第26話 おおやらかし

月曜日。

スマホを触っている朝日に声をかける。


「なぁ朝日。」


「ん?どした?」


「女の子が頻繁に連絡してきて、複数人ではあるけど遊びに誘ってきたりってただ仲がいいだけって思うか?」


先週遊んだこと。そしてその日のうちにまた綾香含めて遊びたいと言われたこと。ほぼ毎日紗季ちゃんから連絡がきていること。

改めて恋愛について考えてみた結果もしかして、と思うことがあったため朝日に聞いてみた。


「そうとも言えるけどどっちかってーと好きだからじゃないのか?」


「だよなぁ~。やっぱ朝日もそう思うか。」


「どうしたんだよ急に。なんかあったか?」


そりゃ急にこんなことを聞いたらそういう反応になるか。

先週彼女たちの買い物に付き合ったことを先に言っていたのもあり、朝日に話を聞いてもらうことにした。


「まぁ、というわけなんだが…さすがに自意識過剰かね?」


「……どっちとも言えないが、ひとつわかったことがあるぜ。」


さすが朝日だ。告白された経験も多いからこういう相談事の時は本当に頼りなるな。


「ほんとか、助かる。」


「お前が悪いな。」


この件もこれ以上悩まなくて済むかと安心していると朝日から言われた言葉に崩れ落ちてしまう。


「なんで?」




単に紗季ちゃんとこれからどうすればいいかってのを聞きたかっただけなんだが…。

俺の驚いた様子を見た朝日がはぁと溜息をついて話し始める。


「そもそもの出会いがコンビニで困ってるとこを助けたんだろ?その時点で惚れてもおかしくないってのが一つ。その後これから遊びに行く友達の兄だったってのも惚れるポイントが高い。運命感じちゃうんじゃないか?知らんけど。そんで、頭がよくて勉強も教えてくれるし、さらにはいつでも相談に乗るよなんて面倒見の良さまである……。これ逆に惚れさせてるだろ?お前策士か?」


「考えてそんなことしてるわけないだろ。全部偶然が重なってたんだよ。それに勉強を教えてほしいって言われたからには助けてやりたいだろ。」


勉強をずっとやってきていた身としては自分から勉強に取り組もうとしてる子を応援したいと思うのは当然だろう。


「まぁ涼真の性格的にそんなの計算してないってのは俺はわかるけどさ。てか、その紗季ちゃん?って子と二人きりになった時に好きなタイプはって聞いてんのに、彼女がいるってことを言わずに小春ちゃんのこと考えてたんだろ?」


「考えてやってたらこんなに悩まんしな…。そうだけど、でも自然と小春のことがでてきただけだって。それにその時は純粋に自分の好きなタイプってなんだろうなって考えてただけだし。」


今となってはこの質問も好きな人の好きなタイプを聞きたかったのか?そういうことだよな?


「その辺も俺はわかってるけどな?でも、ちょっと自意識過剰くらいでいいから勘違いさせるよりは恋人がいるってちゃんと言った方がいいって。」


「まだ確信が持てたわけじゃない段階でか?」


「あぁ。確信が持てなくても、だ。今聞いただけでさきちゃんは100%お前に惚れてると俺は思ったからな。まぁでも、とりあえず出かけるんなら小春ちゃんには言っとけよ。」


「わかってる。」

それはもちろんそのつもりだ。


「そんで、出かけたときその日にもし告白されて小春ちゃんが本当に好きなら断ればいいし、されないならこっちから彼女がいることを言えばいい。」


「そうだな…。でも、さすがに二人でどこかにでかけるのはやめておくよ。誰かに見られたら誤解されるだろうし、いろいろ考えて気づいたけど恋人がいる奴が他の異性と二人っきりででかけるってのはやっぱよくないわ。」


それに、唯奈と同じことをするわけにはいかないからな。


「おう。そこまで自分でわかってんだったら大丈夫そうだな!まぁでもその子がもし告白してきたならちゃんと聞いてやれよ。」


「あぁ。さんきゅーな。」


いろいろとまだ整理できていないがとりあえず今日の帰り道に小春に伝えておこう。

朝日には自販機で買った濃厚バナナメロンクリームソーダをお礼として渡しておいた。


「あ゛まぁ゛……バタリ」







「また、妹たちと遊びに行くことになりそうなんだ。」


二人で帰っている途中、俺は今朝朝日と話していたことを小春に話し始めた。


「綾香ちゃんたちとそのご友人とですか。ふふ。皆さん本当に仲がいいんですね。」


「ほんと4人とも仲良しだよ。この前はモールで荷物持ちとして着いて行ったんだけど、今度は遊園地行きたいらしくてな。」


「遊園地ですか、いいなぁ…。あ、いえ!た、楽しんできてくださいね!!」


「え、あ、あぁ。もちろん。」


小春の勢いに押し負けつい頷いてしまうが、こういう風に流されるのがよくないんだ


「……ほんとは行くか迷ってるんだ。」


「え?」


「遊びに行く子の中には俺のことを好きかもって子がいるんだよ。自意識過剰じゃなければなんだけどな。」


「そう、なんですか……。」


「あぁ、だからちゃんと向き合っていかないとって思ってるんだ。」


紗季ちゃんとも小春とも。唯奈とも、な。

俺がそういうと小春が立ち止まり、ポツリと呟く。


「…てことは私の役目もこれで終わり、ですね。」


「え?……いやいや、ちょっと待ってなんでそうなるんだ。」


「だって涼真くんもその子を好きなんですよね…?それなら私の存在は邪魔でしかないですし…幸いにもいい意味で目立ったので彼氏のフリをしてもらっていたと今なら言っても大丈夫そうですし。あはは。」


寂しそうな顔をしながら、そういうことですよね?と聞いてくる小春に、なぜそう思ったのかわからず俺は数秒フリーズしてしまう。


「ち、ちがうちがう!!そういう子がいるから行くのをやめようかと思ってるのと、行くんだったらちゃんと話をしてくるって言っておこうと思ったんだ!だいたい……」


言葉足らずだったのか違う意味で伝わっていて俺は焦りつつも説明した。



「ひゃぇ?」


あぶないあぶない。ちゃんと先に説明しようと思ってよかったよ。ありがとうな朝日。


何とか必死に弁明をしなければと焦っていた俺は最後に爆弾発言をしてしまったことに気づかず続けようとするが、顔を真っ赤にした小春をみて自分が何を言ったのかそこでようやく気付いたのだった。


「……聞かなかったことにしてくれたりは?」


「で、できません……」



ですよねー



☆あとがき☆

ポン涼真ポン


もう少し書き溜まったら新作投稿しますのでまたお楽しみに~。

ひとまずこの作品を完結みえるとこまで書きます~。

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