新手 ※乙喜実視点
「…………」
「…………」
む、無言が辛い……!
い、いや普段からおしゃべりは得意じゃないけども! それはそれとして無言立ち往生は辛い!
と、とりあえずこのままってわけにもいかないし……。
「え、えっと……いきましょうk――」
「あれ? アンタら……」
「ひゃひ!?」
あ、新手!?
い、いや、こっちに向けての声じゃない可能性だって……。
「あ〜やっぱそうじゃん。文化祭のときに見た顔だわ」
「ひっ!?」
は、派手な人だ! イヤ! 怖い!
……って、文化祭?
そ、そろぉ〜り……。
「あ」
前は黒髪で青に染めてたからわからなかったけど、この人たしか瞬さんとお姉さんの試合を一緒に
「あのときは……名前言ってなかったね。あたしも
ひ、ひぃ〜! く、口数多い〜よぉ〜! しかも結構常時無礼講タイプの人だよぉ〜! 関わりたくないよぉ〜!
でも私に話しかけてこなくて良かったのは救い。神の思し召し。
さぁ瞬さん。お相手してさしあげなさい。
「…………」
え、無言っすか!?
っていうかどこ見てるの? そんな宙になにも……あるわけじゃないみたいだし。え、なに? 猫? 猫なんですか瞬さんって。
と、とりあえず返事だけはしてもらえません? せめて反応だけでも。でないと気まずいッス自分。
「えぇ〜? シカトぉ〜? 失礼じゃない? そーゆーの」
ひゃ〜! 顔怖なっとるぅ!
「ねぇ、アンタ。この子の友達っしょ? なんなのこの子? いっつもこんななの?」
「え、わ、私!?」
矛先向けてこないで!?
「アンタ以外誰がいんのよ……」
そんな呆れ顔されても……。っていうかこの感じ、私のこと覚えてないやつだ。嬉しいやら悲しいやら……とっても複雑。
「え、えっと。私もまだ三回くらいしか会ったことないと言いますか……。ほぼ毎回掴まるというか捕まるというか……。迷子のお届けというか……」
「は? つまり今回も迷子のお世話してるだけってこと? 名前も知らないって?」
「あ、名前は瞬さんっていうみたいです。あ、私は逸見乙喜実です……はい……」
「う〜わ。めっちゃお人好しってだけぇ? もの好きね」
いやお人好しってわけじゃないです。流れに逆らえないだけで。
「え、えへへ。なので私も事情は知らないんですよ。はは、あははは……」
「ヘラヘラしてちょっときっしょ」
「…………」
さっき瞬さんに失礼って言ってたけど、やっぱりアナタのがよっぽど酷いと思います。ぐすん。
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