クラス対抗球技大会】


「うぃ~おまえら~。来週はクラス対抗の球技大会が開催されんぞ~。まぁだいたい3年が勝つから適当に体動かせるとでも思え~。」


相も変わらず適当な担任の言葉を受けて、朝日とともに何の種目に出ようかと考えているとすでに黒板には俺たちの名前が書かれていた。


「おー、佐伯と菊池はバスケ決定だから。聞いた話によると各クラスバスケ部は一人しか参加できないルールが今年からできたらしくてな~。確実に勝てるところにお前らには入ってもらうから、よろしくな~。」


「さっき勝てなくてもいいみたいなこと言ってなかったっすか?」


朝日がめんどくさそうに先生に言うが、すぐに否定される。


「ばかちんが~。勝てないから勝とうとしないのと、勝てるのに勝ちに行かないのはちげーだろ~。それにお前らでけーし。ま、お前たちには無理いうからな、勝ったら先生がチューしてやっからよ~。やる気出るだろ~?」


「「俺ら彼女いるんでいらないっす。」」

即拒否である。


「チッ!くそが~。お前ら負けたら夏休みまで体育教官室の掃除決定だかんな~。死ぬ気でやれよリア充どもが~。……ちなみにマジだからな。」


「横暴だ…。」

「訴えたら勝てるんじゃね?」


この先生。いつも適当だがこういうことはマジでやりかねないところがあるので逆らわないでおこう。

去年、同じように先生の冗談を適当に流した奴がに校長室の掃除を担当するということがあったらしいからな。


「まぁ、朱莉にいいとこ見せられるかもだし勝ちに行くべ。」

「そうだな。放課後軽く1on1でもやるか。」


無理やり決まった種目だったがここで小春にいいとこみせるぞと俺も内心ではかなり燃えていた。




「お二人はどの球技に参加されるんですか?」


昼休み。いつものように4人でご飯を食べていると、当然ながら球技大会の話になった。


「俺たちはバスケだよ。」


「そーそー、無理やり先生に決められてさ!でも案外涼真も乗り気だったよな?なんかガッツポーズきめてt…」


朝日に見られているとは思っていなかった俺は、とりあえず朱莉ちゃんがくいつきそうな話題を投げて話を逸らすことにした。


「うるせ。お前も朱莉ちゃんにいいとこ見せるって気合入れてただろ。」


「あ、ちょ涼真それは言っちゃぁダメだろ!」


「えー!なにそれなにそれ!?朝日かっわいい~!!」


予想通り朱莉ちゃんがくいついてくれたぞ。ったくこいつはいらんことばっか言おうとするから困る。


「あぁもうこうなるから知られたくなかったのに…!!」


「んふふ~涼真くんのおかげで可愛い朝日をみれて余は満足じゃ~」


朝日がキッと睨んでくるが軽く鼻で笑ってやった。


「っ~!!!はぁ……それで逆に二人は?」


言い返す気もなくなったのか小春たちへと話を振った朝日に俺をからかおうとするからだと視線を送っておいた。


「私たちはバレー!」

「です。」


朱莉ちゃんと小春がいえ~と手を重ね合わせる。


「おー丁度俺らがバスケ終わった後に隣のコートでって感じか。」


なら小春の応援もできそうだな。


「応援してますねっ。」


「敵チームだけどいいのか?」


「そ、そうですけど、いいじゃないですかっ!」


「ははは、ごめんごめん。ありがとうな。」


もうっとぷりぷりする小春に形だけの謝罪をすると、すぐにえへへと微笑んでくれる。


そんな俺たちの様子を見て朝日がポツリと呟く。


「…なんか二人の距離近くないか?」


「別に普通だろ。ほ~ら朝日今日も濃厚バナナメロンクリームソーダ買ってきてやったぞ~。」


「それめちゃくちゃ甘い奴じゃねぇかよ!!うっ、でも涼真からもらえることなんてほとんどないから拒否できぬぅ。い、いただきまあああああ゛ま゛ぁああああああ。」


昨日渡したとき甘いことは知っていてもそれでも飲んでしまう男朝日。

甘すぎてダウンしてしまった姿を見ていつもよりも笑いながら今日も4人での時間を過ごしていた。



そんな涼真たちを微笑ましく見守る生徒たちという図が最近ではこの中庭で起きているが本人たちは気づいていないというか気にしていない。



「今日もあのグループは素晴らしいな。」

「顔面偏差値ががががが」

「あぁ、あんなに笑う五十嵐さんをみれるなんてなぁ。」

「うぇ!?ちょっと待って佐伯君の笑顔萌え!!ぶっ…」

「衛生兵!衛生兵ー!!」

「いいなぁ、あのジュースになりたい…」

「濃厚バナナメロンクリームソーダか、そういうのもあるのか。」



今日も彼らは周りから愛されている。



ちなみに、その日購買の自販機から濃厚バナナメロンクリームソーダがなくなるという珍事件が起きたが、あまりの甘さに倒れる生徒が続出しそれ以降誰も買うことはなくなった。ある一人を除いて。


「今日もバロンソーダは最高ですなぁ。さて、今日もこれを飲んで名前に恥じぬよう勉強に勤しむとしますかな!次は勝ちますぞ~佐伯氏!!」



☆あとがき☆

次回予告詐欺しました!すみません!!!

ちょっと話が詰まりすぎたのでずらします!!



♦新作投稿のお知らせ♦

「人生やり直し童貞」というラブコメを投稿しました。

タイトルから想像できるような内容になっています。

よろしくお願いします~。


https://kakuyomu.jp/works/16817139555034024042

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