第4話 魔法陣に転生したよ

 気がつくと、いつもと様子がおかしかった。


 うーん、身体がないね。


 というか人間じゃないね。


 今回転生したのは…


 召喚魔法陣の魔法マホウ ジンさん(推定300歳)


 趣味 召喚


 特技 召喚


 転生先に選ばれた理由 無差別召喚


 なんじゃそれ!


 自らふざけたのに、ツッコミいれてしまうくらいのおかしな展開。

 

 記憶というか思念というか…人間なんじゃないかと思うくらい確信犯で召喚してるな魔法陣


 誰かが使うわけじゃないんだな。


 自発的に召喚しては…


 なるほど


 不思議なもので、部屋の中なら視界を自由に動かせる。


 向こうに見える扉


 召喚しては扉に向かわせる。


 扉は一方通行と。


 断末魔を聞いて悦になる魔法陣


 あぁ…この子ダメな子だ。


 

 

 


 とりあえず今回は違った意味できつい。


 ゴールがわからない。


 それに尽きる。


 俺が召喚しまくるのが、原因なんだろ?


 ならもうしなきゃいいよね!


 ルートはこんな感じ


 召喚をしない→何も起きなくなる→問題解決→………


 女神様はおっしゃりました。


 バランスが崩れた原因 


 召喚された者達の救済保護による事後のクレームの解消


 結果を示せば、寿命の全うもしくは希望の転生。



 今回は、召喚された者はもういない。


 近々にされた方々は扉の向こうでもれなくHP0になっていらっしゃるようで。


 もう召喚はしないので問題の原因にはならない。


 ただね…俺は多分寿命ないよね?


 人間じゃなく魔法陣なんだもの。


 天界の方々は管理出来ないくらい困って俺がこうしてる訳。


 解決したって多分気づかないよね?


 気づくとしても、天界の時間感覚なんてないようなものでしょ?


 3桁から4桁コースだろうね…


 耐えられる気がしない。


 さてどうするか…


 …


 …


 …


 …


 詰んだかな?


 まだだ…俺ならやれる…


 いや俺以外ならやれるかも…


 仮説を一つ立てた。


 魔法陣は石床に刻まれている。


 これを削るなどして陣を崩せば俺は消えるのではないか。


 テンプレだと効力が切れて発動しなくなる。


 が、問題はいくつかある。


 一つ、効力が切れるだけで思念体らしき俺は消えない。


 一つ、消えるとしても誰にやらせるか。


 一つ、訪問者及び侵入者は皆無。


 一つ、誰かを召喚してやらせるにしても意思疎通はできるのか。


 一つ、意思疎通できたとして拉致犯のような俺の言う事を聞くかどうか。


 一つ、実行してくれたとしても再度召喚する事になるので仕事は失敗に終わる。





 俺は何か悪い事したのかな。


 なんでこんなにハードモードになってるんだ。


 確か、転生出来るが最低条件な俺。


 犯罪なんか起こした記憶もないんだが…


 むしろ何もしてないからプラスポイントがなかった的な?


 あの時は虫やプランクトンに転生するくらいなら、希望の転生をとか思ってしまったが…


 こんなブラックなら…どっちもどっちかな…


 


 気を取り直して、どうするか。


 一か八か、召喚してお願いしてみるか。


 うん、そうしよう。


 それで、次頑張って行こうじゃないか。



 では早速…


 ピッカーン


 学生さんかな?キョロキョロして初々しいね。


 あーあー聞こえますかー?


 ビクッとしました、聞こえましたね。


 私は魔法陣です よろしくお願いします。


 びっくりしてますねぇ〜


 唐突ですが、異世界に召喚しました。


 申し訳ありませんが協力して欲しい事があります。


 うんうん、聞いてくれてる素直な子だ。


 私の身体、もとい魔法陣を発動不可にしてもらいたいです。


 ちなみに、向こうに見える扉は出たら最後戻れなくなりますし、多分死んじゃいます。


 あらら、そりゃショックだし混乱するよね。


 質問?いいですよ


 あー、私は魔法陣なんでチートとかそういうのはやってませんよ。


 あー…、そうですね 私が発動不可になれば帰れませんね。



 ふぅ、めちゃくちゃ怒ってる。


 キレる10代ってやつかな?恐い恐い。


 お願いなんでちょいちょいと削ってくれません?


 …


 …


 …


 無理でした。


 話も聞いてくれなくなったし、恐いので帰って頂きました。


 数人試したけど、泣いたり叫んだり、扉から出て行ったりと結果失敗。


 どうしようか…




 

 あ、閃いた!魔法陣さんてば、思い浮かべたら人以外もいけるみたい。


 よしよし


 猛獣を召喚っと…


 いい爪してるし、期待してるよ!



 うーん、部屋をウロウロして魔法陣に興味示さない。


 ちょっとガリっとしてくれたらいいだけなのに。


 それじゃあ


 漫画肉を召喚っと…

 

 はは、来た来た!


 そーそーおいでおいでー

 

 …


 …


 …


 食べるだけ食べて寝ちゃったね。


 その後も、溝に肉を出したり、暇になったら掘ったりするかなと思ってしばらく観察した。


 仲間増やしたり、闘いそうな違う猛獣だしたりもしたさ。


 結果、生でディス○バリーチャンネル見ただけだった。


 異世界動物園 魔法陣支店 みたいになったからまとめて送還しました。


 …


 …


 …


 あ!


 なんで思いつかなかったんだ俺は。


 今度こそ!


 女神様召喚っと…


 …


 うわ…あからさまに嫌な顔してるよ。


 忙しいのに本当に申し訳ないと思ってますが、俺にも背に腹はかえられぬ事情がありまして…


 仕事を完了として俺を戻してくれれば、魔法陣も抜け殻になりますよね?


 そしたら問題起きませんよね?


 だからそんな顔しないで?


 美人が台無しですよ!


 あ、ちょっと照れた。


 あっ!


 …


 …


 天界に帰れた! という事は依頼達成ですね…?


 あ、違う? 


 駄目?


 なんでさ、頑張った方だよ?


 ふむふむ…


 初めから呼んでいたらよかったの?


 え、まあ…俺が呼んで死なせた形になりましたね。


 なら初めから教えてくれたらよかっ___




問題無用で、次へ転生された。

 




 

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