第27話 後は俺次第

「涼真くん。そのわ、私のことが好きってほんとうですか……?」


「うぐっ……。いや、その……、はい……。」


はい。じゃねぇよ!!!焦りすぎてポロッと告白とかダサすぎるだろおおおあおお!!!!!

告白は二人きりで全部落ち着いてからとか考えてたのに何うっかり言っちゃってんだよ。

どうすればいい、どうすればいい。いやどうすればいいもこうもねぇよ、言っちゃったんだもの。言っちゃったんだものじゃねぇよ!!一人でツッコんでる場合じゃねぇ、あぁ、くそ。考えろ考えろ……。


今更聞かなかったことになんて無理だ。今できることを最低限小春に伝えるしかない。


「こ、こはる。そのさっきのことなんだけど……」


「えっと、え?ほんとに。あの私、その…。」


困惑している小春にやらかしてしまったこと、そしてこれからのことを聞いてもらおうと声をかけたのだがなにやら様子がおかしい。


「あの、小春、さん……?」


「わ、私………、し、失礼しますうぅうううううううううう!!!!!!」


俺を置いて走り去っていく小春の背中をただ眺めることしかできず、姿が見えなくなったところで俺はその場に崩れ落ちる。




お  わ  っ  た  。  。  。




自分のやってしまったことと小春に逃げられたことで俺はしばらくその場から動けないでいた。




「タダイマ」


「おかえりおにいちゃ~ん、紗季ちゃんに返事した~?遊園地どうする~?ってどしたの!?!?森にすんでそうな小さい精霊みたいな作画になってるよ!?」


「ダイジョブ、ナンデモナイヨ。ユエンチ、イコウカナ……」


「え、あ、あぁうん。それは紗季ちゃんに行っておくけど…」


「アリガト…ヘヤ、モドル……」


「ちょ、ちっとおにいちゃ~ん!!」



あれからどれだけ時間が経ったんだろうか。

気づいたら俺は自分のベッドにうつぶせになっていた。いや、綾香と会話した気もするからあそこから自分の足で帰ってきてたんだな。


今何時だろう。

スマホを探そうとポケットに手を入れ取り出すと、スマホがぶるっと震えだし画面には ”小春” と表示される。


俺はすぐに通話ボタンを押して電話に出る。


「も、もしもし!!!」


『わっ、とっとっと!も、もしもし小春です!さきほどはすみませんでした!!!!』


「あ、あぁはい涼真です……。こっちこそ急にあんなこと言っちゃってごめん…。」


『い、いえ!全部私が悪いんです!その、ま、舞い上がってしまったというか、許容量を超えたといいますか……。その、う、うれしくて…。』


「小春……。勢いで言ってしまってごめん。本当は俺…」


『ま、待ってください!!!その先は、まだ言っちゃダメです!!』


「え?」


『私だってそうなりたいって思ってますけど、まだダメだと思うんです。綾香ちゃんのお友達と向きうこと、それと神崎さんとのこともありますし…。そうなりたくないってわけじゃないですからね!!!』


ひとまず拒否られて逃げてしまったわけではないと知れてホッとする。

でも、紗季ちゃんについてはさっき俺がやらかしたときに言ったが、ちゃんと聞いてくれていたとは。後で返事しておこう。


それよりも唯奈のこと…。小春も最近のあいつのことで何か感じ取っていたようだ。


「ごめん、ありがとう。…そうだよな、小春も気づいてると思うけど唯奈がおとなしすぎるなって思ってたんだ。」


『私は神崎さんのことをそんなに知らないんですが、あの放課後以来涼真くんに関りに行こうとしていないのはさすがにおかしいなと思ってて…。』


そう、そうなのだ。中間試験後に沢田とやってきたことを除けば唯奈が関わってくることはなかった。たまに何か言いたそうにしていることはあったが実際に話しかけてくることはなかった。


「不気味だよな。いや、本当にもう関わるつもりがないならいいんだ。でもそうじゃないって何故か言い切れてしまうんだよ。絶対何か良くないことを起こそうとしているような……。」


考えすぎかもしれないがあそこまで執着してきた唯奈が果たして俺から何か言われたところで考えを改めるのだろうか。いや改めてくれるならそれでもいいし、むしろそうしてくれと願うばかりだ。


「どこかであいつとは話してみるよ。…あのさ、全部終わったら、今度はちゃんと伝えるから。」


『は、はい……。その待って、ます…。』


お互いに恥ずかしくなりしばらく無言が続いてしまう。


『ご、誤解も解けたようなので、私はもう寝ますね!また明日お会いしましょう!』


「あ、あぁ!おやすみ、また明日。」


『はい、おやすみなさい。』



電話を切り俺は安心したのか全身の力が抜けそのまま床に寝転ぶ。


「よかったぁああ…………。」



なんとか乗り切ったのか…。いや、まだ問題は山積みだ。


・遊園地で紗季ちゃんたちにはっきりと伝えること。

・唯奈ともう一度向き合わなければいけないこと。


・すべてが落ち着いた後、小春に改めて好きと伝えること。



俺のこれからやるべきことを改めてノートに書きだして確認する。

ざっくりとしているがここで俺の今後が決まるんだ。


よしっと気合を入れたあと、思い出したかのように書き足して部屋を後にした。




・生徒会長の勧誘を適当に流す。




☆あとがき☆

もちろん、涼真にはちゃんと告白してもらいますとも~。


♦新作投稿のお知らせ♦

「人生やり直し童貞」というラブコメを投稿しました。

タイトルから想像できるような内容になっています。

よろしくお願いします~。


https://kakuyomu.jp/works/16817139555034024042

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