第23話 デート②

「はぁ〜…。さいっっっこうでした!!!!」


「あはは、小春めっちゃ幸せそうだったもんな。」


「だって、あんなに寄ってきてくれるなんて思わないじゃないですか〜!!はぁ〜まだもふもふの感触がありますよ〜。えへへへ〜。」


先ほどまでふれあい広場にいたのだが、そこで起きたことによって小春がこんなにも緩んだ顔になってしまっている。


何が起きたか少し遡ってみるとこうだ。


ふれあい広場に着いた途端、大量のモルモットが押し寄せてきて俺たちの周りはすぐにてんこ盛り状態になっていた。


飼育員さんも驚いていたようで、ここまで人の近くで固まるのは初めて見たと言われてしまった。


そのあとは野菜スティックを飼育員さんからもらい餌やりをしたり、モルモットの他にもウサギがいたのでその子たちを撫でたりと俺もたっぷり堪能させてもらった。


広場を離れる前に小春の膝から一向に降りようとしない一匹のウサギをなんとか飼育員さんに引き離してもらってたりとそんなことがあって今に至るというわけだ。


「もうちょっとここにいても良かったんだぞ?」


あんなにも幸せそうな顔を見られるのであれば俺としても、もう少しいてもよかったのだが移動しようと提案したのは小春だった。


「そうしたいのは山々ですが、せっかくのデートなので水族館にも行きたくて…。それに、涼真くんは水族館の方が好きでしょう?」


「あれ?言ったことあったっけ?」


確かに俺は水族館が好きだけど、この場所に決めたときもそんなことは言ってなかったのになんでわかったんだろうか。


俺が不思議に思っていると小春がエア眼鏡をすちゃっと上げるふりをする。


「ふっふっふ~それはですね。来た時から水族館の建物が見えるたびにチラチラとそちらを気にしてる時があったので、もしかして好きなんじゃないかなと思ったわけです!」


「まじか……。」


無意識に水族館の方見てたとか恥ずかしいな。まるで子供じゃないか。

俺が顔に手を当てやってしまったと恥ずかしさに襲われていると、小春がふふふと笑いながら満足そうにつぶやく。


「ふふふ、涼真くんの新たな一面を知れてうれしいです。」


「うっ…無意識だったから俺は今すげぇ恥ずかしいよ。じゃぁ俺の楽しみにしてた水族館に移動しようか。」


「ふふ、はいっ行きましょ〜。」


恥ずかしさに耐えられずに動物園を離れ水族館の入口へと向かう。

俺たちが購入していたチケットは水族館にも入場できるチケットだったためそのまま入場することができた。


入ってすぐにある水槽を眺めていると小春からなぜ水族館が好きなのかと聞かれたため少し考えてから答える。


「そうだなぁ。場所にもよるけど基本的に少し暗めで人がいない時は静かで落ち着くからかなぁ。」


「確かに、魚がいる場所って基本室内ですもんね。」


「そうそう。それに、水槽の中で泳いでいる魚ってずっと見てられるじゃん?まぁ、っていっても今までずっと動画でしかみたことなかったんだけどね。」


あははと笑いながら俺は水槽を見つめる。


「……本物は本当にずっと見てられる気がする。今日ここにこれてよかったよ。」


隣にいる小春を見てありがとうとお礼を伝えると、俺の左手を握りニコッと微笑んだ。


「私も、私も今日ここに来て今までよりもっと水族館が好きになりました。……また一緒に来ましょうね。」


「…あぁ、また一緒に。」


握られたその手を握り返して、青い光が差し込む空間をゆっくり、ゆっくりと進んでいく。


なぜか恥ずかしさはなかった。

ただ今は繋いでいる手の温かさだけを感じていたかった。



♦♢♦


「あと30分で今日最後のイルカショー始まるみたい。行ってみたいんだけどいい?」


「はいっ。私も見てみたいです!」


それならばと早速移動し席へと座り時間まで話していると、音楽が流れ始めショーが始まった。


俺は初めて見るショーに興奮しっぱなしでイルカたちに夢中になっていた。


『さぁ、本日最後のショーということで特別にお客様にもご協力してもらいたいと思いま~す!』


ショーも終盤になってきたところ、何が始まるんだろうと思いワクワクしていると俺とお姉さんの目が合った気がした。


『今からこのステージに上がってもらい、イルカのテリーくんと一緒にツーショットを撮ってもらおうと思います!そんな幸運な人はー……そこの青い花柄のシャツを着ているかっこいいおにいさ~ん!』


お姉さんがそういうと近くにいたスタッフの人が俺の方まで近づいてきてくる。


「えっ、俺ですか?」


スタッフの人は無言で頷き俺をステージの方まで連れられていく。


『さぁさぁ、足元に気を付けてステージの真ん中までどうぞ!!』


靴を履き替えステージの真ん中へと進んでいくと、お姉さんが会場にも見えるようこれからやるパフォーマンスの説明を始めた。


『お兄さんは最後にテリーくんがほっぺたにちゅーしてくれるので、写真撮影のご協力をお願いします!』


「わかりました。」


そこからはスタッフのお姉さんと同じ動きでテリーくんにジャンプしてもらったり一緒に手を叩いたりハイタッチをしたりなどを楽しんだ。


『さぁ、最後はテリーくんがステージに上がってきてくれますので、お兄さんはしゃがんで前を向いていてくださ~い』


言われた通りテリーくんがステージに上がったところでしゃがむ。


『それではいきま~す!3!2!1!ピュ~イ!』


チュッ


『ありがとうございました~!!それではお兄さんとテリーくんに大きな拍手を!』


わぁ~!!パチパチパチパチ


そしてショーは終わり、スタッフの人たちにSNSに先ほどの写真を載せてもいいかとお願いされたので、顔がはっきりとわからないくらいならと答えてその場を後にする。


「はぁ~なんかすっごい体験だったな。」


「私もこんな素敵なイベントは初めて見ました!あ、後でさっき撮っておいた写真送りますねっ。」


「ありがとう。朝日たちに自慢しないとな。」


そろそろいい時間になってきたので、帰る前に俺たちはいろいろとお土産を物色することにした。

いくつか手に取りかごの中へと入れていく。


(家族の分と、朝日たち、それから紗季ちゃんたちにも買っておくか。…ん?)


小春がいる方を見てみると、あるキーホルダーを手に取ったり戻したりを繰り返していのがみえ、周りに他のお客さんが集まってきたため、慌てて俺の方まで戻ってきた。

買わないのか聞こうと思ったが、すぐに家族に渡すようのお菓子を手に取り先にレジを済ませてくると並びにいってしまう。


少し悩んでから俺は小春が見ていたそれを手に取りレジに並んで会計を済ませた。


「朱莉ちゃんたちのぶんまで任せてしまいすみません。荷物持ちましょうか?」


「いいよいいよ。朱莉ちゃんたちのはお金も出してもらったし気にしないで。」


遅くならないよう今回は夜ご飯は外では食べないようにしていたので、水族館を後にして帰ることにした。


今朝面倒なことに巻き込まれたことで少し警戒していたが特におかしな様子はなく、そのまま電車に乗って小春を家まで送ることにした。



「あぁ、そうだこれ。」


小春の家に着く少し前に俺は袋の中から取り出して買っておいたものを手渡した。


「え?これって、私が見てたイルカのキーホルダー……。」


自分が見ていたものを俺が渡したのに驚いているようで、俺はもう一つ色の違う同じキーホルダーを取り出した。


「今日の記念に買ったんだ。ほら、俺とお揃い。」


「お揃い……。えへへ、ありがとうございますっ。このキーホルダー大事にしますね!」


無事受け取ってもらえたことにホッとし、小春を家まで送ったあと俺も家へと帰ることにした。


こうして小春との初デートを終えた俺は家に帰った瞬間部屋に入るとそのままベッドで横になって眠ってしまった。



☆あとがき☆

前話めっちゃ短かったのに今回はパンパンに詰め込みました。


前話での唯奈視点について様々なコメントをいただきありがとうございます。

数パターン考えていますが、どうするかはまだ決め兼ねてます。

ですが、実行に移してしまうと犯罪行為を助長しているかのようになりそうなのでうまく書かないとですね。

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