第14話
「メリーアン!?今まで一体どこに・・・」
シアリーズが驚き、うろたえた。
一方、メリーアンの方は平然とし、微笑みさえ浮かべている。
「コーザの家でかくまってもらっていたの。昨夜は大変だったわね」
少し離れた所にコーザが申し訳なさそうに立っている。
ソルはコーザに駆け寄り、小声で「おまえ・・・!」と責めた。
コーザは「もっと早くに出てこようとしたんだけど、あの姫様が、まだ外は危ないって言うからさ・・・」と言い訳をした。
シアリーズはその場にへたり込んでしまった。
「とにかく・・・無事で良かった」
シアリーズは疲れがどっと出て、そのまましばらく休んでいたい気持ちになったが、そうもいかない。
よろよろと立ち上がって、こう言った。
「メリーアン、こうしてはいられない。また襲撃を受けるかもしれない。狙いは君だ」
「まあ、そうなの?いったい誰が・・・」
シアリーズは一息ついて、言いずらそうに言った。
「おそらくギャンザック卿が・・・」
「そんな、叔父様が・・・どうして・・・」
「・・・とにかく、ここに居ては危ない。一刻も早く山を降りなければ」
シアリーズは興奮気味に更にこうも言った。
「村にも迷惑がかかる。村に火を放ったのはきっと、村を混乱させて、目撃者を出さないようにするためだろう」
それを聞いたメリーアンは嬉しそうに言った。
「そうね!さすがは聡明なシア!すぐに村を出ましょう!」
シアリーズはそれを聞いた後、ソルたちの方に向かいあらたまってこう言った。
「ソル殿、コーザ殿、ついてはお願いがある。こんなことを頼むのは気が引けるが、どうか、街までの護衛をお願いしたい」
その申し出に最も早く反応したのはメリーアンだった。
「だめよ!シア!迷惑だわ!彼らは村の復興のための仕事が山ほどあるだろうし、何より危険に巻き込むなんて・・・」
「しかし、メリーアン・・・」
二人が言い合っている間にソルは決意を固めていた。
「・・・俺は行く!」
そして、コーザの方を見る。
コーザの方はまだ決心が固まらないようだった。
「俺はほら、戦いには向いていないし・・・」
コーザはむしろ、行きたくないようだった。
そんなコーザにソルは力強く言った。
「でも、俺たち街に行くはずだっただろう?」
「それはそうだが・・・」
「・・・俺はお前が来てくれると心強い」
「分かったよ!」
ソルがそう吐き出すように言った一言が決め手となり、コーザも決心がついたようだった。
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