第19話 テストの結果

それから日が経ち、中間試験の結果が廊下の掲示板に貼りだされたようなので、俺たちは結果を確認しに行くことにした。

かなり人が集まっていたが、俺たちが来た途端掲示板の前にいた人達がサッと退いてしまったため見やすくはなったのだがなんともいえない気持ちになってしまう。



【中間試験結果 1年】

1位 佐伯涼真 500点

2位 五十嵐小春 497点

3位 我理勉強 496点

32位 沢田健司 428点

57位 新田朱莉 372点

65位 神崎唯奈 360点

84位 菊池朝日 345点

100位 平々凡々 300点


貼りだされた結果をみて俺は今まで頑張っていたことが報われたような気がした。

朝日と朱里ちゃんも赤点回避どころか100位以内に入れていた。



「佐伯の奴満点かよ…」

「五十嵐さんもほとんど満点じゃん」

「顔も良くて頭もいいとかどうなってるんだよ」

「神などいなかった…!」

「佐伯はこちら側だと思っていたのに…」

「佐伯きゅんハイスペックかよ…しゅき……」


周りから俺と小春のことについて話している声が聞こえるが、特に反応もせずに小春たちとテストの結果について話し始める。


「皆お疲れさん。高校生になって初のテストだったけどなんとかなったな。」


「いやぁまじ涼真と小春ちゃんのおかげだわ!今日の帰りは俺が奢るから飯でも食い行こうぜ!!」


「本当に二人ともありがとうね~!お小遣い減額どころかアップしちゃうかも!!」


「ふふ。二人とも頑張ってましたからね。」


「あぁそうだな。次の期末で下がらないようにまたしごいてやるから覚悟しとけよー。」


「うへぇ…お手柔らかに……」


結果も見たことだし俺たちは教室へと戻ろうとするが、振り返るとそこには唯奈と健司が立っていて呼び止められてしまう。


「おい佐伯。最近お前調子乗りすぎじゃねぇか?あの場だけの嘘かと思えば、五十嵐さんと付き合ってるのも本当みたいだしなぁ!陰キャのくせにしゃしゃってんじゃねぇぞ!」


俺は小春の前に立って健司を見下ろして返事をした。


「別に調子に乗ってるつもりはない。今回のテストの結果だって予習復習とテスト勉強を事前にしていただけだしな。なんならそいつに聞いてみたらどうだ?中学の頃そいつの勉強を見てやっていたのは俺だからな。俺が勉強できることくらい知ってるだろ。」


俺が顎で唯奈の方を指すとびくっとして目を反らされる。何か言い返してくるかと思ったのだがおかしいな。

すると健司が唯奈を庇うように前に立ち俺の胸倉をつかんできた。


「今はそういうこと言ってんじゃねぇんだよ!これ以上調子に乗んなっていってんだよ!!」


俺はめんどくさいなと思いつつも健司の腕を掴み下に軽く押し込み健司の耳元で忠告しておく。


「っ!!!」


「周りを見てみろよ。今お前がどんな風に見られてるのか気づいてないのか?」


痛みに耐えられなかったのか手を離した健司は周りをみたあと舌打ちをしてこの場を離れていった。


「チッ!唯奈、いくぞ。」


「え、あぁうん。」


俺は健司に乱された制服を正し朝日たちと周りに集まってきた人たちへと問題ないことを伝え騒がしくしてしまったことを謝っておく。


「相変わらず失礼な方でしたね。私に告白してきたときもなんだか上から目線でしたし。」


「え?小春は沢田に告白されたことがあるのか?」


「言う必要もないかと思っていたのですが、入学してすぐくらいに呼び出されて告白されましたよ。」


「そうだったのか。」


小春に相手にされなかったから唯奈のほうに行ったってわけか。あいつに対しての評価を改めないといけないな。


その後、小春たちをクラスへと送り朝日と共に教室へと戻るとさっきの一部始終を見られていたのかクラスメイトに心配されてしまったが大丈夫と答えて席へと戻った。


この日は答案の返却日だったため朝日の間違えたところを確認して次の勉強の教え方を考えることにした。



そして迎えた昼休み、授業が終わると同時に俺たちの教室のドアが勢いよく開き俺の名前を大声で呼ばれる。


「授業終わりに失礼する!!このクラスに佐伯涼真という奴がいると聞いたが、どいつだ!!」


誰だろう?と立ち上がりドアの方を見てみるとそこにはなんともちまっこい女の子が背伸びをしながらキョロキョロと俺を探しているようだった。


「俺が佐伯涼真だけど、何か用…ですか?というかあなたは?」


「む、君が佐伯か!!おぉ、私としたことが名乗るのを忘れていたな!いやぁすまんすまん!私は橘 鏡花たちばなきょうか、この学校の生徒会長だ!」


このちっこいのが生徒会長だと?どうみても140cmあるかないかくらいだろうに。

……そういえば入学式の時になんかこんな感じの声でしゃべってたような…。だめだ前髪が長かったからほとんどみえてなかったわ。

てか、生徒会長がこんなとこに一体何の用なんだ?


「中間テストで満点を出した1年がいると聞いてな!そいつが佐伯という最近話題に上がっている人物だったから生徒会に勧誘しに来たのだ!!どうだ?お前にとってもうれしいだろう?そうだろう?」


生徒会長が、ふふーんと無い胸を寄せるように腕を組んで俺を見上げてくるが、俺の答えは決まっている。


「お断りします。」


「そうかそうか入らない……にゃんで!?」


いや、なんでと言われてもなぁ。

まさか断られるとは思っていなかったのか目を丸くしてこちらをみてくる生徒会長に続けて答える。


「なんでと言われても……生徒会に興味がないからですかね。今はやりたいことがいっぱいあるので、すみませんがお引き取り下さい。はい、出口はあちらですよ~。」


せっかく唯奈の呪縛から解き放たれたのに生徒会に時間を拘束されたくなかった俺は生徒会長を回れ右させて廊下へと追い出した。


しばらく唖然としていた生徒会長がこちらを振り返ると涙目になりながら誤解を招く言い回しで宣言してくる。


「私はお前を諦めないからな!!!!絶対に振り向かせて見せる!!!!覚悟しておけよ!!」


そう宣言したあとトテトテと去って行ってしまう。

俺はしばらくその背中を見ていると弁当を持ってきた朝日に呆れた声で声をかけられる。


「…お前はなんでそんなに面倒ごとに巻き込まれるんだ?」


「いや、俺が聞きてぇよ……」


考えていても仕方ないと諦めて俺は立ち上がり弁当を取りに自分の机へと戻って朝日と共にいつもの中庭へと向かうことにした。



☆あとがき☆

ちなみに、3位はがりべんつよしくんです。

そしてちまっこい生徒会長の登場です。

(これでようやくキャラ紹介がかける……




橘…?どこかで聞いた覚えが……

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