第4話

「すまない。君がヤツを倒したのか? 」

 剣士は1つ目サイホーンと、キャロリーンを交互に見つめ聞いて来た。

「そうよ。あんな猛獣なんか私の敵じゃないわね」


 良く見ると剣士は端正な顔をしている。赤茶色の髪にグレイがかった瞳。顔は闘いの為に薄汚れ、無精髭が伸びてはいたが。

「君の様な若い娘が、こんな危険な所に居ては危ないよ」

 剣士が言えば、キャロリーンは鼻で笑って言い返す。


「その若い娘に助けて貰ったのは誰かしら? 」

 剣士は苦笑いをしてキャロリーンに礼を言って、先を急ぐ為に歩き出したが、キャロリーンは剣士が担いでる荷物を引っ張って止めるとニッコリ笑ってる。


「何か? 俺に用かい? 」

「こんな危険な所に若い娘を置いて行くなんて……ひどいわ!」

 ぐすんと泣いているが、勿論嘘泣きであるのは剣士にも分かり、だが、興味深げに娘を眺めていた。


「それじゃあ、お嬢さん。お手をどうぞ。森を抜ける迄はお供致します」

 キャロリーンはこの茶目っけタップリの剣士を気に入り、旅の仲間にする事を(勝手に)決めたのだった。


「ね~剣士さんは何処に行くの? 何で一人で旅をしてるのかなあ?」

 立て続けに質問をされて、剣士は苦笑いしながらも答えていた。


「ロメオで良いよ、お嬢さん。サルディアーニ共和国のアルバート城まで行くのだよ」

『サルディアーニ! 聞いた事があるわ。大陸で一二を争う大国じゃないの! 私は何がなんでもロメオに付いて行く事にする!』

 岩の様に、堅い決意をキャロリーンはしたのだった。

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