第21話 まさか、あ・か・り?
俺と結衣はもちろん
『うん』
とうなずいた。
日が進んで今日は土曜日になった。俺と結衣は電車に乗って駅に向かっている。順もバスに乗って向かっているらしい。電車に乗っているときに俺たちは会話をしていた。
「結衣は何が欲しい?」
「えっとねー、新しい服とか香水とか、、、あとはランチを食べたい!」
「わかった。いろんな服を買ってあげるからな」
「ありがとう。じゃあ京平は何を買うの?」
「俺はねー、書店で俺の読んでいるラノベの続きと、ライトノベル雑誌を買おうと思ってる。ほかには、俺も学校に来ていく服が欲しいし体育大会用のジャージとかも買って、学習指導要領の解説書に問題集に通知表の所見に書くテンプレートの本に...」
さらに買うものを言おうとすると結衣に遮られた。
「ちょっと買う予定ありすぎだね」
「学校の先生だから子供のためにもいろいろと欲しいしな」
「なるほどね」
そんな他愛もない話をしていると、ショッピングモールが隣接されている駅に到着した。
順が到着すると思われるバス停に向かっていると、後ろから
『トントン』
と叩かれた。後ろを振り向くと、
「おいおい、遅いねん」
と、順がやってきた。『遅いねん』ということは、ずっと前には着いていたのだろう。
「ほんじゃあみんな揃ったんやし店に入ろかー」
そう順が言うと俺たちは人がいっぱい集まるショッピングモールに入っていった。
俺たちはまずU〇I-Q〇Oに入っていった。結衣が好きな服屋らしい。
まずは結衣の着るワンピースやスカート、日焼け防止用の薄い上着にTシャツなど、いろいろな服を見て回っていった。どれも結衣に似合っている物だったので、たくさんかごに入れていった。
次は順の服を探すらしい。
・・・といっても順の服を見るのに興味はないし、我慢できなかったのでトイレに行った。トイレで用を足し、トイレのそばにある自動販売機でジュースを3本買った。そして、みんなのいるところに戻ろうとしたとき
・・・
見たことのある姿をした中学生ぐらいの可愛い女の子がいた。白色の服にジーンズ?のズボン、超有名メーカN〇KEの靴を履いていて、俺はパッと見ただけでそれが誰なのか分かった。ずっと過ごしてきて、この手で殺めたはずの朱里らしき人が歩いていた。俺は思わず買ったばかりのジュースを落として朱里と思われる女の子のところに駆け寄った。
「あ、あ、朱里!」
俺はそう言うと、女の子は立ち止まってこちらを向いた。
顔を見る限り間違え無く朱里だった。
「朱里、なのか?」
「・・・」
「・・・」
「い、きょーへい先生?」
「そうだよ!朱里だよな?」
「う、うん」
俺は思わず涙が出た。死んだはず というか殺したはずの朱里が歩いているのを見つけ、再会できたので感動というかなんというか...とにかく涙があふれだしてきた。
「ど、どうしてここに?」
「えっとねー、ひ・み・つ」
俺はあることを思い出した。それはつい最近、順が話していた話だ。
―――なんかな、昔ホンマにあった怪談やねんけどさ、ある女の子がおってんな、17歳の子やねんけど。その子には彼氏がおってん。でな、・・・ ―――
簡単に要約すると、死んだ子と会いたいと祈っているとあの世からやって来る といった内容の話だ。
まさか、本当なのか・・・?と、半信半疑だった。しかし、目の前には確かに朱里がいて、今まさにその朱里と話しているところだ。
「朱里、本当にすまなかった」
俺は全力で、誘拐したこと、襲ったこと、殺したこと、そしてコンクリートに詰めて舞鶴に捨てたことを謝った。実際には謝って済む問題じゃない。しかし朱里は
「んーとね、許してあげる。でも」
「でも?」
「約束を守ってくれたらね」
「約束?」
「そう、約束」
いったい何の約束なんだろうか、気になった。
そして、朱里が見つかったことを伝えないと思い、急いで学校に電話をかけようとした。すると、
「ちょっと待って」
と朱里に止められた。
「約束1つ目」
・・・
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