第47話

「私が忙しかった時にそんなことあったんだ」

「そうなんだよ、まさか、柴に会えなくなるかもだなんて

知ってこんなに落ち込むとは思わなかったよ」

七菜香がようやく仕事が一段落ついたそうで、

久しぶりに会ってくれた。

たとえ、柴がいなくても、七菜香だけでも

十分嬉しかった。

「もしかして、柴くんのこと好きなの?」

「へ?そんなこと、、あるのかな」

好きの気持ちなんて考えたことなかった。

でも、確かに、柴への気持ちには

好きに近しい気持ちがあった。

「えっ、橘音ちゃん無自覚なの?」

七菜香が信じられないという表情を

顔いっぱいに浮かべている。

「そうかもしれない」

七菜香が何歳かは知らないが、七菜香はやっぱり

私よりもちょっぴり大人だ。

私の知らない感情をたくさん知っている。

心理学を愛する者としては、

恋愛感情に鈍いなんて致命傷だろう。

「七菜香ちゃん、負けないからね」

「何が?」

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