第29話

「豆苗って、家食べる分には安いけど、

お店で出すには少し手間かかるから高くついちゃうんだよ」

「そうなんですか?」

てっきりどこで食べても安くなるのかと思っていた。

ということは、私は高価な豆苗を大量に食べてしまったのか。

「あはは、橘音ちゃんってば、冗談だよ」

「えっ、そうなんですか」

「うん、お店でも安いよ」

「よかった、、、、」

七菜香の母にすっかり騙されていた。

「では、ごゆっくり」

七菜香の母はゆっくりと席を立った。

そうした途端に沈黙がながれてしまった。

その時、店に置いてある本棚が気になった。

「えっ、この本、七菜香さんが書いたんですか」

「はい、私、これでも作家です」

「あっ、敬語外して貰っていいですよ」

「うん、じゃあ、外すね」

「じゃあ、僕も外していい?」

「もちろん」

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