第7話 朱里誘拐事件の発覚
家に帰ると玄関先に警察官らしき人がいた。朱里の件がバレたのか。俺は心配しながら玄関に向かった。すると、警察官から話しかけてきた。
「こんにちは。警察ですけど、防犯連絡に参りました。」
「防犯連絡?」
「もしも災害などが起きた時に、誰がいないとか、犯罪防止のために使うものです。 ところで何人暮らしですか?」
「2人です。」
「お名前は何というのですか?」
「俺が和泉京平で、彼女が西口結衣です」
「わかりました。情報はこれだけでいいのですが...さっきから家の中の方から音が聞こえるのですが何をされているんですか?」
その時、こんな思いがけない言葉が聞こえてきた。
「たすけて~」
朱里の声だろう。警察官もそれを聞き逃さなかった。
「えっとー、今の声は誰ですか?」
「んーと、」
なんて答えればいいんだろう。監禁をしていることがバレるのは絶対に避けなければならない。そこで思いついた言葉がこれだった。
「さっきテレビの電源を消さずに外に出てきたので、ドラマかもしれません」
しかし、家の中から『ドンドン』とドアをたたく音がずっと響いている。警察官に聞こえているのか分からなかったが、とてつもなく怪しんでいる様子だった。
「最近、この近辺で誘拐事件が起きたのですが、まさかその犯人だってことは...(笑)」
「さすがにないっすよ。あのドラマにハマってるんですよ」
「そうですか。まあ問題ないなら大丈夫ですね。それでは気を付けてお過ごしください。ご協力ありがとうございました。」
そう言って警察官は帰っていった。なんとかこの状況から逃げ切ったことに俺は
―――誘拐事件が起きた
って言っていた。もうバレているのかよ。警察官に怪しまれずに済んだのが幸いだった。また、この近辺で防犯カメラを見たことがないから、多分設置されていないんだろう。この状況にとても救われた。
しかしその日の夜、ニュースでこんなものが出されていた。
『昨日、市内の中学生の女の子、“木村朱里”ちゃんが誘拐される事件が発生しました。朱里ちゃんは、公園に遊びに行くと言って出かけましたが夜になっても帰ってこず......』
おいおい、ニュースになるほど大きな騒ぎになっているじゃないか。いつバレてもおかしくはない状況だってことは自分自身でもわかっていた。だから、出来る限りの証拠隠滅を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます