④ キャラについて振り返る【悪役side】


【餅津木 冬弥】


結月の婚約者です。父親が愛人に産ませた妾の子。


執事とお嬢様の仲が深まったところで、満を持して登場させましたが『婚約者、出てくるの遅くない?』と書いていて思った(笑)


でも、まずは結月とレオの関係性を描き、その後に、親との対立を描いてからじゃないと出せなかったので、遅くなりましたね。


あと、群像劇は、出てくるキャラも多いので、登場人物の増やし方には、気をくばらりつつです。たくさんのキャラを一気に出すと、読者さんが混乱しちゃうから。


だからか、初登場時には、大体、二人きりにしてから会話にさせるようにしてます(振り返ると、みんな、そうなってますよ)


だから、冬弥もパーティー会場で対面したあとは、すぐに結月とスイートルームにいかせ、二人きりにさせ(メイドはいるけど喋らない)で、会話をさせました。


その方が、新キャラを覚えて貰いやすいので。


また、悪役がでてくると、鬱展開にもなりやすいのですが、このシーンでも、結月がお酒飲まされたりと、色々あったため、ルイとレオに事前にワインの話をさせて『今からヤバイ展開くるよ!』とひっそり警告を出してました(笑)


鬱展開は、読者さんにも出来るだけの心構えを持たせてから、挑むようにしてます。


その方が、優しいかなと。

いきなり、嫌な展開きたら、びっくりするしね。


特に冬弥は、最後には、改心して仲間になる予定だったので、けっこう気を使いながら書いてました。


前にもバランスの話をしましたが、悪役は、その配置や役割、そして、嫌われ具合の匙加減が、非常に難しいです。


悪として描きつつも、完全に嫌われるわけにはいかないという…(笑)


まぁ、ラスボスが阿須加夫婦なら、冬弥は、中ボスといって感じでしたね。なんだかんだ、憎めない悪役になっていたら嬉しいです。



【餅津木 幸蔵】


冬弥の父親。愛人に冬弥を産ませました。


正妻が、妾いびりしてるのは知ってたけど、見て見ぬふりしてた、ホントに、ろくでもない父親です。


最後には冬弥に見限られ、阿須加家の土地を手に入れる計画は、パーになりました。


あと、冬弥にも言わせたけど、妾の子が、よく虐められたりするけど、愛人作った親が、一番悪いからね!


それなのに、なんで子供が虐げられるのか。あれ、ホントに意味がわかんないよね?


真面目に、生まれてきた子は悪くないので、冬弥の言葉にはスカッとしました(私が)



【餅津木 春馬】


冬弥の兄です。これまた、清々しいまでの悪役になりました。私の、どの引き出しから出てきたんだ、君は(笑)


とはいえ、この春馬が結月を狙ってたくだりも、実は大事な仕込み回でした。


ぶっちゃけると、ベルスーズ編の仕込みです。


この『冬弥(弟)の婚約者(結月)に、子供を産ませようと企む春馬(兄)』の構図は、ベルスーズ編の『洋介(弟)の妻(美結)に、子供を産ませようと企む長次郎(兄)』の構図と、全く同じなんです。


また、冬弥と結月のスイートルームでのくだりでも、結月をレオが助けましたが、あの構図も、美結を玲二が助けた構図と同じ。


これは全て、ベルスーズ編で、美結を結月をダブらせるために、仕込んだことでもありました。


だから、二人が重なってみえたなら、私の仕込みが上手くいったってことだと思います。


また、最後に、最大の鬱展開(美結が長次郎に襲われるシーン)が来るので、ちょっとずつ、こういう話をだして、読者さんに、耐性を付けさせるようにしてました。


鬱展開には、事前準備が大事です。だから、色々な気遣いを積み重ねながら書いてます。まぁ、それでも辛いシーンは、辛いですけどね。


本当に、鬱展開いっぱいあったのに、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。



【阿須加 善次郎】


洋介の父親。結月の祖父です。

結月は、ほとんどあったことがありません。


妻の名誉のために、長次郎を自分の子として育てましたが、血が繋がってないので、やっぱり、当主の座は、洋介にと思っていたようです。


言っとけよ!子供らに!!

なんて、おもいました。


初めから、洋介に継がすって言ってたら、また違ったてしょうけど、奥さんが生きてるうちはいいにくかったのかもね?


あと、名前を適当につけたばかりに『○次郎』という名前が、気がつけば3人になってました。


これは、反省点です。紛らわしくて、すみません。


ちなみに、悪役の苗字は、実在しない名前にしてます。

『阿須加』も『餅津木』も、苗字検索で出てこない日本にはない名前です。



【阿須加 長次郎】


洋介の兄です。

作中で、一番やらかした人です。


というわけで、番外編では、しっかり制裁を加えました。


私の中で、この結末は当初から決まっていましたが、本篇では、読者様にお任せするスタイルに……というか、読みたい方だけに読んでもらえるよう、番外編で描くスタイルにしました。


なんとなく、③になるだろうとは思ってまして、書くなら、三ヶ月後、長次郎の断罪シーンからかなとは。


やっぱり、あやふやにした部分をしっかり読みたい読者さんもいるだろうなと思いまして、番外編で決着を付けることにしました。


でも、③がダントツだったのを見れば、読みたい方もたくさんいたのかな?


番外編までよんでくださり、ありがとうございます。長くなりましたが、少しでもすっきりして頂けたなら嬉しいです。



【阿須加 洋介】


結月の父親。ラスボスの一人。

結月を、支配していたと言ってもいいですね。

まさに恐怖の対象でした。


洋介は、当主になるまでは、素直でおっとりした人でした。でも、次男でのんびり生きてきた分、当主になってからが、悲惨でした。


兄と比べられ、無能扱い。その上、子供にも恵まれず、種無し扱い。まぁ、10年も誹謗中傷が続けば、美結同様、病んで当然かと思います。


そして、上や親族に逆らえない苛立ちを、下である娘や使用人に当たることで発散していました。


毒親なのは確かです。

だから、捨てられても文句は言えない。


というか、美結が、そうなるように、結月から引き離したので、ちょっと可哀想な人でもありました。


だけど、ずっと流されてばかりだった洋介も、結月に捨てられたことで、変わりましたね。


あと、阿須加夫婦は、お互いに思いあってはいましたが、それぞれ、目的が違ったため、一枚岩ではありませんでした。


でも、結月が駆け落ちし、美結も、結月が洋介の子だとわかったからか、やっと気持ちが一つになったような気がします。


今は、仲睦まじい夫婦です。

会社も二人で、知恵を絞り、上役と戦い、改善させました。


ただ、正直にいうと、洋介は、一番描きにくいキャラでした。あんまり、動いてくれなくてね。作者的には、一番、面倒なキャラでしたね(笑)



【阿須加 美結】


結月の母親。ラスボスの一人でありながら、レオに負けず劣らず、結月を愛していた人。


結月を大切に思う気持ちを隠し、悪女として描かなくてはならなかったため、冬弥と同じく、非常に描き方が難しいキャラでした。


美結の目的がバレないようにしなきゃいけなかったのもですが、種明かしした時に『そうだったのか!』と読者さんに納得もしてもらえるように書かないといけないので、絶妙な違和感を持たせながら、書き進めてました。


でも、レオの解雇騒動では、美結がレオを庇ったため『美結の印象が変わってきました』と読者さんにいわれたり。あの辺から、何か感じとってた方も、中にはいらっしゃったかも?


そして、母は強しなのか、芯が一本通ったキャラでもありました。


結月を、自分と同じような境遇にさせないよう、悪に徹した姿は、痛々しくもあり、美しかったと思います。


本当に、弱さと強さが共存するキャラでしたね。

とても人間らしかった。


ちなみに、不妊の原因は、洋介の方にありました。実は結月を授かったのは、奇跡に近いです。


そして、美結は玲二と関係をもったことは、洋介には話していません。


長次郎のことと、レオが望月玲二の息子であることは話しましたが、不貞を働いたことだけは口を噤んだままです。


だって、誰も幸せになれないしね。


それに、洋介に話せば、玲二の息子であるレオを見る目も変わってしまうかもしれないので、夫と娘夫婦のためにも、一生、隠し通すと、美結が決めたことでもあります。


消えない罪は、箱の中に閉じ込めて、愛する人たちの平穏を守り抜く。


彼女が選んだ決断は、自分への罰であり、贖罪です。


誰にも話せず、一生抱え込むのは、結構つらいかもしれないけど、娘を虐げていたあの頃よりは、ずっとずっと幸せでしょう。


そのうち、孫も産まれるしね♡



そんなわけで、この先は、肩の力を抜いて、それぞれが、自分らしく生きて欲しいと思います。


みんな、お疲れ様!




✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣


キャラクターについての振り返りはここまでです。

明日は、物語についての裏話を…


あと、この舞台裏の文字数が10万文字を越えました。

どんだけ、語ってんだろ、私…笑

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