第11話 結衣の救急搬送
今は午前4時半。朱里のこともあってか、ぐっすりと眠ることは出来ず、起きる時間も早かった。そんなわけで寝不足になってしまった。
学校に行って授業をしたり、部活動をしたり、会議に参加したりしても、少しダルくて居眠りをしてしまったりした。その事で校長から、
「木村さんのことで頭がいっぱいですよね...警察や教育委員会、保護者からの問い合わせも多いですし」
と言われた。確かに問い合わせが多くていつもより大変なのは事実である。校長から早退の許可をもらったので、午後4時過ぎぐらいには帰宅した。
家に帰って夜ご飯を作る時間になるまで仮眠をしていた。すると、スマホから着信音が響いて目が覚めた。
―――
順は、まだ大学時代だった頃の同じ学部だった友達だ。仲の良かった友達なので、電話に出ることにした。
「もしもし 和泉だけど」
「おう! ひさしぶりやな京平」
ちなみに順も関西出身で、大阪弁が少し耳に残る人だった。
「どうしたんだ?順」
「あのさ、いけなりなん
「おう、別にいいけど何をするんだ?」
「んーそやなー。駅前にあるショッピングモールに行こうと思うんやけどどうや?」
少なくても2年間は会ったことも、話したこともない友達に遊びに誘われて、行こうか正直迷ったが、久しぶりの機会だし と思って快く承諾した。
「じゃあ明日の晩空けといてや~ じゃあ」
明日の放課後は、順と一緒に買い物に行くことになった。
そこから1週間は、これと言って特に何かがあるわけでもなく、土曜日になった。順と待ち合わせをしていた時間にショッピングモールへ行こうとしたのだが、ここで緊急事態が発生してしまった。結衣に朝食を持って行こうとすると顔が真っ赤になって、息を荒くして寝込んでいた。部屋にあった体温計で熱を測ると【39.6℃】だった。起き上がるのも、吐き気がしたりとしんどい事の連鎖で、順と一緒に行けなくなってしまった。順にこのことを説明すると、心配だからと家に来てくれることになった。
連絡から2時間くらいたつと、順が家にやってきた。
「おーい京平 おるんやろ?」
『ガチャ』
「おう順、来てくれてありがとう」
結衣とほかの男を会わせたくはないのだが緊急事態だから仕方なく家に入れてあげた。もちろん結衣に服も着せてあげて、監禁をしていることは言わないようにしてもらった。
「初めましてやな、結衣ちゃん」
「はぁ はぁ はぁ」
「大丈夫なんか!?結衣ちゃん」
「大丈夫か?結衣」
さっきより、病状が悪化している様子だった。結衣はここに引っ越してくるときに健康保険証などを持ってきたから、病院へ連れて行こうと思ったが、息をするのも苦しがっていたので救急車を呼ぶことにした。
「119番消防です。火事ですか?救急ですか?」
「救急車をお願いします」
「わかりました。それでは救急車を向かわせる住所を教えてください」
「大阪府・・・・・・」
「わかりました。どなたがどうされましたか?」
「22歳女性が、発熱や呼吸障害、意識レベルの低下です」
一応学校教員だから消防署や大学でも救急の講習や授業を受けたので、それなりの応急処置やスムーズな対応をとることが出来た。順には、氷枕を作ってきてもらい、結衣の観察をしてもらった。
しばらくして救急車のサイレンが聞こえてきたので順には誘導に行ってもらい、出来る限りで結衣の呼吸管理などをした。救急隊員の方ももしかしたら重症かもしれないと言っていたので、少し大きめの救急病院に搬送することになった。車内で、結衣は何度も
「京平、助けて」
と言っていた。とても苦しそうで、順や救急隊員の方は聞こえてなかっただろうが俺にははっきりと聞こえた。
病院に着いて、結衣の診察が始まった。結衣はずっと呼吸苦を訴えていて、見ているだけでもしんどくなってきそうだった。
病院に着いて15分ぐらいした頃、年齢は若めでエリートのような顔立ちをしたお医者さんと、ベテラン看護師らしき人が2人でこっちに歩いてきた。
「西口結衣さんの付き添いの方ですね?」
「はい、そうです。」
結衣のことが気になって少し動揺しながらも受け答えをした。
「ただいま西口さんの高熱の原因がわかりました」
「い、いったい何だったんですか?」
・・・
「u□e×〇fuh^f です」
「はい?」
「だから、」
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