第22話 デート①

俺たちは駅前から移動し、本日の目的地である動物園にやってきていた。

入園チケットを買おうとしたところで、ずっと手を繋いでいたことに気づき慌てて手を離すと、チケット売り場のお兄さんに笑われてしまった。


俺は二人分のお金を払いチケットを買って中へと進んでいく。


「チケットまで買ってもらってすみません。そういえば私、動物園に来るのは小学生以来なのでとても楽しみです!」


「せっかくのデートだしな、気にしないでくれ。あぁ、そういえば俺も同じくらい久しぶりかも。」


最後に行ったのは確か家族で旅行に行ったときだっけか。

あの時は確か……


「涼真くんはどんな動物が好きなんですか?」


あの時のことを思い出そうとしていると小春が質問してきたので一旦置いておいて答える。


「ん?あぁ、俺はフェネックが一番好きかなぁ。小春はモルモットとか羊とかふわふわしたものが好きそうだよな。」


「そうなんです!ふわふわもこもこな動物が好きで……な、なんでわかったんですか!?」


「ははは、なんとなくかな。じゃぁいろいろ見た後はこのふれあい広場でのんびりとしよっか。それに、水族館もあるみたいだしね。」


小春が頷き俺たちは園内を軽く周ることにした。

この動物園は都内にあることもあってか思っていたよりも臭いがきつくなく、ここに決めた一番の理由でもある水族館と動物園の複合施設というのが売りらしい。

どっちに行こうか迷っていた俺たちにとってこれ以上ない場所だった。


「サイトに書いてあった通り綺麗な場所だね。」


「そうですね。動物園とは違う雰囲気なのに動物がいるエリアは不思議と動物園のものって感じがしてワクワクします!」


確かに、小春の言う通りだなと思い目の前の象がいるエリアは、通行用の道は綺麗に舗装されているが柵を超えると自然界で暮らしているかのような作りになっている。


その後も動物園といえばな動物たちを見て回りふれあい広場に行こうとしたところで、小春からお昼にしないかと提案される。

時間を見てみると12時を過ぎたところだったので、併設されているレストランに向かおうとすると引き止められ近くの休憩スペースへ連れられる。


「め、迷惑かと思ったんですけどその、お弁当を作ってきたんです…。」


「だから頑なに荷物は持たなくていいって止められたのか。めちゃくちゃうれしいよ、ありがとう。」


「えへへ、よかったです。持ってもらうと袋の隙間から見えそうだったのでお断りしたんです。すみませんでした。サンドイッチを作ってきたのでよかったらどうぞ。」


そういって鞄からランチョンマットと折り畳み式のボックスを取り出して机に広げた。


「お~どれも美味しそうだ。早速いただいてもいい?」


「はいっ。お口に会うかはわかりませんが……。」


サンドイッチをひとつ手に取りパクっと一口頬張る。


「ん、うまい!もしかしてお昼のお弁当も自分で作ってたり?」


「ほんとですか!!よかったぁ…。あ、はい!お母さんの負担を減らしたくて…えへへ。」


「いつもおいしそうだったもんなぁ。んっ、もう一個食べていい?」


「は、はい!どうぞどうぞ!」


ん~うまい。調味料の量が絶妙にいいな。

小春にも食べるようすすめ一緒にサンドイッチを食べた。


腹ごしらえも済んだことだし、俺たちは動物園での最後のイベントふれあい広場へと向かうことにした。





〇〇〇視点


「こんな作戦でほんとにうまくいくのか?」


「大丈夫よ。涼が私を見捨てるはずないんだから。」


絶対に私のことを助けてくれるはずだし。今朝あの子にしたみたいにね。


「でも…今朝のあいつの感じだと……」


「なによ?文句あるっていうの?」


「い、いや。なんでもない。」


チッ。なんか頼りなさそうな奴が一人いるけど、まぁ大丈夫でしょ。私は苛立ちながらもスマホを弄る。



そんな女の子に聞こえない声で一人の男がチャラ男に耳打ちする。


「な、なぁあの子やばいって。こんなことする意味あんのか?」


「はぁ?お前何ビビってんだよ。今朝のあの子と一発ヤレるかもしれねぇんだぞ?それで脅せばこれからいくらだって……。それに、その子もなかなかじゃねぇか。協力した後はその子も一緒に楽しめばいいんだよ。」


「………。」


男は悩んでいた。ここまでのリスクを冒してまでそんなことをする意味があるのか。こいつを友達としてここで止めておくべきではないのか。


だが何を言っても聞いてもらえなかったため、結局自分も関わってしまうことになる。



そんな3人を遠くから見ている男がいた。


「唯奈……?誰だよそいつら……」



☆あとがき☆

副反応でだいぶやられてました_(:3 」∠)_

短めですが許してくだせぇ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る