4 まさか あなたは・・・・・・・・誰ですか?
翌日は午前中に東京へ向かった。新幹線の中はあいも変わらず、大賑わいだった。
「ふ〜、相変わらずみんな元気ね」横には小坂が座っていた。
「全く。あの二人も元気だね。どこへ行ったのやら」
向かい合わせにした座席の2席は空だった。俺はそこへ足を伸ばした。
「どうせ6組の車両だろ」「だね。それにしても巻は大丈夫だとして大佐、大丈夫かな?」「なんで?」
小坂は身を乗り出して意味ありげに小声で言った。
「あのさあ、笹山さんて人気あるじゃん」「うん。学年no.1だろ」
「うん。ファンクラブもあるんだぜ」
「あ〜、そういや俺、美術で鉛筆借りただけでいろんなやつに囲まれてゴタゴタ言われたわ」
「だろ、その程度でさあ」「そうか、大佐の行動、もろ彼女大好きオーラが溢れてるもんな〜」
「でしょ、やばいぜ」「ん〜、でもよ、大佐に向かって文句言えるやつ、この学年にいるか?」
「まあ、そうだな。でもさ、彼女、3年にも人気あんだよ」
「そうか。まあ、俺の知ったことじゃねえよ。人の恋路は邪魔できねえぜ」
「まあ、そうだな」
昼前についた東京には19時まで自由時間だった。その後、上野公園にある大きな会館で夕食をとり、21時過ぎの寝台列車に乗る。
あ〜あ、また長旅の始まりだ線路は続くよどこまでも。
俺たちの班はおおまかな計画を担任に提出していたがそんなもの守るはずがない。伊藤と市川は不細工な彼女たちと東京散策。そして、大佐と巻はさりげなく船山さんと笹山さんたちの行くところを聞き出したらしく、さりげなくつけるらしい。
「どう思う?」「うん。ストーカーだな、あいつら」
「いつか捕まるぜ」「うん」
「で、俺たちどうする?」「どうするべ。とりあえず秋葉原行かない?ウォークマン欲しんだよね」「お〜いいね。俺も買っちゃうかな」
俺たち二人は秋葉原の電気街でウォークマンを買った。
喫茶店に入り早速ウォークマンを箱から取り出した。
「いいねえ」「だなあ」
「でもよ、これじゃただの箱だな」「何がよ?」
「・・・・・・・・だって」「なんで?」
「いや、テープないと意味ねえよな」「そうか・・・・・」
「まあ、ウオークマン持ってるやつからテープ借りて聞こうぜ」「だな。それまでお預けだな」
この修学旅行に、ウォークマンを持ってきている奴がクラスにも数人いた。そいつらからテープ借りよ。
コーヒーを飲み終わると、俺たちは時間を持て余した。
「おい、まだ3時だぜ、どうするよ。小坂、行きたいとこねえ?」
「別になあ。東京なんて興味ないしね」「俺も」
もう一杯、コーヒーを頼んだ。
「二杯目となると、口の中が渋くなるな」「だな」俺は我慢できずに内ポケットからタバコを出して、火をつけた。一応、学生服の上は脱いでみた。バレバレだろうけど。
二杯目のコーヒーを時間をかけて空けた。
「コーヒーも飽きたな。出るか」「んだな。もう飲めない」
「東京タワー行くべか」「なんで?」「東京だから」「んだな」
行かなきゃよかった。東京タワーの展望台は修学旅行生のカップルでいっぱいだった。カップルで。なんか二人して寂しい気分になった。すぐに降りてきた。
「ちょっと早いけど上野公園に行くか」「んだな」
上野公園。17時30分だった。「が〜、まだまだ時間あんな〜つまんないなあ〜」
そう言いながら公園内を歩いた。神社やお寺があったので、そこを見て回った。
「動物園でも入る?」、小坂が言った。「いや。俺、獣臭苦手。つうか、もう閉園じゃない?」、「そうか。獣臭ね」「奈良公園の鹿には参ったなあ〜」
辺りはすっかり薄暗くなっていた。
「あそこのベンチに座るべ」「おう、疲れたな。あそこならタバコ吸ってもバレなくなさそう」
そのベンチは人の通りからは大きな木のおかげで隠れるようになっていた。
時計を見るともう直ぐ18時30分だった。
「じゃあ、ここで2、3本吸ったら集合場所へ行こうぜ」
「おお。ふ〜」俺は空に向かって煙を吐き出した。
「コラッ、君たち!」
2本目に火をつけた時、後ろから女の叱り声が聞こえた。
「や、やば」口からタバコ吐き出し、すかさず靴でもみ消した。まあ、今更遅いけど。俺と小坂は立ち上がり、恐る恐る声のした方へ体を向けた。
「!」そこには滝沢さんと数人の女子がいた。
「もう、やっぱり高和くんと小坂くんだ」
「・・・・滝沢さん?驚かさないでよ」「もう、バカね。こんなところでタバコなんか吸って。遠くからもわかったわよ」
「マジで?」「私でよかったわね、もう」「はあ・・・・・・・・・・」
「先に行ってって」滝沢さんは一緒にいた女子たちにそう言った。
「うん、じゃあ先に行ってるよ、京子」
「滝沢さん、行かないの?」「まだ時間あるじゃん」
「そうだけど」「あっ、俺、思い出した、行かなきゃ」小坂が急にそう言った。「ど、どこへ」「ん?」そう言って小坂は走り出した。
「お、おい」俺は小坂を追おうとしたが、滝沢さんがいるのにそれをしたら逃げるようだから・・・・。「くそっ、」
「あら、小坂くん、逃げたわね」
「あ〜・・・・・・まあ、そうだね。で、何?説教?」「説教って、何を?」
「これ」俺は踏み潰したタバコを指差した。
「そうね。ポイ捨ては良くないな。捨てて来なさい」「・・・・」俺はタバコを拾いベンチの横にあった灰皿に捨てた。
「それでよろしい。じゃあ、行こう」滝沢さんは歩き出した。
「高和くんたち、今日はどこへ行ったの?」
「俺は小坂と適当にぶらぶら。東京はあんま興味ない。滝沢さんは?」
「原宿とか。人が多くて疲れた。あんまり行きたくなかったんだけど」
「ふ〜ん。でもしっかり買い物してるじゃん」
彼女は派手な袋を片手に下げていた。
「あら、本当だ!いつの間に」「ははは」
「まあ、思い出作り。記念品よ」「ふ〜ん、あっそう」
「何よ?」「いえ、別に」
「そういえば、久遠くんと巻くんに会ったわ。すっかり理央や美樹と仲良くなったみたいね」「らしいね。原宿であんなむさい男、浮いてたでしょ」
「そうでもなかったよ。いろんな学校の男子もいっぱいだもん」
「ふ〜ん。よくあんなとこいくよな、男のくせして」
「まあ、いいんじゃない」
集合場所の会館に着いた。ここの大広間で全員で夕食をとる。すでにかなりの数の生徒たちが到着していた。
「じゃあね」「うん」
上野駅から明日の早朝に青森に着く寝台列車に乗り込んだ。
俺は出発と同時に自分のベットに潜り込み、車窓から外を眺めていた。東京での車窓の外は明るかった。でも、出発して1時間もするとそこはもう埼玉の北なのだろうか、外は暗く遠くに街の灯りが流れていた。さすがに東京見物の後で疲れたのか、消灯と同時に車内は静かになった。俺はいつまでも遠くに流れる町の灯りを眺めていた。
いつのまにか眠っていたようだ。気がつくと窓の外は漆黒の闇だった。時計の針は1時20分を少し過ぎたあたりを指していた。
次に起きた時はうっすらと地平線が赤くなっていた。「そろそろ起きるか」4時を過ぎていた。洗面所へ行き顔を洗い髪を整えた。他にも起き出してきているのがいた。ベットへ戻りしばらくぼうっとしていると、「あと15分ほどで終点青森に到着します」アナウンスが流れた。それを聞いた途端、なんだか車窓の外の景色が寒々しく見えてきた。そうは言ってもこれからもっと北の寒いところへ向かうのだが。
列車は駅がホームに滑り込んだ。ぞろぞろと車両から黒い軍団が降り立った。遠くの車両を見ると紺の集団がぞろぞろと降りていた。まあ、当然と言えば当然なのだが、男子と女子は別々の車両だった。長い行列がそののまま青森港へ向かって続いた。連絡船がドカンと見えてきた。
連絡船に乗り込む前に、改めてクラスごとに集まるよう指示された。200人以上の生徒が一旦ごちゃ混ぜになり、それぞれのクラスの担任の方へ動き始めた。俺は全体が落ち着くまで後ろの方で待つことにした。ぼうっとしていると俺のそばに誰かが近づいてきた。
「おはよう」「滝沢さんか、おはよう」
「眠れた?」「うん」
「じゃあまたね、涼ちゃん」「ああ、またね」
・・・・ん?涼ちゃん?今彼女そう言ったな。
「おい、高和、いつから滝沢さんとそんな仲になったんだよ?」「へえ?」「今、お前、名前で呼ばれたろ?」「そうだっけ?」「しらばっくれんなよ」「そうかなあ」「あ〜あ、全くよう。うらやまっしいぜ」
「だからそんなことないってば」
なんだかなあ。俺を名前で呼ぶなんて、両親と親戚くらいなのに。滝沢京子、なんて馴れ馴れしい女なんだ!
俺はクラスの一番後ろに並びブツブツ小声で呟いていた。整列が終わると、どんどん、連絡船に乗り込んだ。その間もずっと俺はブツブツと文句を言っていた。
「なんだよ、涼ちゃんって!それにしても修学旅行中、妙に彼女と会ったよなあ。なんなんだろ。でもまあ、キレイな子だから楽しかったなあ〜、なんてね。でも、名前で呼ぶのは腹たつなあ」、一人でブツブツ言っていた。
函館までの4時間、寝台列車での睡眠で回復したのか船内はとても賑やかだった。俺も小坂と、船内をプラプラしたが、どこもかしこも我が校の生徒であふれていた。
プラプラするのが飽きたので、我が校にあてがわれた広いスペース(雑魚寝スペース)で横になり本を読んでいた。朝飯の弁当が配られ、とっとと食べて読書に戻った。読書に飽きるとデッキに上がり近づいてくる北海道の方を眺めていた。さすがにタバコ、吸えそうなところないな。
右肩を叩かれた。振り返ると目の前に滝沢さんが立っていた。
「なんだ、また滝沢さんか」「何黄昏てんの」
「そういえば・・・・・・・・・あ、あのさあ、さっき滝沢さん・・・・」「何、涼ちゃん?」
「あっ、それ、涼ちゃんって・・・・」
その時、俺の脳裏に小さい頃のことが浮かんできた。
「涼ちゃん」「なんだよ」
「大丈夫?」「う、うん」俺は擦りむけた膝をさすっていた。
幼稚園のガキ大将みたいな感じで乱暴な連中ににからかわれていたところを彼女に助けてもらった。
「ありがとう」「いいよ。それにしてもあの人たち、いつも涼ちゃんをいじめるのね」その度になぜかいつも彼女は俺の前に現れ、ガキ大将から俺を助けてくれた。俺は情けない臆病で小心なガキだった。
「強くなりたいなあ」「いいじゃない、私がいるから」そう言って彼女はニコッと微笑んだ。
「ありがとう。でもね、父さんはいつも言うんだ。男が女の子を助けるんだって」「じゃあ、涼ちゃんが大きくなって強くなったら、私を助けてね」「・・・・わかった」
彼女は幼稚園で同じクラスの女子だった。とっても可愛くてみんなに好かれていて人気者だった。でも、おてんばなところもあって、乱暴な男子たちも彼女を一目置いていたみたいだ。
俺は無口で臆病なヘナヘナなガキだった。そんな俺をなぜか彼女はいつも気にかけてくれていた。何かにつけて俺のそばに来て面倒を見てくれた。だから、余計にガキ大将たちはそれが気に入らなくて俺をいじめ続けていた。そしてそんな俺を彼女が助けてくれる。その繰り返しだった。
本当に情けないガキだった。卒園式がもう直ぐの頃だったと思う。園庭の鉄棒で一人ぶら下がっていた時だった。
「涼ちゃん」「何?」彼女が横にぶら下がった。
「もうすぐ小学校だね」「うん」「涼ちゃん、どこの小学校?」「末広小学校だよ」「私、春光小学校なの」「えっ、そうなの!一緒の学校へ行くと思ってた」「よくわからないけど、私の家は春光小学校なの」彼女の家と俺が住んでいた団地は近くだったが、どうやら校区の境界線を挟んでいたようだった。
「本当に?」「うん。寂しいな、私」「・・・・」「たまには遊ぼうね」「・・・・うん」ガキの俺にはショックだった。俺は彼女が好きだったから。
小学校へ入り、環境も変わり俺はいじめられることがなくなった。そしてたくさんの友達ができて次第に彼女のことは記憶から薄れていった。
小学校2年の夏前のことだったと思う。休み時間に校庭で遊んでいたら、同じクラスの女子が悲鳴をあげていた。俺は一緒に遊んでいた男子たちとその女子のそばへ行った。
「どうしたのさ?」「毛虫が、毛虫が!」彼女のズボンの裾に毛虫が這っていた。
「ははは、気持ちわり〜」男子たちが囃し立てた。
「もうふざけないでよ!」その女子の周りにいた女子が怒っていった。
「私先生呼んでくる」女子の一人が走り出した。
ふ〜毛虫くらいで。俺は囃し立てる気もなかった。その子は半分泣き始めていた。俺は黙って彼女のそばに行き、ズボンの裾から毛虫を手で払った。
「じゃあ、続きやろうぜ」俺は男子たちに向かって言った。
「なんだよ、ほっとけばよかったのに」「うるさいじゃん。ほら続き続き」
休み時間に教室に戻るとさっきの女子が俺のそばに来て言った。
「ありがとう、助けてくれて」「何が?」「毛虫」「あ〜、よかったね」
助けてくれてか。その時、俺は彼女のことを思い出した。いつも俺をガキ大将から助けてくれた。
俺はその日、ランドセルを家に置くとすぐに彼女の家へ行った。あやふやな記憶だったけど、何とか家を見つけ出した。元気かな。
でも目の前にある家の門にはあるべきところに表札はなかった。背伸びをして中を覗き込んだが、その家には誰もいないようだった。どうしたんだろ?
俺はその家の周りを何度もくるくると歩き回り中の様子を探った。何回周っても誰はいないようだった。「引越ししたのかよ・・・・」
その時、隣の家から女の人が出てきた。「あなた、そこで何してるの?」「・・・・・・・」「小学生?」「は、はい」「何の用事?」「こ、こ、この家の人、いないんですか?」「滝沢さん?」「・・・・」滝沢さん?
「滝沢さんなら、先月引っ越したの。あ〜、娘さんのお友達?」俺はこくんと頷いた。
「知らなかったの?」「は、はい。・・・・ど、どこへ行ったんですか?」
「ん〜どこって言ってたかしら。お父さんの転勤だって言ってたわね。確か、道東の方」
「・・・・京子ちゃん」
「・・・・京子ちゃん」
目の前にいる彼女はニコッと微笑んでいた。
「え〜、京子ちゃん?あ、あ、あ、あ、あ、あ、あの京子ちゃん?うそだあ〜」
彼女はこくんと頷いた。
「ま、まじかよ。いや、うそでしょ?」「ううん。ようやく気がついてくれた」
「でも何で?」「ん〜、何でかしら」
「え〜いつから俺に気づいてた?」「入学した時から」
「じゃあ、何で今頃・・・・」「う〜ん、何でだろ。なかなか話す機会がなかったし。もしかしたら同姓同名かもって。だって、こんなとこで再会なんてあると思う?」「うんまあ・・・・そうだよなあ」
確かに俺は彼女の存在すら修学旅行が始まるまで気がつかなかった。
「でもこの前、列車のデッキで黄昏てる涼ちゃんを見て、確信したの。あの弱虫涼ちゃんだって」
「弱虫って・・・・。じゃあそん時、言ってくれりゃあいいのに!」
「私のこと気がつくと思ったんだけどな〜すぐに。でも全然気づいてくれないから、さっき涼ちゃんって言っちゃった」彼女はいたずらっぽく微笑んだ。
「ご、ごめん。まさかあの京子ちゃんがこんなになってるなんて」
「こんなにって何よ!」「い、いや、キレイになったなあって」「あら、本当!」
「俺、見た時びっくりしたぜ。うちの学校にこんな子いたっけって。そんでクラスの奴らに聞いたら、学年でno.1、2だって言うんだもんね」
「ふふふ、ありがとう。でもよかった、気がついてくれて」
「驚いた。幼稚園以来・・・・だよね?」「うん」
「でも何で、こんなところで再会なんだろう」「不思議ね」「不思議だ」
「あ〜・・・・もうじき、着くね。戻らなきゃな」
「そうね。今度ゆっくりお話ししよう」「うん。釧路に帰ったら、ゆっくり話そう」
「逢ってくれる」「もちろん」「じゃあね」俺はそういって彼女に手を振って歩き出した。
「ねえ、涼ちゃん」「何?」振り返ると彼女はニコッと微笑んだ。
「大きくなったね」「うん。京子ちゃんも」
「強くなった?」「・・・・どうかな」
函館に着き、次は特急で札幌。線路は続くよどこまでも。まだまだ先は長い。札幌から乗り継いでいよいよ釧路への特急だった。でもここからがまた長い。席に着くなり昼の弁当が配られた。周りの連中はそそくさと食べ、席を立った。「おい、また6組か、お前さんたち」立ち上がった巻と大佐に向かって言った。「ん?まあな」「あんまし、しつこくすると嫌われるぜ」
「おいおい、妬いてるのか?もう彼女は俺の手中よ」巻は俺に手のひらを広げ見せた。
「あっ、そう。で、そっちのやっこさん、大丈夫かよ」「何が?」
「笹山さんって人気者だぜ。あんましちょっかいかけるとファンの連中に刺されるぞ」
「・・・・おい、失礼な、俺を巻と一緒にするな!」「ちょっと大佐、それはないんじゃない。ま、いいか。行こう」二人は楽しそうに車両から出ていった。
「ったく、楽しい奴らだぜ」「だね」「で、小坂はないの、そういうの?」「う〜ん、あればいいのにね」「いいのにねって」
「高和こそ」
「俺・・・・・・俺は誰のものでもないぜ、みんなのものだからな」「はいはい」小坂はそっぽを向いて立ち上がり他の席へ移ってしまった。
誰もいなくなったボックスで足を伸ばし車窓から外を眺めていた。青森なんか目じゃないくらい寒々した風景だった。でも、俺の胸はなぜか温かかった。
なぜか、ってことないな。京子ちゃんのことで温かくなっていた。
あの京子ちゃんがなあ。いつも俺をかばうように立って、目を釣り上げてガキ大将に文句を言っていた彼女。思わずその姿を思い出して、一人笑っていた。
「あっ、また怒られるから弁当食べよう」
冷めきった弁当を食べ始めた。そして、また小さい頃の彼女を思い出して一人笑っていた。
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