第13話 夫、幼馴染に説得される
side 蛍
こんにちは!むすめのほたるです!
いまわがやでは、たいへんなことがおこっています!
あのやさしいぱぱがままをおこったんです!
いままであんなおこったぱぱのすがたを
みたことがありませんでした!
ほたるのよそうですが、ままがぱぱとやくそくしたなにかをわすれているようです!
つまりままのせいなのです!
「ねーねー、あれっくすー、ぱぱとままけんかしちゃった…どうしたらいいんだろう?」
ほたるはあれっくすにはなしをききます。
「…」
「そうだよねー、そのわすれているなにかをおもいださないとだめだよねー」
あたりまえなことでした。
だけどぱばから
それらしきことはきいたことがありませんでした。
「あれっくすしらない?」
「…」
「そっかー、しらないかー」
あれっくすもどうやらしらないようです。
なら、ちょくせつぱぱにきくしかないようです。
きょうのよるにきいてみましょう。
けんかがあっても、ちきゅうはまわります。
きょうはまだきんようび、だからほたるもままも
ほいくえんとおしごとがあるのです。
だけど…となりをあるく
ままはげんきがなさそうです。
、、、、、
side ユキ
ないわー忘れるとか。
二人で誓い合った大切な日なのに…
約束した日なのに…
もうありえない!
「ゆきちゃんだいじょぶー?」
ハッ!
ここは朝の教室でしかも授業中でもあった。
心配の声を上げてくれたのは佐藤さんだった。
今日も制服を着崩しているやんちゃな生徒。
「んー…」
大丈夫、と言おうしたがそうでもないことに気づく。
「ゆきちゃんが『織宮先生でしょ!』て言わない!?」
みんなが何事か騒いでいたけれど僕の耳に詳細は入ってこない。つまり上の空だった。
今まで教卓に肘をついて窓の外を眺めていたようだった。この態度、先生してるのにダメだなぁ。
「ゆきちゃん先生、体調が悪いなら保健室へ。きついなら私が運びますよ?」
真面目な生徒の田中さんがそう提案してくれた。
「ありがとね…でももう大丈夫。
あと田中さん、織宮先生…でしょ?」
そう言うと少しだけみんなの不安な表情が和らいだように見えた。
授業中に生徒に心配されるくらい今の僕は相当まいっているらしい。
.
.
.
.
「はぁぁ」
昼休みの屋上。
僕はフェンスに寄りかかりうなだれていた。
今日の自分が信じられない。約束事ひとつ忘れられたくらいで癇癪を起こし、朝、昏葉さんに酷いことをして、さっきの授業中も、僕が悪いのに昏葉さんを責めるような思考をしてしまった。
あー…。
絶賛自己嫌悪中。
でもなー…
「はぁぁぁ」
「織宮先生?百面相しながらそんな溜め息吐いてどうしたんですか?」
「ほのちゃん…」
見るとそこには歳の離れた幼馴染の姿があった。
朝宮星乃果ちゃん。
今日も黒髪のボブカットが決まっていて
クラスでも頭ひとつ抜けている美少女だ。
「まだ寒いですから冷えますよ」
「あ…」
ほのちゃんは僕の肩に自分の制服の上着をかぶせてくれた。
「ありがと、ほのちゃん」
「いえ、このくらい」
なんでもないと微笑むほのちゃん。
本当に大きくなったなぁ。
さすが頼れるクラス委員長さんである。
そうだ…頼れる委員長…相談、してみようかな…
「もしかして奥さんと喧嘩でもしました?」
「!?…うん…」
僕が何かを言う前にほのちゃんは僕の悩みをずばり当てて見せた。
「へぇぇ…」
ほのちゃんもまさか当たるとは思ってなかったのだろう、少し意外そうな顔をしていた。
「すごいね、やっぱりほのちゃんにはわかるんだ」
「ゆきにーさん、結構顔に出るから」
僕は改めて今朝あったことをほのちゃんに話した。
昔からの知り合い、ほのちゃんには胸の内を開くのは容易だった。
ほのちゃんは僕の話を真剣に聞いてくれた。
そして開口一番に言われた。
「ゆきにーさんて結構めんどくさいよね?」
「え!?…そうかな?」
心臓に包丁が突き刺さった。この子たまに火の玉ストレートを放つから怖い。でもそんな子によく相談する僕は結構Mなのだろうか。いや今はそんなことどうでもいい。
「ど、どうすればいいと思う?」
「んー、そうだねー…
まずはゆきにーさんの気持ちを本人に言うべきだと思うよ」
「というのは?」
「意味もなく怒って相手を萎縮させちゃったらダメ。大切なのは素直に自分の内心を打ち明けて話し合うこと。今ゆきにーさん私に対してそれできてたじゃん?それを奥さんにすればいいだけだと思うよ」
「でも…」
「何も難しいことじゃないよ?今のそのままの気持ちをそのまま話すだけでいいから。なんで怒っているのか、忘れられてどれだけ悲しかったか。そしたらたぶん奥さんが優しい人なら問題は解決すると思うよ」
「…ねぇ、ほのちゃんって将来先生になる予定とかある?」
「うーん、今のところはないかな…どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
優しくアドバイスしてくれるほのちゃんの姿から将来先生になる未来が見えた。
僕よりも何倍も頼りになるし先生に向いている。
「はぁぁ」
僕も情けない。幼馴染とはいえ年下の子に相談してアドバイスしてもらうなんて。しっかりしなきゃ!
「ほのちゃん、ありがとね。やっぱり僕帰ったら昏葉さんに謝るよ」
「うん、それがいいと思うよ」
ピピッ
そのとき僕のケータイから甲高い音が鳴った。
メールが来たようだ。もしかして昏葉さんだろうか。
「ん?」
期待したが違ったようだ。
それに二つもきてる。
「え?」
僕はそのメールの中身を見て絶句した。
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