お友達とのおしゃべりは楽しい。うん。楽しかった。途中までは ※乙喜実視点
「お、来たな」
「あ、注文したのが届い――うひ!?」
給仕ボット三台同時!? しかもリリンさん躊躇なくテーブルに尽く乗せてってるんですが!!?
「ま、まさか全部食べるつもりです……か?」
「ん? まぁ今日のところは控えめにな。貴様もいることだし」
抑えてソレなんだ……。
うわぁ〜……テーブルに収まってないよ。どうするんだろ?
「ふひ……っ!?」
しょ、食器の数々が浮いて……! いや、なんか黒いフニャフニャが持ち上げてる!?
あ、あれ? これさっきも……。
「も、もしかしてさっき髪留め拾ったのって……」
「ん? あぁ、
「あ、ありがとうございます……二つの意味で」
たぶんだけどわざと私の視界に入るようにしてたよねきっと。
にしても動画でも使ってるの見たことあるけど、直に見ると凄いマナ。リリンさん自身もとんでもないマナだけど、あの影? にすると量以上に密度がとんでもない。
なにより、
見えてる部分でしか観察できないのはちょっと残念かな。でも十二分に興味深い。
「そうまじまじ見ずとも貴様ならすぐに使えるようになろうよ。あむ」
「え」
それはどういう……。
「そ、そんな簡単に使えるモノなんですか?」
「んぐぬぐ……ん〜。自在に操れるのは我と
「えっと……つまり?」
「んっ。我の知る限り人類、また類似した種だと現状使用者は三人。あむ……んく。素質があるのは貴様含め三人。人類から外れた貴様視点で言えば化物のような姿形した輩なら不特定多数と言ったところか。あむ」
「…………」
まずリリンさんが地球人じゃないから人類にカテゴライズして良いのかっていうのは置いといて。それでも素質は六人くらいでその中に私が入ってるってどういうこと?
化物ならゴロゴロいるよーって部分はスルーしておこ。怖い。
「そ、それで結局なんなんですかねそれ?」
「はむはむ……そうさな。日常生活においては手足の延長と思っておけば良い。数十メートル程度延長できる手足。んぐ」
「めちゃくちゃ便利じゃないっすか」
部屋にいながらお菓子とかジュースとか持ってこれたり、ゲームでも連打早くなったりするのかな? なんなら複数同時操作とかできたり。CPUでなく私対私で練習できたり? うわめっちゃ良い。
「そう聞くと素質あるって言われてちょっと嬉しいかもしれません。なにかコツとかってあるんですか?」
「……ないな。感覚的なモノだし。強いて言えばマナの密度を上げていけば影自体は発生するから、出せたら後は慣れるまで動かせ。それ、溶け切ってしまうぞ。はむ」
「あ、すみません」
話に夢中でクリームソーダの存在を忘れちゃってた……。もう原型ないや。上半分真っ白け。これはこれで好きだから良いんだけどさ。ちょっとだけ悲しいだけで。ぐすん。
「ずず……。日常以外ではどうなんですか?」
「んくんく……フム。厚さという概念は無く、どこの隙間でも入れるし。物理的な力はほぼ無効化できるがこちらからは圧力をかけれる。変幻自在でイメージ次第ではどんな形にもなれる。まぁその分マナは食うがな。ちゅっ」
「だいぶ……強そうに聞こえますね」
「ずずぅ……! んぐんぐ……んく。事実影同士ならばマナの密度で勝っていなければ詰むぞ。影がない場合だと一時的にでもマナの出力が勝っていなければ対応はできんぞ。対応するだけならマナをぶつければ吹き飛ぶから使うよりも易いぞ。扱いが上手ければ潜在的なマナは万分の一以下でも足りる」
「へぇ〜……」
使うよりも対策するほうが楽ではあるんだ。どんなすぐれた技術も力技で潰されたりするし。そんなものなのかな。
でもまぁ。
「私にはそういう荒事での用途は関係ないですけどね」
「何故だ?」
「だって、私学校通いたくないですし。試験に受かるかもわかりませんし」
「我と同じところだろう? ならば受かろうよ。貴様は昨今の人類のマナの飛躍とは関係なく逸材故な。他とは比べ物にならん」
「うっ」
それは私もわかってますけど、事実を突きつけてほしくなかった……。
うわ〜……学校行きたくないぃ!
折角楽しい気分だったのにぃ! もう! リリンさんってば! もう!
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