第28話 2つ目の約束

 学校から帰ってくると、俺はすぐさま寿司屋さんに行った。と言っても1皿100円の回転ずしなのだが。そこで、テイクアウトで6人前注文した。4人前だと少ない気がしたからだ。

 お金を払うと俺は足早に家に帰った。そして、家に着くと結衣たちが眠そうにしていた。朱里に関しては寝ていた。俺は何をしたのか聞いてみると、京都に行って来たらしい。

 俺が手を洗って買ってきた寿司を出すと、みんな大喜びで寿司を見つめていた。

 「買ってきたぞ。食べようか」

 「マジで⁉よっしゃー」

 「流石きょーへい先生」

 「ありがとう、京平」

 俺が買ってきた寿司はみんなに大好評だった。そして、マグロを手に取ろうとした瞬間、朱里は何かを思い出したかのように部屋に行き、袋を持ってきては俺の前で取り出した。

 「はい、これきょーへい先生」

 朱里がそう言って、俺に袋を差し出した。中を覗いてみると、THE京都 と言ったようなお土産が全部で7個ぐらい入っていた。

 「こっちが私で、この3つは結衣ちゃんでしょ、そして最後の2つが順くんからのお土産」

 「おお!みんなありがとう」

 「京平!お前それ気に入ったんか?」

 「もちろん!」

 みんながなんと俺にお土産を買ってきてくれたのだ。キーホルダーが2つ、和菓子が2つ、清水寺の絵が描いたボールペンと消しゴムが1つずつ、そしてお守りが1つ入っていた。俺はもらったキーホルダーを学校に持って行くカバンと筆箱に1つずつ付けた。文房具も筆箱に直した。

 「じゃあこれ、寿司を食べ終わったらみんなで食べようか」

 と言うと、順は

 「やったーーーーーー」

 と子供みたいに無邪気に喜んでいた。


 みんな寿司を食べ終えて、和菓子を開けてみると中には高級八つ橋が入っていた。

 「お、うまそうだな」

 本当においしそうだった。一人で全部食べたいぐらいだったが、みんなだ食べたほうが100倍にも1000倍にもおいしいと思った。みんなでおいしく八つ橋を頂いた。滅茶苦茶おいしくて、心の中で感動しながら食べた。ちょうど加減のいいシナモンも効いていて、素晴らしい八つ橋だと思った。

 みんなで食べていると、朱里が口を開いた。

 「きょーへい先生」

 「なんだ?」

 「2つ目の約束を決めた」

 「おう、どんなのだ?」

 「それは・・・」


 「家族のようになること」


 「と言うとつまり?」

 「私たちは、もっと家族みたいになりたいの」

 「なるほどね~」

 「俺もか?」

 急に順も出てきたが、朱里はすぐに返事をした。

 「違う」

 おいおい、そんなこと言ったら、、、ってもう順落ち込んでるじゃん。

 それを見て察したのか朱里は続いていった。

 「うそうそ、順くんはお仕事とかの都合で一緒には住めないかもしれないけど、私たちは家族 そう思っているから」

 「ほんとか!よかったよ」

 「で、きょーへい先生」

 「うん?」

 「この約束、守ってくれるよね」

 俺は、考える間もなく答えた。

 「もちろんだよ!」

 すると、朱里も、結衣も、順も、みんなが喜んでいた。そして家族のようになりたいっていうのを訂正していった。

 「家族のようになりたい のではなく、『家族になる』っていうのはダメか?」

 すると、3人が一斉に

 「それでいい」

 と、声を合わせて言った。

 家族になる―――もっと親しくなる と言うことだと思うので、朱里に俺の呼び名を変えてもらう事にした。

 「なあ、朱里」

 「ん?どうしたの、きょーへい先生」

 「その、きょーへい先生っていうのやめないか?」

 「どうして?」

 「先生ってついてたらさ、家族のようには聞こえないじゃん」

 「それもそっか、じゃあ“きょーへい”でいい?」

 「おう、それでいいよ」

 これから俺は朱里に“きょーへい”って呼ばれるようになるのだ。

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