ニキしゅき日記手記きっき

西沢哲也

しゅき

しゅきしゅき手記


~~~破られたページ~~~


202*年 4月6日

今日は久しぶりの登校。ふと通学路を歩いているとアニキのような頼もしい背中の彼を見て一目ぼれ! そのまま横断歩道を渡ってすぐ姿が見えなくなって今日は話しかけられなかったけど、明日は話しかけられるといいな


4月7日

今日は勇気を出して話しかけてみた。おはようございます! と元気よく挨拶したら、にっこりと微笑みかけてくれた。

周りの人もなんだか私に注目しているようだけど、よっぽど私たちがお似合いカップルなんて思っているのかしら?

恥ずかしうれしい!!!!


4月8日

今日はお花をプレゼントをしようといつもの通学路へ

横断歩道を渡る直前に受け取ってください!

って渡したらにこりとしてそのままわたっていった。

今の時期に咲く私の大好きな勿忘草

私は記憶をなくしちゃったけど、彼は私を忘れてなければいいな。

明日は横断歩道の先まで一緒に行ってみようかな?



~~ここでページが途切れている~~


誰かの日記


201*年 4月9日

ああ、親友は車にひかれてしまった。僕の彼女をかばって轢かれてしまった。

彼女は重傷、あいつは書きたくもない。

今は、少なくともあいつが守ろうとした彼女のケアをどうにかしないとな。


202*年 4月6日

彼女は記憶喪失になっていた。しかも、目覚めたら彼奴のことを思い出すらしい。今日は今まで歩いてきた通学路をこそこそと歩き出して、轢かれた横断歩道前で電柱に隠れるしぐさをしている。彼女を止めることはできない。


4月7日

今年は特にひどい。今までは数日怪しい動きをしていただけのはずなのに、誰もいない先に挨拶をしている。おい、って声をかけてみたが、反応はなく虚ろとしている。

困ったな。


4月8日

彼女は花を供えていた。

じっと遠くを見つめてもうこの世には未練がないような表情をしている。勿忘草は彼女がかわいいと言っていたが、花言葉は私は貴方を忘れない。でも、俺のことはもう忘れ去られている。

そうか、明日あの横断歩道で待ち伏せよう……


4月9日

彼女はまた轢かれた。最後に見た姿が俺なのか彼なのか俺にはわからない。また、彼女は目覚めたら同じことをするんだろう。俺に気が付くまでは、何度でも同じことをするつもりだ。俺を忘れないで……


そして、この日記は彼女が目覚めるたびに前のページが破かれ、同じことを書き連ねてゆくのであった。


~~

いいのか悪いのかKAC2022はこれにていったん区切らせていただきます……

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