落ち着く為にはティータイムが一番……? ※乙喜実視点
「さて、お前はもう良いぞ。ご苦労だったな」
「……おま、急に……まぁやること終わったし良いけどよ。じゃ、終わったら連絡しろよ。入る時は一緒じゃねぇとだから」
「わかったわかった」
わ、私がテンパってる間に話がどんどん……あ、天良寺……さん? 先輩? が、どっか行っちゃった。送り迎えだけなのかな? このまま一緒じゃなくてちょっと安心。Lilinさんだけでもいっぱいいっぱいだから!
「で、どうする? そもそも特に予定を決めてはいなかったが。とりあえずどこか入るか。アイツが引きこもり故、外食は中々珍しくてなぁ。なにか食えるところがいい。構わないか?」
「ぅえ!? ふひゃ……っ。ふぁい!」
「そうか。ではゆくぞ」
ぅ〜……Lilinさん……。明らか挙動不審なのにスルーしてくれるなんて……なんて優しい……しゅき。
でも目が嘲笑ってるように見えるのは気の所為でしょうか?
「さてな」
「……っ!?」
い、今口に出してた……? 出してないよね……!? え、ど、読心術……? あ、でもLilinさん時々というか常日頃こっちの心読んでるかのような言動だし、今更かな。
***
「…………」
近いからってファミレス入っちゃったけど……良かったのかな、こんな普通のところで。
いやもちろんお高いところとか行かれても困るけど、せめておしゃれなカフェとか――。
「〜♪」
……なんかバンバン注文してるし、心なしかウキウキしてるようだし、Lilinさんが満足ならいっか!
おしゃれカフェでも私萎縮しちゃうし!
「…………」
にしても、綺麗な顔立ち……。でも背ちっちゃいから可愛い……。ちっちゃいって言っても私とあんま変わんないけど。というかたぶん私のが一センチ二センチ大きいくらいでほぼ誤差。
でもこう……小さく感じる……あ、頭か! 頭っていうか顔がちっちゃい! 体のバランスが違うんだ!
私なんてちびでガリ……ってほどでもないか。最近ちょっとお肉乗ってきてる気がするもん。でもお陰でより寸胴感が出てきてるかも……。
はぁ……それに比べてLilinさんは全体的に細いけどちゃんとウエストから下はメリハリがあって――。
「ん゛!?」
よ、よく見たら肩出しへそ出しモモ出しフルセットだし!? ま、まだ春先なのに攻めすぎじゃありませんか!?
というか私、今の今まで顔にしか目がいってなかったんだろうか。我が事ながらなんというか。テンパりすぎというかなんというか……。
そ、それに格好で言うなら私は逆にダサめというか小学生の頃に買ってもらったワンピースだし。他人の格好にあれこれ言えないよねこれ。ハハ。本当真逆。身長以外不釣り合いな二人が同じ席にいやがってみたいに周りから見られてるかもしれないって思ったら胸が痛い。
まぁ、今はまだ午前十時頃だから人は少なめで救いはあるけども。
「
「あ、私は……えっとぉ〜……」
いけないっ。余計なこと考えてて注文なんにも決めてないっ!
と、とりあえず……お腹は空いてないからジュースでも。
「じゃ、じゃあクリームソーダで」
「だけか?」
「ひゃ、はい……」
「ん」
は!? というか自分でやれば良かったじゃん! Lilinさんにわざわざ注文させちゃって、図々しかったかな?
い、いや考えすぎ? こ、このくらい普通かな?
うぅ……同年代と出かけたことないから塩梅がわかんないよぉ〜……。
「注文も済んだところで、フム。さしあたり改めての自己紹介でもするか?」
「あ、は、はい。そうですね」
聞き慣れてるけど生のLilinさんの優しい声色。それに表情も穏やか。私が緊張しいなのはこの一年近い付き合いでわかってるだろうから気を遣ってくれてるのかな? 普段もそうだし。
ひょ、表情があると嫌々じゃないっていうのがわかりやすくていいな。それも繕ってるかもだけど。はぁ、こういうときばっかりは視えないのがもどかしい。普段は鬱陶しいのに。
「我はリリン。姓はないが……
「あ、そのままなんですね」
「ん?」
「あ、や、名前が……」
「あぁ〜。うん。そうだな。で、貴様は?」
「あ、えっと
「貴様も大差ないじゃないか」
そうだけど、ちょっとはモジってるもん……。
「モジり方もアレだな」
「…………」
まるで人の心を読んでるかのように言葉続けるのやめてもらえませんかね。ちょっと怖いです。
「まぁどちらもそう変わらんのなら今まで通り『キミ』で良かろう」
「あ、じゃあ私もリリンさんのままで。えへ」
Lilinさんじゃなくてリリンさん。気持ちの問題だけど本名呼んでるっていうのがなんか良いな。
……あ、そういえばいつの間にか落ち着いてる。自己紹介にちょっと軽口挟んだだけなのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます