第25話 朱里が婚約!?
・・・
「私と結婚すること」
「・・・え?」
「え?」
「え?」
思わず俺も結衣も順も『え?』と聞き返してしまった。すると朱里は話を続ける。
「私と結婚してほしいの。きょーへい先生」
全く意味が分からない。文としての意味はもちろん分かるが何を思って言っているのかさっぱり分からなかった。しかし、すごく笑顔をこちらに向けてきて、断るなと言わんばかりに見つめてくる。
「だってお前、中学生だぞ」
「分かっている。今すぐってのは無理だってのもね」
「じゃあどうして、、、」
「わたしね、ずっときょーへい先生のことが好きだったの」
「それはどうもありがとう」
「うん!」
朱里はずっと目を輝かせている。しかし、俺には断る理由があったからもちろん断った。
「あのな、朱里。気持ちはめっちゃうれしいんだ。でもな、お前はまだ中学生で幼いし、なんて言っても俺には彼女である結衣がいるんだ。だから、その、ごめん」
「京平...」
結衣は俺の名前を小さく言った。聞こえないぐらいの声だったが俺にははっきり聞こえてきた。
朱里は、
「そうか、そうだよね。分かった」
と分かってくれた。
「うん」
「じゃあ別のお願いを聞いてくれる?」
「分かった」
・・・
「付き合って」
「全くわかってねーじゃないか」
「全くわかってねーじゃないか」
俺と順は意気投合して同じ事を言った。結衣は笑っていた。
「それも無理なのー?」
「ハイハイ無理無理」
「そうかー、分かった」
「でも、ずっと同じ思いで過ごすからね」
「そうかよ わかったわかった」
朱里は悪気なく言ってそうだし結衣も笑っていて 中学生が言うことだから ということで特に何もなかった。
「じゃあ俺と結婚するか?(笑)」
と、突然順が言ってきた。ネタで言ったのだろう。すると朱里が
「無理です。大阪弁が強すぎて話にくいしそこまでイケメンでもないし、優しそうにも見えないし......」
「そ、そこまで言わなくても...」
と、思いのほか悪口を言われてしまって、しかもそれが心に刺さってしまって落ち込んでしまった。
「ま、まあなんだ。いい感じにやろうじゃないか」
「そ、そうね!」
朱里も順もポカーンとしていた。
「仕方ないから、ほかの約束を聞いてあげるよ。何がいいんだ?」
「じゃあ」
「うん」
「・・・」
「・・・」
「思いつかないから、また何かあったら言うね!」
「わかった」
結局約束を結ぶことが出来ずに終わってしまった。俺は正気を失っている順に話しかけてあげ、順の心は正常に戻った。
もう夜も遅かったので、俺たちは寝ることにした。朱里は結衣と同じ部屋で寝ることにして、もう終電も過ぎている時間なので順を泊めさせてあげて俺と同じ部屋で寝ることにした。
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