第25話 お出かけwithシスターズ②

ん???俺の好きな女の子のタイプを知りたいって、そんなのがご褒美になるのか?


もしかして紗季ちゃん……いや、そんなわけないだろ。最近告白される回数が増えたからって調子に乗るのはよくない。

きっと純粋に高校生の男子がどんな女の子がタイプなのか気になっただけだろう。


「う~ん、そういえば好きなタイプとか考えたことなかったからパッと思いつかないな…。」


「なんでもいいんですよ!髪は長い方が好きとか年上か年下かとかそういうので!!!」


そうか、そういうところから考えればいいんだな。

俺はう~んと悩み、ひとまず紗季ちゃんから言われた二つを考えてみる。


「髪の長さはちょっと肩にかかるくらい…?年齢は離れすぎてなければ特に気にしないかな。」


「髪はセミロングかボブくらいってことかな……。年齢はよしっそれなら……。ほ、他にはどういうところがいいとかありますか?見た目とかじゃなくて内面的なとこでもいいので…。」


「他か……。」


今までまともに女子を見てなかったからなぁ。

あぁ、でもみたいじゃなければそれでいいかもな。


「俺の素を認めてくれればそれでいいかな。」


「素?ですか?」


「うん。ありのままの俺をちゃんと見てほしいなって。好きになる理由にはいくつかあると思うんだ。見た目が好きとか、優しいからとか話が合うとか。まぁ普通はそうじゃない?」


「そうですね。かっこいいから付き合いたいとか、仲良くなって話してるうちに好きになってるとかよく聞きますもんね。」


紗季ちゃんは友達から聞いた話ですけどと補足しつつ、俺の言ったことを理解しようとしてくれる。


「なにも見た目から入るのが悪いって言ってるわけじゃないんだ。俺だってあの人可愛いなとか最初は思うし。でも付き合うってことは見た目だけじゃなくてその人の本質を知ったうえで付き合わないと絶対うまくいかないって思ってる。最初のイメージや自分が勝手に抱いた理想で『こうじゃないとダメ』、『〇〇だと思っていたのに』って相手を失望したり自分の思ったようにさせるのって、それって本当に相手のことを好きだと言えるのかな。」


「あぁ…。わかるかもしんないです。あたしもこんな見た目だから、簡単にHなことができると思って近づいてくるやつばっかですし…。あたしはあたしなりのかわいいと思った格好をしてるだけなのに。」


紗季ちゃんも言うように派手な見た目をしているから遊んでいるとか、以前の俺のようにあまり喋らずに教室の隅で本を読んでいるから陰キャだとか。その人のことを本当に見ている奴なんてほとんどいない。俺だって見た目で判断することは多くあるからな、それも仕方ないとは思う。

けど恋愛ってそんな軽いもんじゃないだろ。


「そうやって決めつけられることが一番嫌いだからさ、俺は本当の俺を知って受け入れて一緒に歩いてくれるそんな人が好きなんだ。って今改めて思ったよ。」


俺はそう口にすると、こちらをみて手を振って笑っている小春を思い出して自然と緩んだ表情になってしまう。


「…そっか。うん、あたしもそう思います!いろいろ教えてくれてありがとうございます!」


「こんなんがご褒美になるとは思わないけど、それならよかった。めっちゃ語って恥ずかしくなってきた。……綾香たちまだUFOキャッチャーに苦戦してるのかね。」


「あーー……たぶんみっちゃんかなぁ。」


まだ戻ってこない3人を気にしてるとどうやら霧島さんがまだ格闘しているかもしれないとのことで、二人で中に入り3人をさがす……間もなくちょっと入ったところで袋いっぱいのグミをもった日和ちゃんと頭に斧が刺さりそこから赤い血がたれている見た目をしたぬいぐるみをもった綾香がいた。


「あれ?お兄ちゃんもう休憩いいの?」


「あぁもう大丈夫。それより霧島さんは?そのぬいぐるみって彼女のだよな?」


3人一緒に行動してるもんだと思っていたがどこに行ったんだ?周りにはいないようだけど他のとこでなにかとっているんだろうか。


「涼真お兄ちゃん、こっちこっち~。」


日和ちゃんに腕を引かれ奥まった音ゲーコーナーに着くとものすごい勢いで腕を動かしている霧島さんがいた。


「鬼神だ…。」


画面上にSSSの表記がされると同時に満足した様子の霧島さんが戻ってきて綾香からぬいぐるみを受け取った。


うん…。やっぱり彼女は霧島だ。

俺は改めて彼女の呼び方がさん付けであることが間違いではなかったと思い決して馴れ馴れしくはいかないでおこうと心に決めた。




紗季視点

「また学校でねー!」

「3人とも気を付けてなー。」


綾ちゃんと涼真さんを駅まで送ったあたしたちは二人がみえなくなるまで手を振って見送った。


(今日こそは聞こうと思ってたんだけどなー…。)


あの日以来どうにかして涼真さんの情報を集めてはいたけど、先生や他の友達からはこれといった話を聞くことはできなかった。

涼真さんには彼女がいるんだろうか…。


「さーきーちゃーん~。ね、ね。今日はどうだった~?」


「へ?どうって?」


「そんなの涼真お兄ちゃんとのこと以外ないじゃ~ん。二人っきりで話す時間があったんだし~いろいろアピールできたんじゃないの~?」


「あはは、えっとそれがね……」


こんなところじゃなんだろうと、前と同じカフェに入り涼真さんと話したことを二人に報告する。


「ということでして……。結局またなにもできませんでしたぁああああああ!!!」


さっきのことを思い出しあたしは椅子のせもたれに倒れこむ。

だってさぁ…あんなこと言われたらむりじゃんかー。つまり涼真さんは外見だけで判断してくるような奴よりも仲良くなって一緒にいるうちに好きになるってことでしょ…?

ただでさえ一個下でまだ中学生なのにこんなの望み薄よ…。


はぁあと溜息をつくとおれんじゅじゅーすをちゅうちゅう吸っていた日和ちゃんが言ってくる。


「ん~脈無し?」


「うぐっ…。」


「こら、日和ハッキリ言わない。」


「ぐはぁっ……。」


みっちゃんに止めを刺されあたしは机に突っ伏した。


「だってさ~、綾ちゃんに聞いたんだけどね~?この前私たちが勉強会した後、涼真お兄ちゃんも勉強会したらしいんだけど、そのときにものすごい美人の女の人が来たって言ってたよ~?」


「え!?何それ聞いてない!!!」


そんなの初耳だ。いや、でも涼真さんは見た目で判断するような人じゃない。でも家に来るほど仲のいい女の人ってことはそういう??


「だってついさっき聞いたんだも~ん。彼女かどうか聞く前に二人が来ちゃったから聞けなかったけど~、でもなにもないわけはないよね~。むふふ~。」


「う、うぅぅぅうううーーーー。」


これからゆっくり仲良くなって好きになってもらおうとか悠長なこと考えてたのに……。


「こら、日和からかいすぎよ。紗季ちゃんも、まだ彼女って決まったわけじゃないんだしそんな落ち込まないの。綾ちゃんにまた聞いてみましょうよ。私たちだって協力するから。」


「みっちゃん…!!しゅき……。」

私はぎゅっとみっちゃんに抱き着いた。

涼真さんと仲のいい謎の美人さんに負けないんだから。


「そうと決まれば、やることはひとつよ。涼真さんと二人で遊びに行きなさい。私たちもって言えば涼真さんはきっときてくれるだろうし、とにかく善は急げよ。スマホを出しなさい。」


「え、え、えぇ??」


みっちゃんに言われるがままスマホを出すと二人で涼真さんに送る内容を入力することになった。



「ズズズ―。いやぁ~がんばれよ~恋する女の子~。」




☆あとがき☆

紗季ちゃんが動き出すぞーー。


皆様のおかげで昨日、100万PVを達成することができました!

GWにさぼらなければもっと早くいけてたかも…。

今後ともよろしくお願いいたします!


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